黄昏一番星

更科二八

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1章 呪いの女

173話 連絡

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「なあ、タイガ、流石に恥ずかしいから手離してくれ」
「あ、すまない」

人混みを出た後もしばらく、俺は聖女のことをどうすべきか考えながら歩いていたら、ずっとエドガーと手を繋いだままだった。
男同士で手を繋いで歩くのは稀有な目で見られるのだ。悪いことをした。

「タイガ、とりあえず説明してくれよ」
「娼館の女王みたいだと言ったよな。聖女はそれどころじゃなかった。
娼館の女王は客には影響は残らないと言っていたが聖女は残る。あいつの近くでは魂まで呪われる。そして聖女は意識的に魂を呪っていた。
そんで元々呪われてるやつなんかは聖女に金や物を貢いでいた。多分呪われると貢ぎたくなるんだと思う。
全財産貢いだとか言ってたやついたよな。そこまでしたいと思わざるおえないぐらい呪いによって意識が変えられてしまうんだと思う」
「ええ!それじゃあの場所にいた人たち全員呪われちゃうぞ!どうすんだ?」
「分からない、だからとりあえず兵士団の詰め所行こう」
「わかった!」

走りながら考える。
教皇の魂は酷く歪んでいた。聖女によって魂を呪われた結果だ。
教皇の言っていたあの方とは聖女で間違いない。
魂を呪うという事は聖女は魂を感じ取れている。
教皇は悪しき魂を殺していた。聖女の為に。
おそらく聖女はエドガーの魂をどこかで見てそれが不都合とわかり教皇を使ってエドガーを殺させた。

エドガーには聖女にドス黒い靄が見えたらしい。
よく分からない力がエドガーにはある。
それに聖女は気づいたのだろう。
他に教皇が殺していた奴らも同じ様な力を持つ連中だったのかも知れない。

この事実は魔法兵団のコリンズに伝えなければ。
だが詰め所にいるだろうか、教会周りの警備ものすごかったから出払っているかも知れない。

そうこう考えている間に魔法兵団の詰め所についた。
街の中央あたりにある教会から北街区の詰め所まではそう離れていない。

「コリンズいない!」
「はい、今日は兵士殆どが教会付近の警備に当たっていまして。コリンズ団長は現場指揮の為に教会にいらっしゃいますよー」

やっぱいなかったか。
コリンズの事も心配だ。
しかし教会に戻るわけにはいかないし、近づけないだろう。
ならばあいつだ。

「辺境伯夫人に会う為にはどうすればいいか知らないか?」

望みないだろうが詰め所で捕まえた兵士に聞いてみた。

「難しいと思いますよー。僕だって会った事ないですし。
通常は意見書を兵士団かギルド経由で届けて必要であれば面会できます」
「兵士団で何か起こった時はどうやって連絡してるんだ?」
「それは僕は知りませんね、兵長あたりに聞いてみないと。
兵長ーー!!!知ってるーー?」
「何がーーー!!!!」

絶対伝わっていない質問をして兵長を呼び寄せてる。
この兵士胆力あるな

「おーう、上官呼び寄せるなよ。
そんで?あんたらは最近団長が世話になってる奴らだな。なんか用か?」

どしどしと魔法兵らしくないごつい体格の魔法兵団の制服を着たウサギ獣人のおっさんが歩いてきた。
エドガー並に魔力量が凄い!

「重要なこと伝えたくてコリンズに会いたかったんだがいないそうでな、代わりに辺境伯夫人に話そうと思ったんだがいい方法ないか?」
「俺だって辺境伯夫人様には会ったことねーぜ、まあ連絡取りたいなら屋敷と連絡取れる魔道具はあるけど緊急時の時だけだ」
「緊急だ、頼めないか?俺辺境伯夫人の知り合いだし、俺が無理矢理やらせたって事にしていいから。ここで連絡入れられなかったら直接屋敷に殴り込みに行く」
「おいおい、物騒なことはやめてくれ!後がめんどくせえから!
とりあえず内容は聞いてもいいか、あとあんたの名前は?」
「タイガだ、カタラギ タイガ
今教会に集まった連中が呪われまくってることを知らせにきた」
「はあ!呪い?!
あそこ相当人がいるんだろ。一大事じゃねえか!すぐ連絡してやるから待ってろ!」
「頼む」

兵長と呼ばれたウサギ獣人のおっさんは、凄い速度で建物の中に駆け込んで行き、領主屋敷に連絡をとってくれた。
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