黄昏一番星

更科二八

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1章 呪いの女

125話 兵舎最後の夜

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兵舎の部屋に戻ると小さな灯りの魔道具だけ灯してモーガンが見張をしていた。
エドガーは眠っている様だ。

「おかえりー、朝帰りかと思ってたよー」
「今回はちょっと真面目な用事だったんだ」
「へーちなみにどんな?」
「言えないやつ、でもすぐに分かるさ」
「ふーん。まあお疲れ。しっかり休んで」

モーガンは教皇が主犯だったと言うことは伝わっていないようだ。
いまだに戻らないトレイのことも気になったのか、少し追求気味に聞いてきたが俺の回答で何か面倒そうなことがあったのだろうぐらいは伝わった様だ。

俺はそそくさと部屋着に着替えてすぐにベッドの布団に入り込んだ。
横のベッドで眠るエドガーの魂を氣で感じ取る。
いつもと変わらずキラキラと輝きを感じてじんわり暖かさを覚えて和む。
どこが悪き魂なんだか。
俺には凄く優しいものに感じる。

ついでにモーガンの魂も感じとる。
エドガーと同じ様に輝きや暖かさがある。何となくエドガーよりもふんわりとした印象を受ける。それでも悪い感じはまるでしない。
教皇の魂に感じた歪さは明らかに違和感だったのに。
その事についてはコリンズに話さなかったな。
重要なことではないだろう。あんな性格のやつだから魂も歪になるさ。
変な事を言ってコリンズを混乱させたくもないからな。

「モーガン、俺らは明日の昼にはここをでる。これまでありがとな」
「そうかー、護衛任務にしては楽しかったよー。タイガには逆に世話になっちゃったなー」
「俺も楽しかったからいいって事よ。トレイは朝には戻るかな」
「流石にね、働きすぎだよ」
「確かにな。俺ももう寝る。見張りはもう必要ないはずだからモーガンも適当にくつろいでくれ」
「わかったーおやすみー」
モーガンのいつもの間の抜けた声を聞き目を閉じるとすぐに眠りに落ちた。

翌朝、エドガーが起き出す気配を感じて目を覚ました。
「タイガ、おはよう」
「おはよう。鍛錬か?」
「うん、タイガも一緒行くか?」
「行く、ただ、ちょっと待ってくれ」
「ははは、いつもと逆だな!」

いつもは俺が先に起きてエドガーのが鎮まるのを待つのだが、今日は俺が遅い。
鎮めるのに集中しつつエドガーと反対を向くとトレイとモーガンが眠っていた。
仰向けに眠るモーガンの股間の辺りの毛布が少し盛り上がっている気がする。
朝からちょとラッキーだな。
結局2人の裸は拝めず仕舞いになったのが心残りだ。

「タイガはいつ戻ってきてたんだ?」
「3時ぐらいだな、ちゃんと送り届けて来たぞ。裸にひん剥いてじまったが」
「何したんだ?」

エドガーは疑いではなく好奇な意識を向けてくる。

「小便漏らしやがってな、汚ねえから服剥がした。」
「うわぁ・・・」
「小さかったぞ、それに包茎。一緒にいた護衛の竜人族は結構デカかったな。エドガー以外では久々にいいもん見た」
聞かれてはいないがどうせエドガーは気になるだろうから教えといてやる。

「護衛も脱がせたのか。デカいなら俺も見てみたかったな」
ほらエドガーはこういうやつだ。

「護衛は送った先で着替えさせた時にな。まあ、残念ながらもう会う機会は無いかもな」
「そうかー残念」
「よし、治ったし鍛錬行くか」
「おう!」

エドガーの気のいい返事で俺にも気合いが入る。
トレイとモーガンを起こさぬように部屋を出てこの兵舎で最後となる朝の鍛錬に向かった。
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