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1章 呪いの女
199話 スズナの依頼
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兵舎の応接室で1時間ほど待っているとようやくスズナが到着した。
至急で呼び出しといて待たせやがってと思うが、まあスズナの立場も色々あるんだろう。
「話をする前に、タイガ、そこの2人は大丈夫かしら?」
「ああ、大丈夫だ」
「そう、良かったわ。予定通り進められそう。
エドガー、この前は囮の協力ありがとう」
「いや、俺は何もしてないぜ、タイガとトレイ、モーガンの3人が頑張ってくれたんだ」
「それでも危険な事をさせたのは事実だもの。感謝してるわ。
さて、タイガ、エドガーも事情は知ってるのよね」
「ああ、エドガーに言われて気がついた事だしな」
「そう、じゃあ居てもらって問題ないわ。
本題に入りましょうか」
ここまで本題を暈しているが、俺とスズナの今の話題は聖女の事だ。
トレイとモーガンはまだ知らないので怪訝な顔をしている。
この前は俺からスズナに頼みに行ったが今回は俺に頼み事があるようだな。
そしてそれにはトレイとモーガンも関わってくるようだ。
「さてと、トレイとモーガンはしばらく私が借り受けることになっています。現在の調査任務を引き継ぎ次第私の指示にしたがってください」
「「はっ!了解しました!」」
さっきの下品な会話と打って変わって2人は真面目モードだ。
「2人には今日から1週間後の聖女がこの街から王都へ向かう際につける護衛の兵士の候補者リストの作成をお願いします」
「自分たちがですか?!」
「ええ、トレイ、あなたは優秀な連絡役だそうね、魔法、戦士兵団どちらにも詳しいのでしょう。あなたが適任だと思うわ」
「や、そんな!あ、ありがとうございます!」
「ふふ、モーガンもそれなりでしょう、補佐を頼むわね」
「はい!ご期待に応えられるよう頑張ります!」
一兵士としては大抜擢である。
2人のやる気は漲っているようである。
調査任務外れるのも嬉しいのかもな。
「肝心の候補者の基準なのだけど、タイガがわかるから使ってちょうだい」
「雑すぎないか、ちゃんと教えてやれよ。
慎重にするんだろ」
「まあそうよね、あなたじゃ信用ないものね」
「おいこら」
「ふふ、冗談よ。
現在この街では兵士も含め大勢の人間が呪いによる強い精神操作を受けてしまってます」
「ええー!」
「ど、どういう事っすか?
もしかして教皇の件」
「教皇はむしろ呪いを受けていた側ね
精神操作を受けると呪いを与えたものにとって利になるように無意識のうちに動いてしまうようになるの」
「それって凄く不味くないですか」
「ええ、だから私の方で対処するように動いてます。このことはくれぐれも内密に」
「「了解です」」
「そういうことなので、聖女の護衛には呪いを受けていない兵士を当てたいと思っているの、その為の人員選定ね」
「現在の聖女様の護衛は大丈夫なのですか?」
「ええ、魔法兵団、戦士兵団両団長が張り付いて既に過剰な程だもの。
でも流石に街を離れられないでしょ、なので王都への護衛はしっかり選んでおきたいの」
「成程、わかりました!」
俺は少し違和感がある。
聖女の護衛ならば呪いを受けている奴の方が適任なのだ。
聖女になにかあれば喜んで身を呈すだろうからな。
という事はスズナは聖女を捉えるなりなんなりするつもりだろう。
それにしても魔法兵団隊長というとコリンズか、しっかり聖女の呪いを受けてしまったようだ。心配していたのだが残念だ。
やっぱり聖女をなんとかしなきゃな。
「呪いを受けているものはタイガが見ればわかるから協力お願いね、あなたが言い出したんだから」
「わかってるさ、任せろ」
「呪い以外は基準はないけど役職関係なく護衛向きであれば嬉しいわ。選抜は私の方でするから候補者を魔法兵団から100、戦士兵団から200程お願いします。
できる限りでいいわ。
期限は明日の夜までで、急ぎで申し訳ないわね」
「いえ、了解です!」
「了解です!」
明日の夜までに300人調べるのか、なかなかだな。エドガーに手伝わせよう。
「要件は以上よタイガだけ別に話があるから残ってちょうだい」
「「失礼します!」」
「エドガーも待っててくれ」
「おう、スズナさん、失礼します」
俺を残してトレイ、モーガン、エドガーの3人は応接室から出ていった。
「随分と気に入ってるのね」
「エドガーの事か?まあな、いい奴だよ。
それで、話って?」
「討伐で決定よ」
「そうか、何か決定的なのでも見つかったか」
「この国で最も信頼の厚い人物に調査を依頼したのよ。そしたら聖女は魔族と同等の人の敵だと断定されたわ」
「魔族と同じなんてのがいるんだな」
「私も知らなかったけどね、1人で動かないでね。あなたを庇いきれなくなるから」
「わかったさ。でもやるなら俺も加えてくれよ」
「ええ、頼りにしてるわ」
人の敵か、もしこのまま聖女が王都まで行って人に牙を向いたなら。
聖女のあの力を持ってすれば簡単に王都は崩壊しそうだ、そうなれば国が傾き周辺国に飲まれる戦争が起きるかもしれない。
そうなれば当然大勢の人が死ぬ。
魔族なんて比にならないぐらい恐ろしい結果になる。
呪いを振り撒く以上人に害のあるものと想定していたが確定されたら想像できるのは最悪の未来しかない。
今ここで聖女の正体が明らかになった事は幸運だったといえよう。
対抗できそうな俺がいた事も。
これまで本気で準備していなかった訳ではないが、人が大勢死ぬと分かった以上対策に力を入れないとな。
至急で呼び出しといて待たせやがってと思うが、まあスズナの立場も色々あるんだろう。
「話をする前に、タイガ、そこの2人は大丈夫かしら?」
「ああ、大丈夫だ」
「そう、良かったわ。予定通り進められそう。
エドガー、この前は囮の協力ありがとう」
「いや、俺は何もしてないぜ、タイガとトレイ、モーガンの3人が頑張ってくれたんだ」
「それでも危険な事をさせたのは事実だもの。感謝してるわ。
さて、タイガ、エドガーも事情は知ってるのよね」
「ああ、エドガーに言われて気がついた事だしな」
「そう、じゃあ居てもらって問題ないわ。
本題に入りましょうか」
ここまで本題を暈しているが、俺とスズナの今の話題は聖女の事だ。
トレイとモーガンはまだ知らないので怪訝な顔をしている。
この前は俺からスズナに頼みに行ったが今回は俺に頼み事があるようだな。
そしてそれにはトレイとモーガンも関わってくるようだ。
「さてと、トレイとモーガンはしばらく私が借り受けることになっています。現在の調査任務を引き継ぎ次第私の指示にしたがってください」
「「はっ!了解しました!」」
さっきの下品な会話と打って変わって2人は真面目モードだ。
「2人には今日から1週間後の聖女がこの街から王都へ向かう際につける護衛の兵士の候補者リストの作成をお願いします」
「自分たちがですか?!」
「ええ、トレイ、あなたは優秀な連絡役だそうね、魔法、戦士兵団どちらにも詳しいのでしょう。あなたが適任だと思うわ」
「や、そんな!あ、ありがとうございます!」
「ふふ、モーガンもそれなりでしょう、補佐を頼むわね」
「はい!ご期待に応えられるよう頑張ります!」
一兵士としては大抜擢である。
2人のやる気は漲っているようである。
調査任務外れるのも嬉しいのかもな。
「肝心の候補者の基準なのだけど、タイガがわかるから使ってちょうだい」
「雑すぎないか、ちゃんと教えてやれよ。
慎重にするんだろ」
「まあそうよね、あなたじゃ信用ないものね」
「おいこら」
「ふふ、冗談よ。
現在この街では兵士も含め大勢の人間が呪いによる強い精神操作を受けてしまってます」
「ええー!」
「ど、どういう事っすか?
もしかして教皇の件」
「教皇はむしろ呪いを受けていた側ね
精神操作を受けると呪いを与えたものにとって利になるように無意識のうちに動いてしまうようになるの」
「それって凄く不味くないですか」
「ええ、だから私の方で対処するように動いてます。このことはくれぐれも内密に」
「「了解です」」
「そういうことなので、聖女の護衛には呪いを受けていない兵士を当てたいと思っているの、その為の人員選定ね」
「現在の聖女様の護衛は大丈夫なのですか?」
「ええ、魔法兵団、戦士兵団両団長が張り付いて既に過剰な程だもの。
でも流石に街を離れられないでしょ、なので王都への護衛はしっかり選んでおきたいの」
「成程、わかりました!」
俺は少し違和感がある。
聖女の護衛ならば呪いを受けている奴の方が適任なのだ。
聖女になにかあれば喜んで身を呈すだろうからな。
という事はスズナは聖女を捉えるなりなんなりするつもりだろう。
それにしても魔法兵団隊長というとコリンズか、しっかり聖女の呪いを受けてしまったようだ。心配していたのだが残念だ。
やっぱり聖女をなんとかしなきゃな。
「呪いを受けているものはタイガが見ればわかるから協力お願いね、あなたが言い出したんだから」
「わかってるさ、任せろ」
「呪い以外は基準はないけど役職関係なく護衛向きであれば嬉しいわ。選抜は私の方でするから候補者を魔法兵団から100、戦士兵団から200程お願いします。
できる限りでいいわ。
期限は明日の夜までで、急ぎで申し訳ないわね」
「いえ、了解です!」
「了解です!」
明日の夜までに300人調べるのか、なかなかだな。エドガーに手伝わせよう。
「要件は以上よタイガだけ別に話があるから残ってちょうだい」
「「失礼します!」」
「エドガーも待っててくれ」
「おう、スズナさん、失礼します」
俺を残してトレイ、モーガン、エドガーの3人は応接室から出ていった。
「随分と気に入ってるのね」
「エドガーの事か?まあな、いい奴だよ。
それで、話って?」
「討伐で決定よ」
「そうか、何か決定的なのでも見つかったか」
「この国で最も信頼の厚い人物に調査を依頼したのよ。そしたら聖女は魔族と同等の人の敵だと断定されたわ」
「魔族と同じなんてのがいるんだな」
「私も知らなかったけどね、1人で動かないでね。あなたを庇いきれなくなるから」
「わかったさ。でもやるなら俺も加えてくれよ」
「ええ、頼りにしてるわ」
人の敵か、もしこのまま聖女が王都まで行って人に牙を向いたなら。
聖女のあの力を持ってすれば簡単に王都は崩壊しそうだ、そうなれば国が傾き周辺国に飲まれる戦争が起きるかもしれない。
そうなれば当然大勢の人が死ぬ。
魔族なんて比にならないぐらい恐ろしい結果になる。
呪いを振り撒く以上人に害のあるものと想定していたが確定されたら想像できるのは最悪の未来しかない。
今ここで聖女の正体が明らかになった事は幸運だったといえよう。
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