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第8章 因縁と因果 現れし外道
第二百八十三話 勇者?の愉快な冒険6 仲間達の決断
しおりを挟むサユリ「落ち着いて!カイト君!」
サユリが慌てて止めに入るが、それでもカイトは止まらない、そんな中戻ってきたゼロがカイトの様子を見て状況を察する
ゼロ「なんだ?1人で飲んでしまったのか?」
アイ「え?あれ1人用じゃないの?」
アイの言葉にゼロは首を振る
ゼロ「違う、あれは4人用だ、つまり、4人分の超強化薬を1人で飲んでしまったのか。」
サユリ「ねぇ、カイト君は元に戻るの?」
サユリはそう心配そうに聞くが、ゼロは普通に答える
ゼロ「どうだろうな?1人分だけだったら保証はしたが、今回みたいなのは保証は出来ん。」
サユリ「そんな…」
その言葉に絶望したのかサユリは愕然とし、メグミは「どうすればいいの?」と発狂しているカイトを見ながら質問する。
ゼロ「君達も飲めば良いのではないか?そうすれば、おかしくなったと思わなくて済むし圧倒的な力が手に入るのだぞ?」
そう言ってゼロは瓶を3つ置く
わざわざ取りに行ったのだろう、こうなる事を予想して
ゼロ「どうする?君達の意思を尊重するが、君達はどうしたい?」
その言葉を聞いてメグミ達3人はカイトを見る。
カイト「ゼロォォォォォ…モブは…モブはどこダァ?」
メグミ「カイト君…」
普段の3人なら最初っからカイトに肯定して彼女達もすぐ飲んでいただろう。
しかし、今回の旅で、自分達の弱さを実感した事により、少し利己的になってしまった。
そのせいで、超強化薬を飲もうと言う気になれないのだ。
アイ「…私は飲むよ」
メグミ「アイ?」
アイはそう言うと瓶を取る、それを見てサユリは慌てて止める
サユリ「ちょっとアイ!何してるの!?」
アイ「うるさい!ねえ約束して!」
ゼロ「ん?」
瓶を持ったアイはゼロに向かって叫ぶ
アイ「私達がこれを飲む代わりに、カイト君を元に戻して!」
メグミ「アイ!何言ってるの!?」
アイ「2人はなんとも思わないの!?」
アイの言葉に2人は止めるのをやめる
アイ「私達はカイトお兄ちゃんのお嫁さんになるんでしょ?だったら妻として助けるのは当然でしょ?」
カイトはミュウを筆頭に皆と結婚、重婚する事を公言している、それは貴族、平民分け隔てなく接すると言う、普通の人間なら素晴らしい事だ。
アイ「ねぇ、お願い、カイト君を…元に戻して…」
メグミ「アイ…」
ゼロは泣きじゃくりながら助けを求めるアイを見て(くだらない)と思いながら答える。
ゼロ「いいだろう、君達がそれを飲むのなら、約束通りに元に戻そう。」
アイ「…約束だからね?」
ゼロ「ああ、我も壊れた人間と協力関係を結べるとは思っていない、我にとっても今の彼は困るのだ。」
と、お互いにとってのメリットを見つけたアイはその言葉を信じて瓶の中身を飲む
メグミ「アイ!」
ゼロ「君達はどうするんだ?私は3人が飲むと言う条件でこの約束をしたのだ、1人でも飲まなかったら、勇者は助けないぞ?」
サユリ「貴方…!!!」
サユリはゼロを睨みつけながら瓶を取る
そして蓋を開けながら叫ぶ
サユリ「わかったわよ!飲めばいいんでしょ!飲めば!」
そう言って半ば強制的に飲まされる、残りはメグミだが、アイとサユリが飲んだ以上、自分も飲まなければ2人の行動は無意味になる。
ゼロ「さあ、君はどうする?我は別にかまわないが?」
メグミ「…飲むわ、これでカイト君が救えるなら…」
そう言ってメグミも瓶を取り、蓋を開けて一気に飲む。
3人とも飲んだ瞬間意識を失い、その場に倒れ込む。
ゼロ「では、約束は守ろう、勇者カイトは元に戻す、君達は他の実験材料として利用させてもらうよ。」
あの瓶の中身は超強化薬ではない、ただの睡眠薬だ。
それに彼は一言も超強化薬が入っているとは言っていない圧倒的な力を手にする事が出来ると言ったのだ。
それがどんな意味かは説明していない。
ゼロ「勇者パーティはこれで終わりだな、このモルモットをどう利用しようかな?」
そう言ってゼロは下っ端に彼女達を回収させて、その場から去る。
ゼロ「君は、後で戻そう、それまで力に酔いしれているがいい。」
カイト「フヒャヒャヒャ!!!!!!」
ゼロは後ろを振り返らずにそう吐き捨てて、ドアを閉めた。
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もう少し続きます。
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