黄昏一番星

更科二八

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序章 新天地と仲間との出会い

85話 夢と仲間

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配達屋の建物から出て来たエドガーと合流する。
エドガーの顔に翳りはない。

「随分な気迫を感じたが、いつの間にそんなの覚えたんだ」
「そうなのか、タイガを少しでも真似できればと思って気合入れたんだ」
「強さのイメージは氣に力を持たせるからな。それがうまくいったんだろう。
ほんとは自分の強さでやってほしいけどな」
「そうなんだな、人の強さに乗っかるのはかっこ悪いもんな」
「でも最初はそれでもいいさ、おいおいだな」

氣に想いを乗せて相手に放ったり身体に込めて強化したりはそれなりに難しい。
はっきりと効果に現れるようになるまでが難しいのだ。
エドガーは相手を威圧させるだけの氣を放ったのだ。
それだけ氣の素質もあると言うことだ。
ますます成長が楽しみになる。

「あれだけ怖かった店長が最後はちっぽけに見えたぜ」
「エドガーに比べたらほとんどの男はちっぽけさ」
「違う場所の事言ってるだろ」
「ははは!もちろん!デカい事はいい事だ!」
「そうだな、カッケェもんな」
エドガーとは趣味が合いそうだ。

「それで、エドガーはこの後どうしたいんだ?」
「おれさ、冒険者になりたい」

冒険者
予想してなかった言葉が出て来た。
俺はどんな者なのかよく知らない。

「昔、話を聞いて憧れたんだ、カッケェなって。
多分ギルドのワーカーは皆んなそうだと思うけど。
俺は縁が無いと思ってた、でも今からでも目指してみてもいいかなって思ったんだ。
挑戦しないままなのはかっこ悪いかなってな」

なるほど、夢を追うのは悪くないな。
いいぞ、いいじゃないか。
理由も悪くない。
実に男らしいと思う。
俺の夢って何だ?
今何に憧れがある?
わからん、これじゃだめだ。
そうだ、この街に銭湯を建てよう。
そうしよう。
今はこれだ!

「いいと思うぞ。夢を追うのはいい事だ。
俺も目指そうかな。
俺も低ランクだし一緒にやらないか?」
エドガーがギルドで仕事をするなら一緒にとは考えていた事だ。
実力に大きな開きがあるが、エドガーが良ければそうしたい。
その方が楽しいだろう。

「俺の実力だとおんぶに抱っこになってしまうけど」
「最初はそんなもんでいいだろ。色々俺が教えるし、お互いやれることをしていけばいい事だ」
「タイガがいいのなら、俺だってそうしたいと思ってたし」
「決まりだな。よろしくな、エドガー!」
「ああ!よろしくな、タイガ!」

俺とエドガーがちゃんとした「仲間」になれた瞬間だった。
今後二人でどんな事が起こっていくのが楽しみで仕方なかった。

このままギルドでエドガーの登録して飲み屋に洒落込みたいところなのだが、俺たちは今は一応護衛される身なのだ。
俺たちの近くにはトレイとモーガンが私服で見張ってくれている。
今日の目的はエドガーの元勤め先のみだったのでこのまま帰らなければならない。
ギルドはまた今度だ。

「エドガー、俺この街に銭湯を建てるぞ」
「銭湯?どうしたんだいきなり?」
「俺の夢だよ。
エドガーが夢を追うなら俺だって目標欲しいだろ。だから今作った」
「そうか、俺も銭湯ってのは気になるから応援するぜ!」
いつかエドガーと二人で男たちにドヤ顔ぶちかましたいぜ!
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