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10-2. (野望)
しおりを挟む聖女が神から遣わされた者だと信じる国民は、愚かで愛おしい。
聖女を神聖なものと崇めながらも、取り入る隙を淡々と狙っている貴族は、エサを前にヨダレを我慢できない仔犬のようで可愛らしい。
全ては、私の掌の上。
王となり、代々の王が守ってきた秘密を知ったとき、初めて全てに納得がいった。
魔の森の秘密と、聖女の茶番。
私は、先代のように何もせず次に繋ぐだけの阿呆にはならない。
魔の森の秘密は、切り方を間違えれば、この国の存続が危ぶまれるほどの危険なカードだ。
だからこそ、私は、このカードを使って、歴代の王が成し遂げられなかった野望を叶えよう。
大陸の統一。
種は仕込んだ。
年月をかけて成長する様は、いかなるものか。
花を咲かせ、熟す実は、私の心を潤すだろうか。
楽しみだ。
まずは、聖女の母、貴様は何を見せてくれる?
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