黄昏一番星

更科二八

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1章 呪いの女

146話 重い

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俺とエドガーはギルダナの街へ戻る街道を早いペースで走っていた。
俺の背には体調4メートルはあるドスグリズリーを担いでいる。

「タイガ、大丈夫か?」
「余裕!」

威勢よく返事をして走り続ける。
体力的にはまだまだ余裕だが、流石に500キロは余裕で超えていそうな重さのドスグリズリーを担いで走ると汗が滲む。
それに血抜きが不十分で血が滴り血まみれで滑らない様に気を使ってもいる。
なんか俺はよく血まみれになってるな。

街の北門では流石に兵士に驚かれていた。
エドガーに荷物を預けていたので代わりにギルドカードを出してもらい街に入れてもらう。
この街を拠点にしていれば街へ入る際の税金はかからなかった。
門をぬけ一気にギルドの解体場を目指して走り、解体場へ着くとすぐにバートが出てきてくれた。

「ははは!ドスグリズリー担いで持ってきたのはおめーが初めてだせ!」
「すまんが時間がなくて血抜きが不十分なままだ、一応魔法で冷やしているぞ」
「上等上等!あとはこっちで処理しとくから大丈夫だ!見積もり準備しといてやるから風呂行ってこい」
「いいのか!?」
「そんな血まみれで帰ったら街のやつが逃げ出すだろ。エドガーも入ってけ」
「やったー!」
「その代わりまた解体の仕事来いよ。まだコボルト片付いてねえんだ」
「明日か明後日にでもな、風呂入れるってだけでくる価値ある」
「ほんと風呂好きだなお前ら」

風呂に入れるとは思っていなかったので好意に甘えておく。
ここの風呂は広いし体の大きい俺やでエドガーでもちゃんと浸かれるように少し深くなった場所もある。
洗濯の魔道具もあり服も綺麗にできる。
この街でここしか風呂を知らないがとても気に入っている場所だ。
それに肉体労働をする場所なだけあって他に使うやつもそれなりに逞しいやつが多い。
目の保養にも役に立つ。

「はーやっぱり労働のあとの風呂は最高だ」
「バタバタ帰ってきたからタイガの昔話聞けなかったな」
「そうだなー宿戻ってからにするか。そんな聞かれたい話でもないしな」

エドガーにしようと思っていることは俺にとっては少し情けない話も含まれる。
エドガーに話す分なら気にしないが、他の奴らには聞き耳立てられたくはない。

「楽しみだな、今までタイガの昔話ってあまり聞いたこと無かったしな」
「エドガーの昔話もそんなに聞いたことないぞ」
「俺は本当にこれまで必死に仕事しかしてきてないから何もないぞ」
「それでも何かあるだろ、仲良い奴ができただとか楽しかったことがあっただとか」
「結局奴隷は奴隷なりな扱いだから怒鳴られたり叩かれたりしないように仕事のことだけしか考えてなかったぜ」

くそーエドガーの過去が重い
青春時代のあれこれが何もなく怯えながら仕事してただけとか辛すぎるだろ。
よく前向きに生きてこれたもんだ。

「エドガーの過去話重いから終わり!
エドガーはこれからだな!」
「そうだな、俺も今が1番楽しいな!」

1番かどうかはさておき俺もエドガーと出会ってから楽しくやれている。
エドガーが死んだ時はやばかったが。
これからも俺といる間は楽しくやっていきたいもんだ。
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