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第3章 光と「クリチュート教会」
91話 百式出る!
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「で、なんとなく目標も決まったところで、いつくらいに出発する?」
話の段落もついたところで、俺は2人に聞いてみた。
「そうね、それが問題ね」
ルージュは計画をいろいろと考えていたように思えたが、時期についてはあまり考えていなかったようだ。
「質問を変えた方がいいか。じゃあ出発までに、やっておかなきゃダメな事とかあるかな」
改めて二人に質問をしてみた。
「ヒカリさんはどう思いますか?」
アマリージョもルージュ同様、目標以外は決めていなかったようだ。
「そうね、ヒカリの意見が聞きたいわ」
ルージュもヒカリに意見を求める。
『・・・そうですね。私は・・・いえ特にはありません』
「そう言えばヒカリって、命令はする割に自分でこうしたい、ああしたいとか、言わないわよね」
「確かにそうですね。私もヒカリさんがワガママ言う感じとか想像できないですし」
ルージュとアマリージョが、ヒカリについてツッコミを入れだした
『いえ。そんなことはありませんが・・・』
「なあ、ヒカリ。それって、もしかして今までは機械として命令を的確に、それこそ確率とかで計算していたけど、感情が芽生え始めて、何か葛藤があるんじゃないの?」
『・・・よく分かりません・・・が、私の中で最善ではないことも色々と試してみたいと言いますか、確率は低くてもこちらの方が好き、という矛盾した考えが、少し前からあることは確かです』
「やっぱりそうか。時々声が弾んだりしていたのも感情のせいか。まあ、迷うことはパソコンとしてはどうかとは思うけど、そういうのが生きてるって感じだから。思うままに言ってくれると助かるかな」
「そうよ。別に効率が一番いい方法じゃなくていいのよ。時には自分のやりたい事をワガママに主張するのだって、全然構わないんだから。私は効率よく旅するより、4人で旅することの方に意義を感じるわ」
「そうですよ。姉さんの言うとおりです。ヒカリさんも自分でやりたいことがあるなら、ちゃんと言うべきですよ」
『・・・わかりました・・・では早速申し上げます。まず、私は今回の旅には同行いたしません』
「え!?」
「は!?」
「!? ちょっとなんでよっ! 今4人でって言ったばかりなのに・・・私の意義はどうなるのよ!」
『そんなに怒らないで下さい。私は今までも戦闘には参加していませんし、別に連絡を取らない訳ではありませんから』
「それにしたって・・・何ヶ月か留守にするのよ。寂しいじゃない・・・」
『寂しいという感情は、まだよく分かりませんが、私は同行をしないだけで、ちゃんと代わりは用意しますから』
「「「代わり?」」」
三人同時に聞き返す。
『はい、代わりです。先日の眷属との戦いでも勝ったとはいえ、ギリギリでしたから。あの時、アマリがやられた時も、私自身が戦闘に参加できていれば・・・と何度も思いましたから』
「つまり、それって?」
さっきまで怒っていたルージュが、今度興味津々といった顔でヒカリを見ている。
『はい。私はこのままここで・・・この村から指示を出しますが、それとは別に私の分身を作成して旅に同行させようと思っています』
「おお」
「それは凄いですね」
「もしかしてそれって村長が言っていた護衛がどうのって奴?」
『はい。正解です。さすがルージュ。感がいいですね。村で使用するものは、ゴーレム君をベースに動きをもう少しスムーズにしたものです。旅に同行させるのは、それを更に改良して、阻害から見直してかなり強化したものにしようかと思っています』
「それってヒカリが使役する魔物の一種になるってこと?」
俺もヒカリの魔石が体内に入っている。
同じように魔石を入れて作るなら、自分の同じような感じになるのか。
もしそうなると、俺の立場ってどうなるんだろうか?
頭をいらない考えがいろいろと浮かび、言いようのない不安が押し寄せていた。
『身体を動かすために私の魔石を使用しますから、厳密には使役した魔物ってことになるんですが・・・この場合、私が動かす人形、遠隔操作する器という表現の方が近いと思います。少なくとも玄人ほど結びつきの強い魔石はもう作れませんから・・・玄人も安心してください』
「あっいや。別にそういう意味じゃないよ。ヤキモチとも違うし・・・」
ヒカリに心の中を見透かされた感じがして、慌てて否定した。
「ということは・・・それはあれよね、あれ。ロボよ。もはやロボよ。ヒカリロボよ。ヒカリ、カッコいいやつにしてよ。カラーリングはやっぱ赤ね。全身赤・・・ヒカリ・アズナブル。略してシャア。そんなのが出来たら格好良すぎて、私気絶しちゃうかも・・・」
「ルージュ・・・アニメの見過ぎだよ。それに、勝手に名前増やすなよ。何が略してシャアだよ。全然略されてないし」
「そうですよ、姉さん。いくらなんでもです。あれはロボではなく、モデルスーツです。間違わないで下さい! それに、ここはとりあえずヒカリ・バジーナ。略してクワトロと言うことにしておきましょう」
「アマリージョさん? ツッコミ所が、ちょっと違うと思うのですが・・・」
少しヤバイ空気を感じて、思わず敬語で突っ込んだ。
「ヒカリ・バジーナ・・・百式出る! うーっ!」
アマリージョは、自分の世界に入り込み一人身悶えしている。
「百式って・・・あー。ヒカリどうするの? これ」
『まあ、いいのではないですか。ルージュもあちらで似たような感じになっていますし。あとカラーリングはともかく、私の方はその準備もあるので二カ月ほど時間を頂きたいです』
「結構かかるけど、まあ準備8割って言うし。あ、でも冬だけど雪降るのかな? 降るとさすがに馬車での旅はキツイよね?」
『雪はケナ婆によれば、この村より北は降るようです。ハンク市も王都もこの村よりは南ですから、かなり涼しくはなりますが、気候も安定した季節になるので、問題なく旅は出来ると思います』
「ふっ」
抜かりなくきちんと説明するヒカリに、思わず笑いが込み上げてしまった。
『何ですか?』
「いや、ヒカリはやっぱりヒカリだなと思って」
『何ですか・・・それは?』
「ううん。ありがとな」
『いえ、私こそ』
ふと横を見ると、ルージュとアマリージョはまだ自分の世界に入っていたようだった。
「姉さん、ずるいですよ。カッコいい台詞多いです。私の方は、まだシリーズ途中までしか見てないんですから・・・それに、殴られた事ないのに・・・はまだいいですよ。許します。でも私が先に叩いたんですから・・・殴ってなぜ悪いのやつは、私のです。続けて言うのは無しです。そこは殴った人がいうやつじゃないですか! なんで姉さんがとっちゃうんですか!」
「ごめんごめん。そんなにムキにならなくても。じゃあとでヒカリに頼んで続き見せてもらおうよ」
「・・・分かりました。でも週末のゲームは私が先ですよ」
「分かったわよ。でもカッコイイのは大尉じゃなくてシャア様だからね。それだけは譲らないわ」
「そんなことないです。大尉のあの寡黙な感じ、シャアよりも大人というか。あの余裕がいいんです!」
『ほらほら、二人とも喧嘩しないで下さい。続きつけて見せてあげますから』
ここでようやくヒカリが割って入った。
『あの2人、よっぽど好きみたいで、いつもどっちがカッコいいかで喧嘩しているんですよ』
「へぇ~、そうなんだ。にしてもアマリがあんなにムキになってるの始めて見たかも。それに、あの2人、同一人物の事を言ってるって認識はないの?」
『はい。まだ途中ですので・・・』
「この世界の人間は純粋というか、なんというか。しかし、同一人物と判明した時のリアクションは見てみたいかな」
『では、その時が来たら録画しておきます』
「お、それいい!」
その後2人は食事も忘れアニメに没頭していた。
2人が語っていた人物が同一人物と知るのは、ここから3日後のことだった。
あとでビデオを見せてもらったが、2人ともこれ以上なく目が点になり、口が開けっぱなしになっていた。
その前に相当伏線があったろうに。
結局、そんなこんなで、ハンク市への出発は、二カ月後に決定した。
話の段落もついたところで、俺は2人に聞いてみた。
「そうね、それが問題ね」
ルージュは計画をいろいろと考えていたように思えたが、時期についてはあまり考えていなかったようだ。
「質問を変えた方がいいか。じゃあ出発までに、やっておかなきゃダメな事とかあるかな」
改めて二人に質問をしてみた。
「ヒカリさんはどう思いますか?」
アマリージョもルージュ同様、目標以外は決めていなかったようだ。
「そうね、ヒカリの意見が聞きたいわ」
ルージュもヒカリに意見を求める。
『・・・そうですね。私は・・・いえ特にはありません』
「そう言えばヒカリって、命令はする割に自分でこうしたい、ああしたいとか、言わないわよね」
「確かにそうですね。私もヒカリさんがワガママ言う感じとか想像できないですし」
ルージュとアマリージョが、ヒカリについてツッコミを入れだした
『いえ。そんなことはありませんが・・・』
「なあ、ヒカリ。それって、もしかして今までは機械として命令を的確に、それこそ確率とかで計算していたけど、感情が芽生え始めて、何か葛藤があるんじゃないの?」
『・・・よく分かりません・・・が、私の中で最善ではないことも色々と試してみたいと言いますか、確率は低くてもこちらの方が好き、という矛盾した考えが、少し前からあることは確かです』
「やっぱりそうか。時々声が弾んだりしていたのも感情のせいか。まあ、迷うことはパソコンとしてはどうかとは思うけど、そういうのが生きてるって感じだから。思うままに言ってくれると助かるかな」
「そうよ。別に効率が一番いい方法じゃなくていいのよ。時には自分のやりたい事をワガママに主張するのだって、全然構わないんだから。私は効率よく旅するより、4人で旅することの方に意義を感じるわ」
「そうですよ。姉さんの言うとおりです。ヒカリさんも自分でやりたいことがあるなら、ちゃんと言うべきですよ」
『・・・わかりました・・・では早速申し上げます。まず、私は今回の旅には同行いたしません』
「え!?」
「は!?」
「!? ちょっとなんでよっ! 今4人でって言ったばかりなのに・・・私の意義はどうなるのよ!」
『そんなに怒らないで下さい。私は今までも戦闘には参加していませんし、別に連絡を取らない訳ではありませんから』
「それにしたって・・・何ヶ月か留守にするのよ。寂しいじゃない・・・」
『寂しいという感情は、まだよく分かりませんが、私は同行をしないだけで、ちゃんと代わりは用意しますから』
「「「代わり?」」」
三人同時に聞き返す。
『はい、代わりです。先日の眷属との戦いでも勝ったとはいえ、ギリギリでしたから。あの時、アマリがやられた時も、私自身が戦闘に参加できていれば・・・と何度も思いましたから』
「つまり、それって?」
さっきまで怒っていたルージュが、今度興味津々といった顔でヒカリを見ている。
『はい。私はこのままここで・・・この村から指示を出しますが、それとは別に私の分身を作成して旅に同行させようと思っています』
「おお」
「それは凄いですね」
「もしかしてそれって村長が言っていた護衛がどうのって奴?」
『はい。正解です。さすがルージュ。感がいいですね。村で使用するものは、ゴーレム君をベースに動きをもう少しスムーズにしたものです。旅に同行させるのは、それを更に改良して、阻害から見直してかなり強化したものにしようかと思っています』
「それってヒカリが使役する魔物の一種になるってこと?」
俺もヒカリの魔石が体内に入っている。
同じように魔石を入れて作るなら、自分の同じような感じになるのか。
もしそうなると、俺の立場ってどうなるんだろうか?
頭をいらない考えがいろいろと浮かび、言いようのない不安が押し寄せていた。
『身体を動かすために私の魔石を使用しますから、厳密には使役した魔物ってことになるんですが・・・この場合、私が動かす人形、遠隔操作する器という表現の方が近いと思います。少なくとも玄人ほど結びつきの強い魔石はもう作れませんから・・・玄人も安心してください』
「あっいや。別にそういう意味じゃないよ。ヤキモチとも違うし・・・」
ヒカリに心の中を見透かされた感じがして、慌てて否定した。
「ということは・・・それはあれよね、あれ。ロボよ。もはやロボよ。ヒカリロボよ。ヒカリ、カッコいいやつにしてよ。カラーリングはやっぱ赤ね。全身赤・・・ヒカリ・アズナブル。略してシャア。そんなのが出来たら格好良すぎて、私気絶しちゃうかも・・・」
「ルージュ・・・アニメの見過ぎだよ。それに、勝手に名前増やすなよ。何が略してシャアだよ。全然略されてないし」
「そうですよ、姉さん。いくらなんでもです。あれはロボではなく、モデルスーツです。間違わないで下さい! それに、ここはとりあえずヒカリ・バジーナ。略してクワトロと言うことにしておきましょう」
「アマリージョさん? ツッコミ所が、ちょっと違うと思うのですが・・・」
少しヤバイ空気を感じて、思わず敬語で突っ込んだ。
「ヒカリ・バジーナ・・・百式出る! うーっ!」
アマリージョは、自分の世界に入り込み一人身悶えしている。
「百式って・・・あー。ヒカリどうするの? これ」
『まあ、いいのではないですか。ルージュもあちらで似たような感じになっていますし。あとカラーリングはともかく、私の方はその準備もあるので二カ月ほど時間を頂きたいです』
「結構かかるけど、まあ準備8割って言うし。あ、でも冬だけど雪降るのかな? 降るとさすがに馬車での旅はキツイよね?」
『雪はケナ婆によれば、この村より北は降るようです。ハンク市も王都もこの村よりは南ですから、かなり涼しくはなりますが、気候も安定した季節になるので、問題なく旅は出来ると思います』
「ふっ」
抜かりなくきちんと説明するヒカリに、思わず笑いが込み上げてしまった。
『何ですか?』
「いや、ヒカリはやっぱりヒカリだなと思って」
『何ですか・・・それは?』
「ううん。ありがとな」
『いえ、私こそ』
ふと横を見ると、ルージュとアマリージョはまだ自分の世界に入っていたようだった。
「姉さん、ずるいですよ。カッコいい台詞多いです。私の方は、まだシリーズ途中までしか見てないんですから・・・それに、殴られた事ないのに・・・はまだいいですよ。許します。でも私が先に叩いたんですから・・・殴ってなぜ悪いのやつは、私のです。続けて言うのは無しです。そこは殴った人がいうやつじゃないですか! なんで姉さんがとっちゃうんですか!」
「ごめんごめん。そんなにムキにならなくても。じゃあとでヒカリに頼んで続き見せてもらおうよ」
「・・・分かりました。でも週末のゲームは私が先ですよ」
「分かったわよ。でもカッコイイのは大尉じゃなくてシャア様だからね。それだけは譲らないわ」
「そんなことないです。大尉のあの寡黙な感じ、シャアよりも大人というか。あの余裕がいいんです!」
『ほらほら、二人とも喧嘩しないで下さい。続きつけて見せてあげますから』
ここでようやくヒカリが割って入った。
『あの2人、よっぽど好きみたいで、いつもどっちがカッコいいかで喧嘩しているんですよ』
「へぇ~、そうなんだ。にしてもアマリがあんなにムキになってるの始めて見たかも。それに、あの2人、同一人物の事を言ってるって認識はないの?」
『はい。まだ途中ですので・・・』
「この世界の人間は純粋というか、なんというか。しかし、同一人物と判明した時のリアクションは見てみたいかな」
『では、その時が来たら録画しておきます』
「お、それいい!」
その後2人は食事も忘れアニメに没頭していた。
2人が語っていた人物が同一人物と知るのは、ここから3日後のことだった。
あとでビデオを見せてもらったが、2人ともこれ以上なく目が点になり、口が開けっぱなしになっていた。
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