210 / 680
第六章 始動編
第二百一話 出発(帰省終わり?)
しおりを挟む アカリエの工房に来た私を、アカリは歓迎してくれる。そもそも歓迎してくれないって事の方があり得ないけど。
「今日は、珍しく早いね。どうかしたの?」
「師範から合格を貰って、【双剣】のスキルが取れるようになったから来たって感じ。ここなら、落ち着いて考えられるかなって」
「なるほどね。私なら、ハクちゃんから話を聞いているから、安心して話せるもんね」
「そういうこと」
私はメニューを開いて、スキル一覧を見る。そこには、ウィンドウに書かれていた通り、【双剣】のスキルが増えていた。そして、もう一つ見た事のないスキルが増えている事に気が付いた。
「【血装術】?」
「何それ? それも師範のところで稽古したから?」
「ううん。字的に血関係だから、【吸血鬼】とか【操血】が関係していると思う」
私は、【双剣】と【血装術】の説明を見る。
────────────────────────
【双剣】:対となる短剣の扱いに補正が入る。レベルが上がると、技を習得出来る。
【血装術】:武器に血を纏わせる事が出来る。攻撃力、耐久力、効果時間は、【吸血鬼】【血装術】のレベルに依存する。収得の際、【操血】【硬質化】を統合する。【操血】【硬質化】の効果は、【血装術】に継承される。
────────────────────────
どうやら、【操血】と【硬質化】が一定レベルに達した事で、二つのスキルを統合強化させる事が出来るようになったみたい。
「血が武器に転用出来るみたいだね。それにしても、統合か……私は、まだ見たこと無いなぁ」
「【操血】と【硬質化】がなくならないのは、ホッとしたかな。二つとも、本当に便利なスキルだったし」
「確かにね。でも、【操血】はともかく、【硬質化】は、また取れるんじゃない?」
「ああ、アサルトバードから?」
「うん」
【操血】は、スキル収得で取ったけど、【硬質化】はアサルトバードから吸血して取ったものだ。だから、また【硬質化】を獲得出来る可能性があるのではと、アカリは考えたみたいだ。
「う~ん、多分ないと思う。統合って事は、【血装術】は、【操血】でもあり【硬質化】でもあるって事だろうから、【血装術】の経験値になると思う」
「そういう考え方も出来るね。取り敢えず、デメリットはないみたいだから、取ってみて良いんじゃないかな?」
「うん。そうだね」
アカリの後押しもあって、私は、【双剣】と【血装術】を収得する。
────────────────────────
ハク:【剣Lv36】【短剣Lv33】【双剣Lv1】【格闘Lv23】【拳Lv6】【蹴りLv7】【魔法才能Lv21】【支援魔法才能Lv21】【吸血鬼Lv28】【血装術Lv1】【夜霧Lv9】【執行者Lv31】【豪腕Lv10】
控え:【HP強化Lv30】【物理攻撃強化Lv28】【速度強化Lv31】【運強化Lv19】【脚力強化Lv40】【毒耐性Lv1】【麻痺耐性Lv3】【呪い耐性Lv1】【沈黙耐性Lv1】【暗闇耐性Lv1】【怒り耐性Lv1】【眠り耐性Lv1】【混乱耐性Lv1】【消化促進Lv13】【言語学Lv9】
SP:54
────────────────────────
統合したおかげで、スキルスロットに空きが出来た。これは、ちょっと助かったかもしれない。スキルに関して考える時間が、また出来たから。
「あっ……」
「どうしたの?」
自分のスキルを見ていたら、一つ気が付いた事があった。
「師範との稽古の時、夜だったから、【夜霧】使えば良かった……」
道場が明るいから、時刻夜である事を失念していた。というか、【夜霧】自体、あまり使わないから、つい存在を忘れてしまう。これがあれば、師範の攻撃を避けつつ、そのまま攻勢に出られたかもしれない。
「まだまだ、スキルの有効活用が出来てないなぁ」
「まぁ、難しいよね。戦闘中って、色々考えられないもん。終わってからの方が冷静に見られるしね」
「まぁ、次に繋げられるって思えば良いか」
「うん。前向きに行こう」
アカリと話しながら、お互いに笑い合う。アカリが辛い時には、私が励まして、私が落ち込んだら、アカリが励ましてくれる。長年幼馴染みをしているから、互いに互いを助け合うのが、普通になっている。
本当にアカリと幼馴染みで良かった。一人で考えていたら、もっと卑屈になっていたと思う。
そんな事を考えていると、アカリが手を鳴らす。
「取り敢えず、新しい武器を作ったら教えてね。腰装備を改良したりするから」
「うん。オッケー」
双剣を作ったら、それも腰にぶら下げる事になるだろうから、その分の改良かな。何にせよ、アカリが作るのだから、不安は一つもない。
「後は、双剣の極意が知りたかったら来いって言われたのと、普通に稽古もつけてくれるんだってさ。ある意味至れり尽くせりって感じ」
「そうなんだ。双剣の極意っていうのは、【双剣】を取ったら、受けられるのかな?」
「多分、一定レベルは必要だと思う。極意ってくらいだし、ものすごく上げないといけないかな」
「もしかして、最大レベルまで?」
「最大レベルって、どのくらい?」
スキルの最大レベルの情報は、私にはない。私よりも詳しいアカリなら、何か知っているかなと思って訊いてみたけど、アカリは首を横に振った。
「ごめんね。私にも分からないや」
「まぁ、そうだよね。始まって二ヶ月とかそこらだし。まだ最大レベルまで達した人はいないか。進化だって、ここ最近出て来たくらいだし」
「うん。条件が結構難しいからね。【裁縫師】とか三千個も防具とか作らないといけないし」
「うぇっ!? 三千か……まぁ、確かに、【吸血鬼】も千体のモンスターを吸血するって感じだったし、進化には、基本的に千単位が必要なのかもね」
他のスキルにも進化の可能性があるとするなら、特定の行動を千単位でする必要があるかもしれない。
「って事は、また千体を吸血しないといけないのかな。結構早く条件達成出来そう」
「でも、【吸血鬼】って進化したスキルでしょ? もっと特別な条件とかもあるかもよ。今度は万単位とか」
「……いや、もう吸血は慣れたから良いけどさ。特別な条件か……考えられるのは、やっぱり昼間での活動かな」
「一番辛い状況で、何かをするとかはあり得るかもね」
「昼間の活動も、ちゃんとやろっと。それじゃあ、ラングさんのところに行って来るね」
「うん。いってらっしゃい」
スキルの確認とかも終えたので、【双剣】のための武器をラングさんに作って貰うため、アカリエを出る。
また戦闘スタイルを変えないといけないというのは、ちょっと大変だけど、基本的なものは変わらない。中心にあるのは、【吸血鬼】だ。違うのは、短剣が一本か二本かだけ。
「新しい事が出来るようになるのは、楽しいな。早く作って貰おっと」
まず初めの目標は、師範とジャイアントトードに常勝する事。そして、熱帯の攻略だ。
「今日は、珍しく早いね。どうかしたの?」
「師範から合格を貰って、【双剣】のスキルが取れるようになったから来たって感じ。ここなら、落ち着いて考えられるかなって」
「なるほどね。私なら、ハクちゃんから話を聞いているから、安心して話せるもんね」
「そういうこと」
私はメニューを開いて、スキル一覧を見る。そこには、ウィンドウに書かれていた通り、【双剣】のスキルが増えていた。そして、もう一つ見た事のないスキルが増えている事に気が付いた。
「【血装術】?」
「何それ? それも師範のところで稽古したから?」
「ううん。字的に血関係だから、【吸血鬼】とか【操血】が関係していると思う」
私は、【双剣】と【血装術】の説明を見る。
────────────────────────
【双剣】:対となる短剣の扱いに補正が入る。レベルが上がると、技を習得出来る。
【血装術】:武器に血を纏わせる事が出来る。攻撃力、耐久力、効果時間は、【吸血鬼】【血装術】のレベルに依存する。収得の際、【操血】【硬質化】を統合する。【操血】【硬質化】の効果は、【血装術】に継承される。
────────────────────────
どうやら、【操血】と【硬質化】が一定レベルに達した事で、二つのスキルを統合強化させる事が出来るようになったみたい。
「血が武器に転用出来るみたいだね。それにしても、統合か……私は、まだ見たこと無いなぁ」
「【操血】と【硬質化】がなくならないのは、ホッとしたかな。二つとも、本当に便利なスキルだったし」
「確かにね。でも、【操血】はともかく、【硬質化】は、また取れるんじゃない?」
「ああ、アサルトバードから?」
「うん」
【操血】は、スキル収得で取ったけど、【硬質化】はアサルトバードから吸血して取ったものだ。だから、また【硬質化】を獲得出来る可能性があるのではと、アカリは考えたみたいだ。
「う~ん、多分ないと思う。統合って事は、【血装術】は、【操血】でもあり【硬質化】でもあるって事だろうから、【血装術】の経験値になると思う」
「そういう考え方も出来るね。取り敢えず、デメリットはないみたいだから、取ってみて良いんじゃないかな?」
「うん。そうだね」
アカリの後押しもあって、私は、【双剣】と【血装術】を収得する。
────────────────────────
ハク:【剣Lv36】【短剣Lv33】【双剣Lv1】【格闘Lv23】【拳Lv6】【蹴りLv7】【魔法才能Lv21】【支援魔法才能Lv21】【吸血鬼Lv28】【血装術Lv1】【夜霧Lv9】【執行者Lv31】【豪腕Lv10】
控え:【HP強化Lv30】【物理攻撃強化Lv28】【速度強化Lv31】【運強化Lv19】【脚力強化Lv40】【毒耐性Lv1】【麻痺耐性Lv3】【呪い耐性Lv1】【沈黙耐性Lv1】【暗闇耐性Lv1】【怒り耐性Lv1】【眠り耐性Lv1】【混乱耐性Lv1】【消化促進Lv13】【言語学Lv9】
SP:54
────────────────────────
統合したおかげで、スキルスロットに空きが出来た。これは、ちょっと助かったかもしれない。スキルに関して考える時間が、また出来たから。
「あっ……」
「どうしたの?」
自分のスキルを見ていたら、一つ気が付いた事があった。
「師範との稽古の時、夜だったから、【夜霧】使えば良かった……」
道場が明るいから、時刻夜である事を失念していた。というか、【夜霧】自体、あまり使わないから、つい存在を忘れてしまう。これがあれば、師範の攻撃を避けつつ、そのまま攻勢に出られたかもしれない。
「まだまだ、スキルの有効活用が出来てないなぁ」
「まぁ、難しいよね。戦闘中って、色々考えられないもん。終わってからの方が冷静に見られるしね」
「まぁ、次に繋げられるって思えば良いか」
「うん。前向きに行こう」
アカリと話しながら、お互いに笑い合う。アカリが辛い時には、私が励まして、私が落ち込んだら、アカリが励ましてくれる。長年幼馴染みをしているから、互いに互いを助け合うのが、普通になっている。
本当にアカリと幼馴染みで良かった。一人で考えていたら、もっと卑屈になっていたと思う。
そんな事を考えていると、アカリが手を鳴らす。
「取り敢えず、新しい武器を作ったら教えてね。腰装備を改良したりするから」
「うん。オッケー」
双剣を作ったら、それも腰にぶら下げる事になるだろうから、その分の改良かな。何にせよ、アカリが作るのだから、不安は一つもない。
「後は、双剣の極意が知りたかったら来いって言われたのと、普通に稽古もつけてくれるんだってさ。ある意味至れり尽くせりって感じ」
「そうなんだ。双剣の極意っていうのは、【双剣】を取ったら、受けられるのかな?」
「多分、一定レベルは必要だと思う。極意ってくらいだし、ものすごく上げないといけないかな」
「もしかして、最大レベルまで?」
「最大レベルって、どのくらい?」
スキルの最大レベルの情報は、私にはない。私よりも詳しいアカリなら、何か知っているかなと思って訊いてみたけど、アカリは首を横に振った。
「ごめんね。私にも分からないや」
「まぁ、そうだよね。始まって二ヶ月とかそこらだし。まだ最大レベルまで達した人はいないか。進化だって、ここ最近出て来たくらいだし」
「うん。条件が結構難しいからね。【裁縫師】とか三千個も防具とか作らないといけないし」
「うぇっ!? 三千か……まぁ、確かに、【吸血鬼】も千体のモンスターを吸血するって感じだったし、進化には、基本的に千単位が必要なのかもね」
他のスキルにも進化の可能性があるとするなら、特定の行動を千単位でする必要があるかもしれない。
「って事は、また千体を吸血しないといけないのかな。結構早く条件達成出来そう」
「でも、【吸血鬼】って進化したスキルでしょ? もっと特別な条件とかもあるかもよ。今度は万単位とか」
「……いや、もう吸血は慣れたから良いけどさ。特別な条件か……考えられるのは、やっぱり昼間での活動かな」
「一番辛い状況で、何かをするとかはあり得るかもね」
「昼間の活動も、ちゃんとやろっと。それじゃあ、ラングさんのところに行って来るね」
「うん。いってらっしゃい」
スキルの確認とかも終えたので、【双剣】のための武器をラングさんに作って貰うため、アカリエを出る。
また戦闘スタイルを変えないといけないというのは、ちょっと大変だけど、基本的なものは変わらない。中心にあるのは、【吸血鬼】だ。違うのは、短剣が一本か二本かだけ。
「新しい事が出来るようになるのは、楽しいな。早く作って貰おっと」
まず初めの目標は、師範とジャイアントトードに常勝する事。そして、熱帯の攻略だ。
0
お気に入りに追加
887
あなたにおすすめの小説

貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた
佐藤醤油
ファンタジー
貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。
僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。
魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。
言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。
この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。
小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。
------------------------------------------------------------------
お知らせ
「転生者はめぐりあう」 始めました。
------------------------------------------------------------------
注意
作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。
感想は受け付けていません。
誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。

友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。
だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった
何故なら、彼は『転生者』だから…
今度は違う切り口からのアプローチ。
追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。
こうご期待。


レベルが上がらずパーティから捨てられましたが、実は成長曲線が「勇者」でした
桐山じゃろ
ファンタジー
同い年の幼馴染で作ったパーティの中で、ラウトだけがレベル10から上がらなくなってしまった。パーティリーダーのセルパンはラウトに頼り切っている現状に気づかないまま、レベルが低いという理由だけでラウトをパーティから追放する。しかしその後、仲間のひとりはラウトについてきてくれたし、弱い魔物を倒しただけでレベルが上がり始めた。やがてラウトは精霊に寵愛されし最強の勇者となる。一方でラウトを捨てた元仲間たちは自業自得によるざまぁに遭ったりします。※小説家になろう、カクヨムにも同じものを公開しています。

愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。

母親に家を追い出されたので、勝手に生きる!!(泣きついて来ても、助けてやらない)
いくみ
ファンタジー
実母に家を追い出された。
全く親父の奴!勝手に消えやがって!
親父が帰ってこなくなったから、実母が再婚したが……。その再婚相手は働きもせずに好き勝手する男だった。
俺は消えた親父から母と頼むと、言われて。
母を守ったつもりだったが……出て行けと言われた……。
なんだこれ!俺よりもその男とできた子供の味方なんだな?
なら、出ていくよ!
俺が居なくても食って行けるなら勝手にしろよ!
これは、のんびり気ままに冒険をする男の話です。
カクヨム様にて先行掲載中です。
不定期更新です。

無能なので辞めさせていただきます!
サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。
マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。
えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって?
残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、
無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって?
はいはいわかりました。
辞めますよ。
退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。
自分無能なんで、なんにもわかりませんから。
カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。

公爵家三男に転生しましたが・・・
キルア犬
ファンタジー
前世は27歳の社会人でそこそこ恋愛なども経験済みの水嶋海が主人公ですが…
色々と本当に色々とありまして・・・
転生しました。
前世は女性でしたが異世界では男!
記憶持ち葛藤をご覧下さい。
作者は初投稿で理系人間ですので誤字脱字には寛容頂きたいとお願いします。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる