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第六章 始動編

第百七十九話 プレゼント

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学園長「家まで送りましょう、まぁそうしないと歩くしかないんですけどね」

エイト「いえ、そもそも学園長がわざわざ私達の為に馬車を用意して下さった事自体、ありがたい事なんです」

ミュウ「あ…ありがとう…ございます…」

エイトが代表として頭を下げると、ミュウもおずおずと頭を下げる、相変わらず人見知りは治らない様だ

シルフィ(…これ、旅に出るのに大変な事なのでは?)

学園の中とは違い、知っている人間はエイト、シルフィ、アリアン の3人だけになる、この3人となら普通に話せるだろうが、問題はその人達以外だ

旅に出ると言う事は様々な村や町、王国、に行くと言う事、知っている人物なんていないのも同然だ、そんな中を人見知りのミュウが行けば、学園以上のサポートが必須となるのだ

アリアン(まぁ…それはあたい達がなんとかすれば良いだけだけど)

それでも大変なのには変わりはない

学園長「ああ、そうでした、貴方達に伝えたい事があるんでした」

エイト「…伝えたい事?」

ミュウ「……?」

一体なんなのだろう?そう思う4人は学園長に耳を傾ける

学園長「実は勇者であるカイト君は以前よりも更に

シルフィ「…え?弱く…なったんですか?」

アリアン「なんでそんな事がわかるのですか?」

え?っと驚く4人だったが、色々な事が起こり過ぎて、すぐに冷静になる

学園長「約3年前、カイト君はエイト君に負けて不正行為やその他の悪行に耐えかねて、私は彼を隔離寮に入寮させました」

エイト「ええ、それは知っています」

そのおかげで、エイト達は卒業までの3年間、そして国王と会うまでの間は彼とその仲間達と会う事はなかったのだ

学園長「しかし、彼は腐っても勇者、普通に入寮させれば反省どころか更なる被害が出る可能性がありました」

ミュウ「………」

シルフィ「確かにそうですね、…でも結局は何も起こりませんでしたが」

カイトの様な勇者が良い子に寮生活を送る事なんて絶対に有り得ない、寮の中でも必ず問題を起こすだろう

学園長「そんな彼の対抗策として、歯に彼の力を奪う魔道具を入れていたんです」

アリアン「魔道具?」

学園長「はい、力を奪い、絶対に成長しない魔道具です、これにより彼は3年間不正行為をする前の彼の状態で過ごしていました」

それは凄い、つまりその魔道具があれば、延々と力を奪い続ける、呪いの装備の様な効果を出すと言うわけだ

エイト「では、カイトの歯の中にはまだそれがあるんですか?」

学園長「いえ、約束通り外させていただきました…

ミュウ「え?それじゃあ…」

それはつまり今のカイトはエイトと戦ったあの時のカイト、と言う事だろうか?
そう思ったミュウは意味がないのでは?と言いたかったのだろう、しかし言葉が出て来ず黙ってしまった

学園長「いや、安心してください、彼の魔力…力とも言える物は

そう言って学園長は小さなビー玉を見せる
その中には何か霧の様な物が入っており
何か力を感じる

シルフィ「学園長、これは?」

アリアン「これって…まさか!?」

学園長「流石は魔術使い、すぐに理解しましたか」

エイト「どう言う事?」

このビー玉とカイトの何が関係しているのかいまいちピンと来ない3人だが、アリアンは冷静にそれを説明する

アリアン「学園長の話をまとめるとつまり、3年前のカイトの力からその魔道具を外すまでの間の約3年間のカイトの力がそこにあるって事だよ」

エイト「…え?」

ミュウ「それ…て…」

シルフィ「とても凄い事ではないのですか!?」

アリアン「だからなのよ!たかが知れてるけど、があるって事なんだから」

これが従来の勇者なら更に凄い事だが、カイトのなのでそこまで驚かない、それ以上の力を持つ4人にとって雀の涙程度のものにしか思えないからだ

しかし学園長はそれをエイトに渡して

学園長「そう、そしてその勇者の力を君にあげようと思うんだ」

エイト「…ふぇ?」

エイトはミュウの様に驚いてしまった

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魔道具 カイトの力を常に吸収した小さいビー玉の様な物、カイトの3年間の魔力や戦闘力が入っており、取り込めば3年分の力を得る事が出来る
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