黄昏一番星

更科二八

文字の大きさ
上 下
150 / 352
1章 呪いの女

149話 タイガの過去-山修行

しおりを挟む
更に俺の昔話は続く
何も知らない俺に村の鬼たちからの厳しい洗礼を受けたわけだが、強くなって全員にやり返すと決めたからには色々頑張ってみた。

「村の鬼たちに仕事の勝負を挑みまくってたけどまあ全く勝てなくて、腕っぷしでも勝てなくて掘られまくってたわけだが、俺もただ大人しく掘られてた訳じゃない。やられてるうちになんなら俺が主導権取れないかと頑張るようにもなった。村の中にはなんならそっちの方が好きと言う奴もいて、掘る側が音をあげたりするのを見てたから、勝負になるかもと思ってたんだ。上手いやり方聞いたりもした。ただ非力なガキじゃ無理だったけどな。クソ痛いの我慢して頑張ってはみてたんだが、そんな様子を知ってマセガキだとか更にバカにされたもんだがそういう奴にも俺は喧嘩挑んで負けてた。ムカつきすぎてやられてる最中に包丁でちんぽ切り落としてやろうかと試した事をあったんだが、村のやつら全員氣の使い手でちんぽに突き立てた包丁が曲がった」
「ええーやべえな。でもそんなガチガチなのはかっけえと思う」
「俺もそう思った。逆に感動してすげえすげえ言ってたらなんか気をよくしたのかいつもより丁寧に掘られた。クソ痛いのには変わりなかったけどな。エドガーもちゃんと相手は褒めてやれよ」
「おっ、おう・・・」

犯してくる相手を褒めるというのは変な話ではあるが、おれは主導権を握るためには有効な手段を得たと思えた。
でもデカいちんぽを腹の奥底まで全力で突っ込まれるわけで、そんな最中に褒める余裕なんて全く無かった。
ちなみにだが、この頃の俺は鬼たちがケツにちんぽ突っ込んでバコバコしてる意味は分かってなかった。
勝負に負けたら突っ込まれるのは村の中では当然なことであって、上下関係を分からせるための行為ぐらいの認識だった。
まあそれも間違いではないのだが、結局はただの発散目的だ。
俺は簡単に使える玩具扱いだった。

「そんなこんなでいろんな事に負けまくっていたが、確実に実力はついていた訳でな、爺ちゃんとの稽古や他の鬼とのケンカもだんだん耐えれる時間は長くなったし、村の仕事もちゃんとできれば褒められるし確実に手応えがあって楽しかった。
俺が作った飯を食べさせたり、俺が作った服を着させたりすると俺がそいつを支えてやっているような気がして気持ちよかったから進んでそういう仕事をしてたな」

これがあって俺の生活力が爆増していった訳だ。
後に爺ちゃんは家事全て俺に押し付けるし村の奴らも俺に飯をせびったり俺の仕事に期待されるようになって、俺が上に立てているようで心地よかった。
この経験が魔法学園の下働きとして大いに生かされた。

「そんで8歳の時だ。突然爺ちゃんに山に連れてかれて、そこで裸にひん剥かれて、1週間生き延びて自力で帰ってこいと言われて置き去りにされた。多少喧嘩は強くなったがまだまだ氣もよくわかってない頃だ。今のエドガーの方が強いだろうな」
「ええ・・・俺でも山に1人はたぶん無理だぞ」

しってる。
ちゃんと経験や知識がある奴じゃないと山に1人で入るのは危険だ。
裸なんて論外だ。
流石にそこまでしないがそのうちエドガーを山に放り込もうとは思ってるけどな。

「俺も途方に暮れたさ。服が無いだけでも不安になるなんて思ってなかったしな。でも弱気は一切すてた。そんな考えだと確実に死ぬし、服に守られてないと安心出来ないとか弱々しくてかっこ悪いと思ったからな」
「よく8つでそれだけ切り替えられるよな」
「日々の生活で学んできた結果だろうなー。弱気見せるだけで揶揄われるし女みてえって言われて襲われるからな。負けん気だけは人一倍あったし、それを維持する精神力もだいぶ育ってたんだと思うぞ」
「やっぱり気合い入った子供だったんだな」

まあそれもあるだろう。
普通子供が大人の鬼なんか見たら気迫に負けて泣き出すところでも俺は普通だったし。
ガキのくせして喧嘩挑むし。
勝てないからって心折れたりはしたことないし。
だいぶいい性格してると思う。

「山に入ってからは生き抜くために必死に必死に考えて動いたな。
体を泥だらけにして臭いを消してみたり。木に素早く登れるように練習したり、投げられる石を集めたり。食い物も一応解体の心得はあったけど無手だから獲物を取るというのはやめて食べれそうな葉や実を集めた。
あとはひたすら警戒し続けて魔物の気配を感じる事に勤めたし、自分の気配をの隠し方を試行錯誤し続けた。
小さい魔物でも見つけたら徹底して逃げて生き延びる事だけに専念してた。
挑む事にこだわり続けていた俺の心は揺らいだな。村では結局負けようが死ぬことは無いけど、山だと負ければ食われて死ぬからだ。慎重になる事を知らない事を思い知らされた。
魔物と対峙したらどうするか、怪我をしたらどうするかとかあらゆる事を予測し続けて危険回避に勤めてなんとか1週間耐え切って裸のまま村に帰った」

腰蓑や木の皮をはいで衣ぐらいは作れたが服に依存した考えを払拭するためにずっと裸で過ごしてた。
ちんぽを虫に刺されてめちゃくちゃ腫れて絶望したのが今でも鮮明に思い出せる。
1日したら治ったけど。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

復讐はちゃんとしておりますから、安心してお休みください、陛下

七辻ゆゆ
ファンタジー
「フィオネよ、すまな……かった……」 死の床で陛下はわたくしに謝りました。 「陛下、お気が弱くなっておいでなのですね。今更になって、地獄に落とされるのが恐ろしくおなりかしら?」 でも、謝る必要なんてありません。陛下の死をもって復讐は完成するのですから。

冤罪で追放した男の末路

菜花
ファンタジー
ディアークは参っていた。仲間の一人がディアークを嫌ってるのか、回復魔法を絶対にかけないのだ。命にかかわる嫌がらせをする女はいらんと追放したが、その後冤罪だったと判明し……。カクヨムでも同じ話を投稿しています。

【完結】精霊に選ばれなかった私は…

まりぃべる
ファンタジー
ここダロックフェイ国では、5歳になると精霊の森へ行く。精霊に選んでもらえれば、将来有望だ。 しかし、キャロル=マフェソン辺境伯爵令嬢は、精霊に選んでもらえなかった。 選ばれた者は、王立学院で将来国の為になるべく通う。 選ばれなかった者は、教会の学校で一般教養を学ぶ。 貴族なら、より高い地位を狙うのがステータスであるが…? ☆世界観は、緩いですのでそこのところご理解のうえ、お読み下さるとありがたいです。

Hしてレベルアップ ~可愛い女の子とHして強くなれるなんて、この世は最高じゃないか~

トモ治太郎
ファンタジー
孤児院で育った少年ユキャール、この孤児院では15歳になると1人立ちしなければいけない。 旅立ちの朝に初めて夢精したユキャール。それが原因なのか『異性性交』と言うスキルを得る。『相手に精子を与えることでより多くの経験値を得る。』女性経験のないユキャールはまだこのスキルのすごさを知らなかった。 この日の為に準備してきたユキャール。しかし旅立つ直前、一緒に育った少女スピカが一緒にいくと言い出す。本来ならおいしい場面だが、スピカは何も準備していないので俺の負担は最初から2倍増だ。 こんな感じで2人で旅立ち、共に戦い、時にはHして強くなっていくお話しです。

我が家に子犬がやって来た!

もも野はち助(旧ハチ助)
ファンタジー
【あらすじ】ラテール伯爵家の令嬢フィリアナは、仕事で帰宅できない父の状況に不満を抱きながら、自身の6歳の誕生日を迎えていた。すると、遅くに帰宅した父が白黒でフワフワな毛をした足の太い子犬を連れ帰る。子犬の飼い主はある高貴な人物らしいが、訳あってラテール家で面倒を見る事になったそうだ。その子犬を自身の誕生日プレゼントだと勘違いしたフィリアナは、兄ロアルドと取り合いながら、可愛がり始める。子犬はすでに名前が決まっており『アルス』といった。 アルスは当初かなり周囲の人間を警戒していたのだが、フィリアナとロアルドが甲斐甲斐しく世話をする事で、すぐに二人と打ち解ける。 だがそんな子犬のアルスには、ある重大な秘密があって……。 この話は、子犬と戯れながら巻き込まれ成長をしていく兄妹の物語。 ※全102話で完結済。 ★『小説家になろう』でも読めます★

月が導く異世界道中

あずみ 圭
ファンタジー
 月読尊とある女神の手によって癖のある異世界に送られた高校生、深澄真。  真は商売をしながら少しずつ世界を見聞していく。  彼の他に召喚された二人の勇者、竜や亜人、そしてヒューマンと魔族の戦争、次々に真は事件に関わっていく。  これはそんな真と、彼を慕う(基本人外の)者達の異世界道中物語。  漫遊編始めました。  外伝的何かとして「月が導く異世界道中extra」も投稿しています。

番から逃げる事にしました

みん
恋愛
リュシエンヌには前世の記憶がある。 前世で人間だった彼女は、結婚を目前に控えたある日、熊族の獣人の番だと判明し、そのまま熊族の領地へ連れ去られてしまった。それからの彼女の人生は大変なもので、最期は番だった自分を恨むように生涯を閉じた。 彼女は200年後、今度は自分が豹の獣人として生まれ変わっていた。そして、そんな記憶を持ったリュシエンヌが番と出会ってしまい、そこから、色んな事に巻き込まれる事になる─と、言うお話です。 ❋相変わらずのゆるふわ設定で、メンタルも豆腐並なので、軽い気持ちで読んで下さい。 ❋独自設定有りです。 ❋他視点の話もあります。 ❋誤字脱字は気を付けていますが、あると思います。すみません。

勇者一行から追放された二刀流使い~仲間から捜索願いを出されるが、もう遅い!~新たな仲間と共に魔王を討伐ス

R666
ファンタジー
アマチュアニートの【二龍隆史】こと36歳のおっさんは、ある日を境に実の両親達の手によって包丁で腹部を何度も刺されて地獄のような痛みを味わい死亡。 そして彼の魂はそのまま天界へ向かう筈であったが女神を自称する危ない女に呼び止められると、ギフトと呼ばれる最強の特典を一つだけ選んで、異世界で勇者達が魔王を討伐できるように手助けをして欲しいと頼み込まれた。 最初こそ余り乗り気ではない隆史ではあったが第二の人生を始めるのも悪くないとして、ギフトを一つ選び女神に言われた通りに勇者一行の手助けをするべく異世界へと乗り込む。 そして異世界にて真面目に勇者達の手助けをしていたらチキン野郎の役立たずという烙印を押されてしまい隆史は勇者一行から追放されてしまう。 ※これは勇者一行から追放された最凶の二刀流使いの隆史が新たな仲間を自ら探して、自分達が新たな勇者一行となり魔王を討伐するまでの物語である※

処理中です...