黄昏一番星

更科二八

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1章 呪いの女

95話 依頼受注

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エドガーがギルドに登録し、道具や練習用の武器を買った翌日。

朝の鍛錬ではエドガー25歳児は早速買った剣を振り回して大はしゃぎ。
練習相手のモーガンに転がされてまくっていた。

俺も俺で鍛錬に熱は入る。
だって今日は風呂だからな!
ちなみに最近早朝の兵舎の中庭は結構兵士がいる。
俺の鍛錬を観にくる連中などだ。
俺はこの兵舎でモテているのだ。
汗でずぶ濡れパンイチ姿で決める強者の表情にも力が入る。

でも流石に俺を恐れて水浴び覗きにくるやつまでは出ていない。
観られても構わないんだがそこは流石に分別のある兵士という事なのだろうか。
いつもの一番奥の洗い場は何となくエドガーの匂いがした気がした。
俺が綺麗にしといてやろう。

鍛錬後はエドガーと共にうっきうきな心持ちでギルドへ出かける。
今日はトレイとモーガンはついてこない。
解体場で流石に襲われることはないだろうしな。
帰りの時間に合流予定だ。

「今日はやけに気分良さそうだな」
「そりゃそうだ!風呂だぜ風呂!」
「一緒行く約束してだもんな、俺も風呂ってのが楽しみだ」

ちなみにこの街でも風呂はあるところにはあるらしい。
エドガーが全く無縁な人生を送ってきただけのようだ。
普通の家には無いが、汚れる事の多い仕事場や貴族や金持ちの屋敷などにはあるし、街から出て北にあるという訓練兵の兵舎にもあるらしい。とても気になる。
普通の家は小さい洗い場がついているか、外にある共同の井戸周りに洗い場が設けられているそうだ。
エドガーはずっと外の井戸だったそうだ。
冬とか可哀想だ。

ウキウキ気分で風呂への期待を膨らませギルドに到着。
相変わらず掲示物の寂しい解体部門の掲示板を2人で見る。

「本日解体予定
コボルト、ランクF、定員50、解体費1匹100ロング
ツインヘッドサーペント、ランクD、定員2、解体費500ロング
ドスグリズリー、ランクD、定員6、解体費1体500ロング
ビッグソードフライフィッシュ、ランクC、定員10、解体費1匹3000ロング」

相変わらずのコボルト祭りのようだ。
いったいどれほど溜め込んでいるんだろうか。
腐ったりしないのだろうか。
俺が初めて仕事した日からもう10日ぐらい経っているのだが。
でも残ってくれているのは助かる。
めっちゃ稼げるしな。

「コボルトだな!」
「それしか無いよな・・」
「大丈夫、犬っぽいが魔物だ、最初のうちに慣れておくと思えばいいさ」
「そうか、そうだな。」

受付にコボルト解体の受注をしに行くと以前と同じ狐獣人のハーフの女性だった。

「久しぶりですねーSランク。
ギルドでのお仕事も久々じゃないですか。
バートさんも来ないってぼやいてましたよ」
前と同じようにノリの軽いお姉さんだ。
「ちょっとしばらく立て込んでてな。
やっと落ち着いたんで仕事再開だ」
「期待してますよー。
そちらの方は初めてですね!」
「エドガーだ初めて仕事する。今後よろしく頼むな」
「あら!エドガーさん!配達屋のエドガーさんが犬になって傭兵登録したって傭兵部門の子も噂してたんですよ。
本当に犬になっちゃって、解体部門でも頑張ってくださいね!
最初からD評価も珍しいって期待されてるんですよ!」
「ああ、やれるだけ頑張るよ」

エドガーも期待されてると知って嬉しそうだ。

「お二人で受けるんですねー、ふふふ、楽しみです。
エドガーさんはコボルトでいいんですけど、タイガさんは今日はドスグリズリーお願いします」
「俺はEランクだが、いいのか?」
「ええ、タイガさんなら問題ないから少し上のやつも回せと言われてます。
それとコボルトは低ランクの方の大事な収入源になってるので、あんまり捌かれすぎても困るんですよ」
「なるほど、分かった」

そうなることは考えていなかったな。
コボルト祭り期待していたのに残念だがエドガーががっぽり稼げたらそれでいいか。
「それじゃ受注受付完了です。
お二人とも頑張ってきてくださいね!」
「ああ、対応してくれてありがとう」

それじゃ早速と行きたいところだが
「エドガーまずはオークションの様子を見に行こう」
競り合ってる商品の終わりはまだ先だが、俺の出している平凡盗賊団の旅人の輪とか気になる。
オークションの商品が並べられた部屋に入り、平凡盗賊団の旅人の輪を確認すると9個のうち6つは入札が入っていた。

「すげーな、昨日の今日で」
「まだ値段的には安いがこの調子なら問題なさそうだな!」

次は俺がオーガ族のガグと競り合ってる旅人の輪を見ると未だに俺が最高額だ。
今の所は順調だ。
だけど少し疑問に思うことがある。
このオークションシステムは時間ギリギリに少しだけ値上げするば確実に落札できるのではと。
近くのやつに聞いてみるか。

「ああ、最終日の入札は最低でも1割り増しで入札しなきゃいけないんだよ。そして最後の1時間は2割り増しって決まりだ。
あ、ちなみにオークションの終わりの時間は夕刻の鐘のときだよ。」
「なるほど、わかった。ありがとう。」

そういうことなら最後ギリギリで持っていかれることはあってもそれをやる分にはそれなりの出費も必要なのか。
まあ奴の出方次第だな。

最後に例のものもついでに確認しておこう。
あそこにはめる用の旅人の輪。

「タイガそれ欲しいのか?」
「いらない」

エドガーが不思議そうな顔で見てくるのを尻目に入札をみる。
ガグの名前は消され追加で2人入札を行なっている。
というかこれそもそも結構入札してる奴が多い。
さて奴はどう動くのか楽しみだな。
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