悪役ですが、死にたくないので死ぬ気で頑張ります!!!

モツシャケ太郎

文字の大きさ
21 / 43
第二章 乙女ゲーム?

魔力暴走

しおりを挟む
電車の中で、スマホの電源をつけ、最近ハマっている乙女ゲームを開く。
軽快な音楽とともに、眩いイケメンたちがこちらに手を伸ばしているイラストが表示される。


初めから
途中から
やり直す

3つの選択肢が表示され、迷いなく途中からを選択する。


真紅の髪に、勿忘草色の瞳を持った青年が映し出される。 

──···サザンカだ。


サザンカ
「お前に分かるか?僕の心が……」▼ 

美しいその顔に薄笑いを浮かべながら、問うてくる。


サザンカ
「実の父親に愛して貰えず……、僕を愛してくれたという母上は、もういない。
………母上は物心着く前に死んだからな。」▼ 

淡々と、まるで業務報告するように話すサザンカ。
だが、その表情はどこか悲しそうだ。


あなた
「わかるわけないでしょ!?あなたなんかの心なんて!!!」 

➤「いいえ……分かるわ。だって私たちは同じ人間だもの。」 

「………………」






サザンカ
「……………そうか。同じ人間だから、か……。」▼


サザンカ
「…では、もう1つ教えてやろう。
…父上はな、僕に風属性がないとわかった途端、本気で殺しにかかったんだ。」▼


サザンカ
「あの時は流石に驚いたよ。
だから……僕は、魔力暴走を起こしてしまったんだ。」▼


サザンカ「その時、父上は僕になんと言ったと思う?」▼




──···サザンカは、なんて言われたんだっけ……?
魔力暴走なんて起こしたら、普通、親は心配するだろう。
そして、普通だったらきっと、
大丈夫かと、直ぐに駆け寄ってくれるんだ。


そこを、公爵は、確かこう言ったんだ。






「『化け物め!』」



───······目を開けると、
辺りは炎に包まれていた。
カーペットは燃え、執務机なんてキャンプファイヤーみたいに燃え上がっていた。 

そして、公爵が尻餅をついて、こちらを見て罵っている。



事態が飲み込めなくて一瞬焦ったがが、
直ぐに公爵との直前のやり取りを思い出した。 

公爵は蹲る俺に魔法を使って"躾ようとした"んだ。 

だが、それは"躾"なんて、生温いものじゃない。
それをわかっていた俺は、咄嗟に自分の身を守ろうとして────魔力暴走を起こしたんだ。 

たしか、乙女ゲームのサザンカはここでこの炎の正体が分からなくて、ただただ怖がることしかできなかったのだ。

だが、「この炎は俺を守ってくれている」と直ぐに理解した。


だって……だって、この炎は、いつの日か母上が俺に見せてくれた炎にそっくりだったから。
この炎は、俺の味方なんだ。そう、思った。


「クソッ!!なんなんだこの炎は!!!
お前がやったんだろう!?
早く消せ!この、化け物め!!!」 

公爵は、腕に俺の炎が燃え移ったらしく、のたうち回っている。


──でも、きっと今炎を消したら俺、きっとものすごい酷い目に合うんだよなー。
だって、乙女ゲームの中のサザンカも、そうだったから。
……ならば、ここで取るべき行動は、







俺は、
目の前でのたうち回っている公爵を一瞥し、
そして───·····











逃げた。
しおりを挟む
感想 10

あなたにおすすめの小説

愛してやまなかった婚約者は俺に興味がない

了承
BL
卒業パーティー。 皇子は婚約者に破棄を告げ、左腕には新しい恋人を抱いていた。 青年はただ微笑み、一枚の紙を手渡す。 皇子が目を向けた、その瞬間——。 「この瞬間だと思った。」 すべてを愛で終わらせた、沈黙の恋の物語。   IFストーリーあり 誤字あれば報告お願いします!

悪役令息ですが破滅回避で主人公を無視したら、高潔な態度だと勘違いされて聖人認定。なぜか溺愛ルートに入りました

水凪しおん
BL
BL小説『銀の瞳の聖者』の悪役令息ルシアンに転生してしまった俺。 原作通りなら、主人公ノエルをいじめ抜き、最後は断罪されて野垂れ死ぬ運命だ。 「そんなの絶対にお断りだ! 俺は平和に長生きしたい!」 破滅フラグを回避するため、俺は決意した。 主人公ノエルを徹底的に避け、関わらず、空気のように生きることを。 しかし、俺の「無視」や「無関心」は、なぜかノエルにポジティブに変換されていく。 「他の人のように欲望の目で見ないなんて、なんて高潔な方なんだ……!」 いじめっ子を視線だけで追い払えば「影から守ってくれた」、雨の日に「臭いから近寄るな」と上着を投げつければ「不器用な優しさ」!? 全力で嫌われようとすればするほど、主人公からの好感度が爆上がりして、聖人認定されてしまう勘違いラブコメディ! 小心者の悪役令息×健気なポジティブ主人公の、すれ違い溺愛ファンタジー、ここに開幕!

婚約者の王子様に愛人がいるらしいが、ペットを探すのに忙しいので放っておいてくれ。

フジミサヤ
BL
「君を愛することはできない」  可愛らしい平民の愛人を膝の上に抱え上げたこの国の第二王子サミュエルに宣言され、王子の婚約者だった公爵令息ノア・オルコットは、傷心のあまり学園を飛び出してしまった……というのが学園の生徒たちの認識である。  だがノアの本当の目的は、行方不明の自分のペット(魔王の側近だったらしい)の捜索だった。通りすがりの魔族に道を尋ねて目的地へ向かう途中、ノアは完璧な変装をしていたにも関わらず、何故かノアを追ってきたらしい王子サミュエルに捕まってしまう。 ◇拙作「僕が勇者に殺された件。」に出てきたノアの話ですが、一応単体でも読めます。 ◇テキトー設定。細かいツッコミはご容赦ください。見切り発車なので不定期更新となります。

悪役令息の兄って需要ありますか?

焦げたせんべい
BL
今をときめく悪役による逆転劇、ザマァやらエトセトラ。 その悪役に歳の離れた兄がいても、気が強くなければ豆電球すら光らない。 これは物語の終盤にチラッと出てくる、折衷案を出す兄の話である。

【完結】悪役令息の役目は終わりました

谷絵 ちぐり
BL
悪役令息の役目は終わりました。 断罪された令息のその後のお話。 ※全四話+後日談

【本編完結】処刑台の元婚約者は無実でした~聖女に騙された元王太子が幸せになるまで~

TOY
BL
【本編完結・後日譚更新中】 公開処刑のその日、王太子メルドは元婚約者で“稀代の悪女”とされたレイチェルの最期を見届けようとしていた。 しかし「最後のお別れの挨拶」で現婚約者候補の“聖女”アリアの裏の顔を、偶然にも暴いてしまい……!? 王位継承権、婚約、信頼、すべてを失った王子のもとに残ったのは、幼馴染であり護衛騎士のケイ。 これは、聖女に騙され全てを失った王子と、その護衛騎士のちょっとズレた恋の物語。 ※別で投稿している作品、 『物語によくいる「ざまぁされる王子」に転生したら』の全年齢版です。 設定と後半の展開が少し変わっています。 ※後日譚を追加しました。 後日譚① レイチェル視点→メルド視点 後日譚② 王弟→王→ケイ視点 後日譚③ メルド視点

公爵家の次男は北の辺境に帰りたい

あおい林檎
BL
北の辺境騎士団で田舎暮らしをしていた公爵家次男のジェイデン・ロンデナートは15歳になったある日、王都にいる父親から帰還命令を受ける。 8歳で王都から追い出された薄幸の美少年が、ハイスペイケメンになって出戻って来る話です。 序盤はBL要素薄め。

冷遇王妃はときめかない

あんど もあ
ファンタジー
幼いころから婚約していた彼と結婚して王妃になった私。 だが、陛下は側妃だけを溺愛し、私は白い結婚のまま離宮へ追いやられる…って何てラッキー! 国の事は陛下と側妃様に任せて、私はこのまま離宮で何の責任も無い楽な生活を!…と思っていたのに…。

処理中です...