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1章 呪いの女
256話 成果
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聖女一行がゴーレム達との戦闘を行っている後ろに馬車で1時間程度の距離の場所へやって来た。
今の所遠距離攻撃が飛んでくる気配はない。
遠くの様子に氣を向けるとゴーレムはもうほぼほぼ倒されつつある。
負傷者の気配は結構あるが、今は聖女が回復している様子は感じられない。
俺は追加で送り込むゴーレムの作成に取り掛かる。
小さな水球を1つ生み出してその周りを更に大量の水で覆う。
形は四角い箱に四本足がついている。
体長3メートルほどの水ゴーレムだ。
「カッコ悪いっす・・」
「俺もそう思う」
いい形思いつかなかったんだなー。
作ったゴーレムには中に魔方陣を仕込む。
今回は魔法、物理耐性と水牢の魔法、水中呼吸の魔法、睡眠魔法、治癒と回復魔法。
なかなかてんこ盛りだ。
そして俺はまた手を切り血を出してゴーレムの中に入れる。
透明な水の中俺の血が丸く2つ浮いている。
この水ゴーレムを10体作り出した。
そして戦闘が終わろうとしている聖女一団目掛けて走らせて行く。
「どんな感じのゴーレムなんすか?」
「怪我人を捕まえて眷属化させて眠らせつつ回復をかけながら来た道をひたすらもどらせる。魔力的に1日と少し分ぐらいの距離かな。1体で2人捕らえられる」
「全部捕らえてくれば20人すか、半分に減らせるっすね。馬は取らないっすか?」
「あーそっかー。
でも取るとすると全部だな。1頭でも残すと聖女1人で爆速で進みそうだ」
「確かに・・・下手に減らすと移動速度上がりかねないっすね」
これは兵士達を減らすことでも起きそうなので加減はしないとな。
しばらくしていると俺の中に新たな繋がりが生まれたのを感じた。
誰か知らない新たな眷属の繋がりにサファイアにやったような命令を下す。
気を失ってても多分効く。
俺の鬼としての本能がそう確信している。
街道側で隠れて様子を見ていると6体の水ゴーレムが俺たちの後方へと捕らえたものたちを入れて走り去っていった。
1人しか捕らえてないゴーレムもいたので連れ去ったのは8人だった。
但し眷属として増えた人数は13人、5人は連れ去る前に助け出されてしまっている事になる。
聖女一行の方に感じる5つの眷属達には理由をつけてその場から離れてこちらへ来るように命令を出した。
するとちゃんと命令通りに眷属の繋がりがこちらへ向かう事が感じられた。
そして何故かこのタイミングで眷属が1人生まれた。
頑張ってたやつがいたようだ。
そいつはゴーレムに運搬されてくる模様。
しばらくして聖女一行の方向からは戦闘の気配が無くなった。
俺が送りつけたゴーレムたちは全て倒されてしまったようだ。
だが聖女一行はすぐに動き出す様子はない。
今日の襲撃で俺たちにも予想外の展開はあったが、聖女護衛隊にもそれなりに損害が出たようで立て直しに時間を食っている感じだ。
人数も減らせたので更に時間かかるだろう。
時間は既に昼を回った。
聖女達はここから強行しても日のあるうちには宿場に辿り着けない。
俺の足止めは死者を出してしまったが、代わりにガッツリと足止めさせることに成功した。
10日目にして一番の成果だ。
こちらに向かってくる眷属達を待っていると、最後まで頑張ってた水ゴーレムが俺たちの近くを通り過ぎていった。
中には団長格の1人であるピピスが入っていた。
「大金星じゃないか」
「すげえ、何があったんすかね」
ピピスはハーフオーガらしくパワー系戦士だった。水ゴーレムは物理に滅法強いから対処しきれなかったのだろう。
ピピスを見送ったあとは街道脇を歩いて向かってくる眷属5人に会いに行く。
まとまって動いているようだ。
20分程歩くと5人と遭遇した。
「よう、襲撃犯だ!」
俺の言葉に反応して満身創痍の5人がそれぞれ構える。
「俺に攻撃の意志はない。俺たちに攻撃するな。ほれ、ここまで頑張ったな」
傷だらけになっていた5人に治癒魔法をかけてやる。
攻撃を禁じたので5人は怪訝な面持ちで回復を受ける。
「さて、改めて眷属達に命じる。
聖女を敬うな、縋るな、信じるな。
そして自死することを禁じる。
しっかりと生きてくれ。
そして帰れ」
この5人以外にも今日生まれた眷属たち全ての繋がりに対して改めて命令を下した。
「何で襲撃なんてしたんだ。俺たちの仲間が死んだんだぞ」
「襲撃については謝罪はしない。王の許可を得て聖女の足止めをしている。
お前達の仲間を死なせてしまった事は俺の至らなさによるところだ。すまなかった」
5人に対して深く頭を下げた。
俺がもっと聖女の残虐さを深刻に捕らえていれば人質を殺すことは予見できた。
人質を使わないもっと有効な手段を思いついていればこうはならなかった。
俺の心は人質を殺されたあの時からずっとギシギシと痛みを感じている。
5人のうち3人のココルタ領の兵士からは俺に怒りの感情が向いてくるが攻撃を禁じているので何もされない。
俺も許されるつもりもない。
少し長めの謝罪を切り上げる。
「それじゃ、気をつけて帰れよ」
5人と会った目的は回復の為だ用が済んだのでトレイを引き連れて街道の外へとでた。
「タイガは悪くないっすよ。いや、ひん剥くのは悪いっすけど。1番悪いのは聖女っす」
「そうなんだが、俺がサクッと倒せればな」
「実際どうなんすか?」
「負けるつもりもないし、準備もしてきた。でも正面きって戦うのは無謀だと思う。あいつの魔力膨大すぎるし丘を吹っ飛ばす様な火力の魔法バンバン撃たれるのはしんどいよな」
「普通しんどいどころか1撃でもダメっすから。でもやっぱり妨害続けるしかなさそうっすね」
「だな、そんじゃ今日はもうちょい妨害いれてあの場から動かさないようにするか」
魂を軋ませて無理やり魔力を回復すると再び追加のゴーレム作りを作る。
精神的な負担を和らげようと、俺はエドガーのことを考えていた。
今の所遠距離攻撃が飛んでくる気配はない。
遠くの様子に氣を向けるとゴーレムはもうほぼほぼ倒されつつある。
負傷者の気配は結構あるが、今は聖女が回復している様子は感じられない。
俺は追加で送り込むゴーレムの作成に取り掛かる。
小さな水球を1つ生み出してその周りを更に大量の水で覆う。
形は四角い箱に四本足がついている。
体長3メートルほどの水ゴーレムだ。
「カッコ悪いっす・・」
「俺もそう思う」
いい形思いつかなかったんだなー。
作ったゴーレムには中に魔方陣を仕込む。
今回は魔法、物理耐性と水牢の魔法、水中呼吸の魔法、睡眠魔法、治癒と回復魔法。
なかなかてんこ盛りだ。
そして俺はまた手を切り血を出してゴーレムの中に入れる。
透明な水の中俺の血が丸く2つ浮いている。
この水ゴーレムを10体作り出した。
そして戦闘が終わろうとしている聖女一団目掛けて走らせて行く。
「どんな感じのゴーレムなんすか?」
「怪我人を捕まえて眷属化させて眠らせつつ回復をかけながら来た道をひたすらもどらせる。魔力的に1日と少し分ぐらいの距離かな。1体で2人捕らえられる」
「全部捕らえてくれば20人すか、半分に減らせるっすね。馬は取らないっすか?」
「あーそっかー。
でも取るとすると全部だな。1頭でも残すと聖女1人で爆速で進みそうだ」
「確かに・・・下手に減らすと移動速度上がりかねないっすね」
これは兵士達を減らすことでも起きそうなので加減はしないとな。
しばらくしていると俺の中に新たな繋がりが生まれたのを感じた。
誰か知らない新たな眷属の繋がりにサファイアにやったような命令を下す。
気を失ってても多分効く。
俺の鬼としての本能がそう確信している。
街道側で隠れて様子を見ていると6体の水ゴーレムが俺たちの後方へと捕らえたものたちを入れて走り去っていった。
1人しか捕らえてないゴーレムもいたので連れ去ったのは8人だった。
但し眷属として増えた人数は13人、5人は連れ去る前に助け出されてしまっている事になる。
聖女一行の方に感じる5つの眷属達には理由をつけてその場から離れてこちらへ来るように命令を出した。
するとちゃんと命令通りに眷属の繋がりがこちらへ向かう事が感じられた。
そして何故かこのタイミングで眷属が1人生まれた。
頑張ってたやつがいたようだ。
そいつはゴーレムに運搬されてくる模様。
しばらくして聖女一行の方向からは戦闘の気配が無くなった。
俺が送りつけたゴーレムたちは全て倒されてしまったようだ。
だが聖女一行はすぐに動き出す様子はない。
今日の襲撃で俺たちにも予想外の展開はあったが、聖女護衛隊にもそれなりに損害が出たようで立て直しに時間を食っている感じだ。
人数も減らせたので更に時間かかるだろう。
時間は既に昼を回った。
聖女達はここから強行しても日のあるうちには宿場に辿り着けない。
俺の足止めは死者を出してしまったが、代わりにガッツリと足止めさせることに成功した。
10日目にして一番の成果だ。
こちらに向かってくる眷属達を待っていると、最後まで頑張ってた水ゴーレムが俺たちの近くを通り過ぎていった。
中には団長格の1人であるピピスが入っていた。
「大金星じゃないか」
「すげえ、何があったんすかね」
ピピスはハーフオーガらしくパワー系戦士だった。水ゴーレムは物理に滅法強いから対処しきれなかったのだろう。
ピピスを見送ったあとは街道脇を歩いて向かってくる眷属5人に会いに行く。
まとまって動いているようだ。
20分程歩くと5人と遭遇した。
「よう、襲撃犯だ!」
俺の言葉に反応して満身創痍の5人がそれぞれ構える。
「俺に攻撃の意志はない。俺たちに攻撃するな。ほれ、ここまで頑張ったな」
傷だらけになっていた5人に治癒魔法をかけてやる。
攻撃を禁じたので5人は怪訝な面持ちで回復を受ける。
「さて、改めて眷属達に命じる。
聖女を敬うな、縋るな、信じるな。
そして自死することを禁じる。
しっかりと生きてくれ。
そして帰れ」
この5人以外にも今日生まれた眷属たち全ての繋がりに対して改めて命令を下した。
「何で襲撃なんてしたんだ。俺たちの仲間が死んだんだぞ」
「襲撃については謝罪はしない。王の許可を得て聖女の足止めをしている。
お前達の仲間を死なせてしまった事は俺の至らなさによるところだ。すまなかった」
5人に対して深く頭を下げた。
俺がもっと聖女の残虐さを深刻に捕らえていれば人質を殺すことは予見できた。
人質を使わないもっと有効な手段を思いついていればこうはならなかった。
俺の心は人質を殺されたあの時からずっとギシギシと痛みを感じている。
5人のうち3人のココルタ領の兵士からは俺に怒りの感情が向いてくるが攻撃を禁じているので何もされない。
俺も許されるつもりもない。
少し長めの謝罪を切り上げる。
「それじゃ、気をつけて帰れよ」
5人と会った目的は回復の為だ用が済んだのでトレイを引き連れて街道の外へとでた。
「タイガは悪くないっすよ。いや、ひん剥くのは悪いっすけど。1番悪いのは聖女っす」
「そうなんだが、俺がサクッと倒せればな」
「実際どうなんすか?」
「負けるつもりもないし、準備もしてきた。でも正面きって戦うのは無謀だと思う。あいつの魔力膨大すぎるし丘を吹っ飛ばす様な火力の魔法バンバン撃たれるのはしんどいよな」
「普通しんどいどころか1撃でもダメっすから。でもやっぱり妨害続けるしかなさそうっすね」
「だな、そんじゃ今日はもうちょい妨害いれてあの場から動かさないようにするか」
魂を軋ませて無理やり魔力を回復すると再び追加のゴーレム作りを作る。
精神的な負担を和らげようと、俺はエドガーのことを考えていた。
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