黄昏一番星

更科二八

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序章 新天地と仲間との出会い

38話 受け入れたくない

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「エドガー!!」
全速力で倒れるエドガーの元に駆け寄った。
変身魔法は解け狼獣人の姿に戻ったエドガーが大量の血溜まりをどんどん大きくしている。

ゾッとする。
気づけばフードの人物は消えている。
探してる時間はない。

「エドガー!!おい!しっかりしろ!」

現実を受け止めたくなくエドガーに呼びかけるも反応はない。
エドガーの傷は首元から腹の下まで、背中も貫通してばっくりと切り裂かれている。

即死という嫌な言葉が頭から離れない。

死んでしまった者はどうにもならないというのが常識だ。
でも諦めたくない。受け入れたくない。
何か方法はないか、どうやったらエドガーを助けられる。
とにかく今やれる限りのことはしたい。

一瞬で思考を巡らせる。
思いつくものはどれもこれも不確かだが全てを試せばあるいは・・
ダメだとしても全てを試したい。

でもそれをするにはここではダメだ。
まずは移動しなくては。
状態の保存のために幾つかの魔法をかけてエドガーを抱き抱えた。

人に見られるのはまずいと思い透明化の魔法を自分とエドガーにかける。
そして体に氣を強く満たして全速力で走る。

早く動くことが苦手だ、
それでも速さが出る様にと地面を全力で蹴り進んだ。

泊まっている宿屋に着く。
今の時間酒場には客がいるはずだからバレると騒ぎになる。
透明化の他に魔族を倒した時のように気配も限りなく薄くする。
静かに宿屋に入ると酒場はまだ半分ぐらい客が残っている。

客の意識を避けながら移動し店主のグーグさんの近くまでいく。
「グーグさん、タイガだ。」
グーグさんは急に話しかけてびっくりした様子であたりを見渡している。
「すまない、今透明化の魔法を使ったまま話しかけている。
エドガーが大怪我を負ってしまって連れて来た。部屋で治療したい。すまないが代金は後にさせてくれ。必ず払う。」
「ええ、だっ大丈夫なのか!」
グーグさんは声のする方に話しかける。
「いや、かなり厳しい。だからしばらくの間は集中させてくれ。」
「わかった。エドガーにはいつも世話になってるんだ。頼んだぜ。」
「ああ、全力を尽くす。」
こっそりと階段を登り俺が借りている部屋までたどり着いた。
ひとまず第一関門は突破だ。
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