黄昏一番星

序章 新天地と仲間との出会い

57話 闇

黒いローブに大きなフードを被った女は小さな燭台の蝋燭の明かりを手に真っ暗な細い通路を進んでいた。
通路の突き当たりには小さな螺旋階段。
階段を上り切ると狭い部屋、そこには腰丈ほどの扉がありそこをローブの女は潜ってすぐに扉を閉めた。
薄暗く月明かりの差し込む大きなガラス窓が特徴的な部屋に入る。

「お帰りなさい、ジェシカ。」

声のした方向にローブの女は振り向くと身なりの良い黒いマントを羽織った男が部屋の隅の長椅子に腰掛けていた。
ローブの女は頷くだけの返事をする。

「ここではフードはとりなさい、うまく行ったようで何よりです。神もお喜びでしょう。」
ローブの女はフードを取る。
整った顔立ちの銀色の短い髪、折られた角、青い肌、緑色の瞳の女の顔が現れる。

「約束。」
「もちろん、もう少しだけ頑張ってください。」
「次は？」
「今はまだ。」
「そう、また使って。」

身近なやりとりだけするとローブの女は来た時と同じ扉から去る。

残った黒のマントと男は思う。
今回処理した人間のこと。
珍しく知った存在だった、この街に来て短いが街で何度も見かけた顔、度々困っている人を助ける姿。

男は微笑む。
「また少し彼女の世界が綺麗になりましたね、もっと綺麗にして差し上げたい。」
そう呟きその女の姿に思いを馳せるのであった。