黄昏一番星

更科二八

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1章 呪いの女

203話 天才

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汗を流したあとは兵舎の俺たちが寝泊まりしていた部屋に集まっていた。
トレイとモーガンは俺たちの護衛の後も部屋を移ってはないそうだ。
もともと使っていた部屋は最近のバタバタで別のものに使われてしまっているのだそうだ。

「さて、どんな感じで動くっすかね」
「呪い見れるのエドガーもできるようになったから手伝ってくれるぞ」
「まじっすか、それだと二手に分けて良さそうっすね。正直終わるか分からなかったから内心ヒヤヒヤしてたっすけど何とかなりそうっす」
「俺まだ少し時間かかるぞ」
「それじゃ数が少ない魔法兵団の方にエドガーは行ってもらうっす。俺もそっちに顔が効くからついてくっす。モーガンとタイガは戦士兵団で」
「りょうかーい」
「呪い関係の事は悟られないようにな。呪われてる奴らは無自覚だが、呪ったやつにどう伝わるか分からんから。スズナの事も触れない方がいいと思う」
「そっすね、引き継ぎん時に隊長から聖女の護衛候補者選びの任命って事で伝わってたんで作業自体は隠さなくて良さそうっす」
「なるほどな、俺たちの立場はどうする?」
「護衛に参加する傭兵代表でいいんじゃないかなー、タイガが切り裂き魔捕まえた事は兵士の中ではもう割と知られてるしねー。
なんか護衛にも参加になりそうじゃない?」
「確かにっすね、エドガーもさっきの見てたら護衛としても行けそうっすからタイガと同じチームとして手伝ってるてので問題ないっすね」

実際ところ護衛どころか護衛対象殺しに行く役目なんだがな。
それはまだ2人には話せない。
聖女の事を知っていると知られれば2人の身も危ないからな。

「そんじゃ昼飯食ったらそれぞれ始めるっすよ」
「りょうかーい」
「「おう!」」

俺たち4人は久しぶりに揃って兵舎の食堂で量モリモリの昼食をとって二手に分かれた。
エドガーとトレイは魔法兵団へ、俺とモーガンは戦士兵団。
それぞれ詰め所や兵舎、街の各所の駐在所や街の入り口検問所を回る事になった。
トレイとモーガンは兵士の名簿を借り受けて来て、流石に兵士全員の名前は覚えていなくても名簿を見れば特定できるらしい。すごい。

魔法兵団に向かうエドガーとトレイを見送り。俺とモーガンはまずはこの兵舎から始める。
「今この敷地内には4人呪われてるやつがいるな。それ以外のやつは大丈夫だから、呪い受けてるやつを遠目から見とくか」
「おっけー、やっぱ氣で探してるの?」
「そうだぞ」
「俺も練習はしてみてるんだけどなかなかねー。見た目に引っ張られてる感じで難しいよー」
「最初はそうだろうな。氣で感じた印象なのか見た目の印象なのか区別がつきにくいよな。やってくうちに区別ついてくもんさ、気負わず地道にやるといい」
「エドガーはどんな感じ」
「あいつは天才の類だ、比べるもんじゃない」
「あの剣の上達といいずるいなー」
「まあまだまだ剣も未熟だ、明日あたりにまた転がしとくといい」
「そうするよー」

なかなか緩いモーガンだが剣の腕はかなりなものだ。
中途半端で勝てる相手ではない。
エドガーでもまだまだ苦戦するだろうが、追いつくのは速そうだ。
やっぱりあいつずるいな。
どうなってんだか。
数日前までは天才程でもないと思っていたが間違いだった。
氣の感覚を共有したのが効いたのだろう。
氣の精度も抜群に良くなるし魔力操作も短期間でものにできたし。
エドガーが成長するのは嬉しいのだが、羨む気持ちは俺にもある。
俺やモーガンの長年の研鑽もエドガーには一瞬だからな。
天才ってのは恐ろしいな。
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