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第1章 光と「クロード・ハーザキー」
25話 必殺技
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「この3キロくらい先の青い点?」
マップに映しだされた青い点を見ながら俺はヒカリに改めて聞いてみた。
『はい。おそらく二人です』
「移動してるね。でも一緒に赤い点も移動してるような気がするけど・・・」
『どうやら、魔物に追われているようですね』
「だからか・・・どうしよう」
不安になりながら尋ねる。
『助けたいのではないですか?』
「そりゃ人間なら、助けたいとは思うけど、そもそも武器が・・・包丁しかないし」
『私は玄人さんの命のほうが大切ですので、助けるという選択には消極的です。ただ、この世界の人間ならば助けるメリットは大きいと思います。それに、助けなかったことを後悔して、後でグズグズされているのを慰めるのも、なかなか骨が折れますので』
「・・・骨が折れるって・・・そんなハッキリ言わなくても・・・」
こういう時のヒカリに気遣いという言葉にない。
『いえ、言葉の綾です』
「・・・なんか、そういうのは綾って言わない気もするけど・・・うん。助けに行くよ」
『了解しました。では急ぎましょう』
包丁をリュックからから取り出してから、リュックが背中からずれないよう、少しきつめに背負い直す。
マップを確認し、2つの点が動いていく先に向かって全力で走る。
『この速度で行きますと、約4分で合流できます』
――追われてるみたいだけど、間に合うかな
頭の中からヒカリに話しかける。
『今のところはなんとか大丈夫そうですが、逃げている時点で状況はあまり良くないと思われます』
――このまま真っ直ぐ走るから、方向がずれたら教えて
マップを閉じて、更に加速する。
『了解しました』
木の枝、木の根、石や草・・・
全力で走ってみて初めて分かったのだが、全てが鮮明に見えている。
走る速度がありえないほど速いのに、それに思考が追いついていることに驚いた。
魔石のせいで、身体能力だけではなく、思考や視力、聴力なども上がっているだろうか。
『玄人さん! 二人の動きが止まりました。2時の方向です』
何かあったようで、ヒカリが慌てて報告してきた。
――わかった
方向を変えて全力で走る。
何か見える。
――あれか?
『熊型の魔物です。思ったよりも大きいですね。あと15秒で接触します』
――あぁ、ちゃんと見えてる
『どうやら、一人は倒れています。もう一人がそれを庇って戦っているようです』
――え? そうなの? どうしよう?
『このまま全力で真っ直ぐ走って、跳び蹴りでもお見舞いしてください。それと威力が50%上昇しますので、必殺技のかけ声も忘れずに!』
――え、なんで、50? ひっ? かけ声ってなに?
「え、え、あ、あっ・・う、きぃぃぃぃっーく!!!」
無我夢中で放った跳び蹴りは、熊の魔物の肩口に当たった。
完全に不意を突かれた熊の魔物は、こちらに一切気づくことなく、10メートルほど飛んでいき黒い煙を出して消えた。
「あ・・・・」
魔物が飛んでいった先の木が、衝撃で折れている。
「これ、俺がやったの?」
『はい。お見事です。衝撃で5本ほど木を完全に折ってしまいましたが、それくらいの被害は仕方ありません』
「死んだの?」
『はい。跳び蹴りの時点で倒せていました。これ以上無い会心の一撃です。かけ声は変でしたけど』
「あぁ・・・急にかけ声とか言うから」
『こういう時は必殺技のようなかけ声があると、ダメージが1.5倍になるのですよ』
「え!そうなの?」
『冗談です』
「・・・冗談はこういう切羽詰まっているときには、言ってはいけないって法律なかったっけ?」
『あ、そんなことよりも・・・二人は・・』
なんかごまかされた感があるけど、そうだった。
改めて襲われていた2人を見る・・・・2人とも15、6歳くらいの可愛い女の子だった。
戦っていた女の子は、大きめのナイフをこちらに向けた状態で呆然と立ち尽くしている。
後ろの子は背中に大きな傷を負った状態で倒れている。
まだ生きてはいるようだ。
なんでこんなところをうろついていたのかは分からないが、とりあえず助けられて良かった。
――全力で走って良かったよ
自分が無力ではなかったことが単純に嬉しく思えた。
「だ、大丈夫?」
心臓がバクバクするのを悟られないように、少しうわずった声で、立ち尽くす少女に声をかけてみた。
「uiejk s@47Zq 3yqui uieZw.t0ty09」
「へ?」
――やべぇ、言葉が通じねぇ・・・
マップに映しだされた青い点を見ながら俺はヒカリに改めて聞いてみた。
『はい。おそらく二人です』
「移動してるね。でも一緒に赤い点も移動してるような気がするけど・・・」
『どうやら、魔物に追われているようですね』
「だからか・・・どうしよう」
不安になりながら尋ねる。
『助けたいのではないですか?』
「そりゃ人間なら、助けたいとは思うけど、そもそも武器が・・・包丁しかないし」
『私は玄人さんの命のほうが大切ですので、助けるという選択には消極的です。ただ、この世界の人間ならば助けるメリットは大きいと思います。それに、助けなかったことを後悔して、後でグズグズされているのを慰めるのも、なかなか骨が折れますので』
「・・・骨が折れるって・・・そんなハッキリ言わなくても・・・」
こういう時のヒカリに気遣いという言葉にない。
『いえ、言葉の綾です』
「・・・なんか、そういうのは綾って言わない気もするけど・・・うん。助けに行くよ」
『了解しました。では急ぎましょう』
包丁をリュックからから取り出してから、リュックが背中からずれないよう、少しきつめに背負い直す。
マップを確認し、2つの点が動いていく先に向かって全力で走る。
『この速度で行きますと、約4分で合流できます』
――追われてるみたいだけど、間に合うかな
頭の中からヒカリに話しかける。
『今のところはなんとか大丈夫そうですが、逃げている時点で状況はあまり良くないと思われます』
――このまま真っ直ぐ走るから、方向がずれたら教えて
マップを閉じて、更に加速する。
『了解しました』
木の枝、木の根、石や草・・・
全力で走ってみて初めて分かったのだが、全てが鮮明に見えている。
走る速度がありえないほど速いのに、それに思考が追いついていることに驚いた。
魔石のせいで、身体能力だけではなく、思考や視力、聴力なども上がっているだろうか。
『玄人さん! 二人の動きが止まりました。2時の方向です』
何かあったようで、ヒカリが慌てて報告してきた。
――わかった
方向を変えて全力で走る。
何か見える。
――あれか?
『熊型の魔物です。思ったよりも大きいですね。あと15秒で接触します』
――あぁ、ちゃんと見えてる
『どうやら、一人は倒れています。もう一人がそれを庇って戦っているようです』
――え? そうなの? どうしよう?
『このまま全力で真っ直ぐ走って、跳び蹴りでもお見舞いしてください。それと威力が50%上昇しますので、必殺技のかけ声も忘れずに!』
――え、なんで、50? ひっ? かけ声ってなに?
「え、え、あ、あっ・・う、きぃぃぃぃっーく!!!」
無我夢中で放った跳び蹴りは、熊の魔物の肩口に当たった。
完全に不意を突かれた熊の魔物は、こちらに一切気づくことなく、10メートルほど飛んでいき黒い煙を出して消えた。
「あ・・・・」
魔物が飛んでいった先の木が、衝撃で折れている。
「これ、俺がやったの?」
『はい。お見事です。衝撃で5本ほど木を完全に折ってしまいましたが、それくらいの被害は仕方ありません』
「死んだの?」
『はい。跳び蹴りの時点で倒せていました。これ以上無い会心の一撃です。かけ声は変でしたけど』
「あぁ・・・急にかけ声とか言うから」
『こういう時は必殺技のようなかけ声があると、ダメージが1.5倍になるのですよ』
「え!そうなの?」
『冗談です』
「・・・冗談はこういう切羽詰まっているときには、言ってはいけないって法律なかったっけ?」
『あ、そんなことよりも・・・二人は・・』
なんかごまかされた感があるけど、そうだった。
改めて襲われていた2人を見る・・・・2人とも15、6歳くらいの可愛い女の子だった。
戦っていた女の子は、大きめのナイフをこちらに向けた状態で呆然と立ち尽くしている。
後ろの子は背中に大きな傷を負った状態で倒れている。
まだ生きてはいるようだ。
なんでこんなところをうろついていたのかは分からないが、とりあえず助けられて良かった。
――全力で走って良かったよ
自分が無力ではなかったことが単純に嬉しく思えた。
「だ、大丈夫?」
心臓がバクバクするのを悟られないように、少しうわずった声で、立ち尽くす少女に声をかけてみた。
「uiejk s@47Zq 3yqui uieZw.t0ty09」
「へ?」
――やべぇ、言葉が通じねぇ・・・
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