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1章 呪いの女
253話 追手
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聖女一行から離れる最中、広げた探知の中に違和感を感じる。
気配を隠して森へ入っているのに真っ直ぐに凄い勢いでこちらに向かってくる。
それも空から。
どう考えても補足されている動きだが、俺たちは更に身を隠すために透明化と消音の魔法を使い、追ってから逃げるように動く。
しかしそれでも意味はなく数分後には空から来たものが俺たちの前へと舞い降りた。
大きな剣の上に立ち空を駆けてきた者の正体は戦士兵団の団長サファイアだ。
「姿を現せ、隠れても無駄だ!」
だろうな、しっかりと俺たちの方向をむいてしゃべっている。
隠密体制を解いてサファイアに姿を見せる。
「なぜ分かる?」
「聖女様のお力で貴様の魔力を見えるようにして頂いたのだ。どこにいても場所を感じとれる!」
凄いだろうと言わんばかりのドヤ顔で胸を張っている。
サファイアにそんな事を出来るのだから俺は聖女にも場所を補足されてしまっている訳か。
俺は常に氣を纏っていて魔力が自然に漏れ出ない様にしているので普通ならば魔力感知にはかからないはずだ。
氣だって印象を操作していてほとんど気配を感じ取れないようにしている。
それなのにサファイアには俺の場所がしっかりと見えていたようだ。
面倒くさいなもう。
「団長様が離れてもいいのか?今日のゴーレムたちはこれまでよりも一味違うぞ」
「ピピス1人で問題ない」
「言ってくれるぜ・・・」
サファイアは俺たちへ向けた殺気を一層濃くして戦闘体制をとる。
「トレイ、あの浮いてる剣はスキルか?」
「そうっす、操剣ってスキルで自在に操れるらしいっす。5本を同時に操ってるのを見たことあるっす」
「トレイ!貴様も裏切り者で間違いないな」
「うっ!」
サファイアがトレイに対してピンポイントで殺気を送っている。
それでトレイが威圧されてしまった。
サファイアは少し氣の心得もあるようで薄らと氣を纏っているし身体強化もしている。
「仲間を威圧しないでもらいたいな。
裏切りと言えばアンタの方がよっぽどだ。
何故仲間を殺した」
「あの者達は愚かにも聖女様に歯向かう者の手に落ち、聖女様に立ちはだかったのだ。生きている価値などあるものか、聖女様の慈愛を受けられただけ感謝すべきだろう」
俺の背で再びトレイの身が震え出してしまった。
団長ならは、第一に優先すべきは兵士の命であってほしいが、サファイアの心は完全に聖女一色になってしまっている。
「だが元はと言えば貴様たちがあの者達を捕らえなければ裁くことはなかったのだ。
同胞を奪った罰を死を持って償うといい」
俺の行動が愚かだったのは間違いない。
兵士ならば同胞は助けて当然と思い込み時間稼ぎの盾に使ったのだ。
多少手酷く助け出されようと聖女がいれば傷は癒えて死ぬ事は無いと思っていた。
だが聖女は邪魔だと判断したら即切り捨てたのだ。
俺の見込みが完全に甘かった。
聖女は最早人に構う気などなく王都へ辿り着く事に手段は選ばないのだろう。
「トレイ、何度も言うがあれば俺の責任だ。トレイは止めてくれていた」
「いいや、俺も結局あれでいいと思ってたっす。だから俺も同罪っす。
でも、だから俺はあの人たちの為にも必ず任務はやり遂げるっす」
「そうだな、まずはコイツをなんとかしよう」
俺は誰にも負けない強い意志を込めた強い氣を体に素早く体に満たす。
背中のトレイにも同様に満たしてやる。
「トレイすまないが回避は自分で頼むぞ、死んでもなんとかしてやる」
「わかったっす!いざという時は頼むっすよ」
トレイを背から降ろすと、こちらもサファイアに対して身構える。
「覚悟は決まったようだな。ならば死ぬがいい」
完全に悪役のセリフを吐いたサファイアと俺たちのと戦いが始まった。
気配を隠して森へ入っているのに真っ直ぐに凄い勢いでこちらに向かってくる。
それも空から。
どう考えても補足されている動きだが、俺たちは更に身を隠すために透明化と消音の魔法を使い、追ってから逃げるように動く。
しかしそれでも意味はなく数分後には空から来たものが俺たちの前へと舞い降りた。
大きな剣の上に立ち空を駆けてきた者の正体は戦士兵団の団長サファイアだ。
「姿を現せ、隠れても無駄だ!」
だろうな、しっかりと俺たちの方向をむいてしゃべっている。
隠密体制を解いてサファイアに姿を見せる。
「なぜ分かる?」
「聖女様のお力で貴様の魔力を見えるようにして頂いたのだ。どこにいても場所を感じとれる!」
凄いだろうと言わんばかりのドヤ顔で胸を張っている。
サファイアにそんな事を出来るのだから俺は聖女にも場所を補足されてしまっている訳か。
俺は常に氣を纏っていて魔力が自然に漏れ出ない様にしているので普通ならば魔力感知にはかからないはずだ。
氣だって印象を操作していてほとんど気配を感じ取れないようにしている。
それなのにサファイアには俺の場所がしっかりと見えていたようだ。
面倒くさいなもう。
「団長様が離れてもいいのか?今日のゴーレムたちはこれまでよりも一味違うぞ」
「ピピス1人で問題ない」
「言ってくれるぜ・・・」
サファイアは俺たちへ向けた殺気を一層濃くして戦闘体制をとる。
「トレイ、あの浮いてる剣はスキルか?」
「そうっす、操剣ってスキルで自在に操れるらしいっす。5本を同時に操ってるのを見たことあるっす」
「トレイ!貴様も裏切り者で間違いないな」
「うっ!」
サファイアがトレイに対してピンポイントで殺気を送っている。
それでトレイが威圧されてしまった。
サファイアは少し氣の心得もあるようで薄らと氣を纏っているし身体強化もしている。
「仲間を威圧しないでもらいたいな。
裏切りと言えばアンタの方がよっぽどだ。
何故仲間を殺した」
「あの者達は愚かにも聖女様に歯向かう者の手に落ち、聖女様に立ちはだかったのだ。生きている価値などあるものか、聖女様の慈愛を受けられただけ感謝すべきだろう」
俺の背で再びトレイの身が震え出してしまった。
団長ならは、第一に優先すべきは兵士の命であってほしいが、サファイアの心は完全に聖女一色になってしまっている。
「だが元はと言えば貴様たちがあの者達を捕らえなければ裁くことはなかったのだ。
同胞を奪った罰を死を持って償うといい」
俺の行動が愚かだったのは間違いない。
兵士ならば同胞は助けて当然と思い込み時間稼ぎの盾に使ったのだ。
多少手酷く助け出されようと聖女がいれば傷は癒えて死ぬ事は無いと思っていた。
だが聖女は邪魔だと判断したら即切り捨てたのだ。
俺の見込みが完全に甘かった。
聖女は最早人に構う気などなく王都へ辿り着く事に手段は選ばないのだろう。
「トレイ、何度も言うがあれば俺の責任だ。トレイは止めてくれていた」
「いいや、俺も結局あれでいいと思ってたっす。だから俺も同罪っす。
でも、だから俺はあの人たちの為にも必ず任務はやり遂げるっす」
「そうだな、まずはコイツをなんとかしよう」
俺は誰にも負けない強い意志を込めた強い氣を体に素早く体に満たす。
背中のトレイにも同様に満たしてやる。
「トレイすまないが回避は自分で頼むぞ、死んでもなんとかしてやる」
「わかったっす!いざという時は頼むっすよ」
トレイを背から降ろすと、こちらもサファイアに対して身構える。
「覚悟は決まったようだな。ならば死ぬがいい」
完全に悪役のセリフを吐いたサファイアと俺たちのと戦いが始まった。
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