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第一章 母からの愛

んなわけねえだろ!!!!

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愛して、が、馬鹿な願い……?


───······………………んなわけ、んなわけねえだろ!?
俺!!!!!


母上は俺を愛してくれた。それは曲げようのない、いや、曲がるわけがない事実だ。

俺を抱きしめて、愛を教えてくれたのは、母上だ。



……なのに、なのに!それなのに!それを忘れて、母上の死だけに囚われて、母上の愛を忘れるなんて!!!!


なぁにが、頑張れば誰かが愛してくれるだ!?
ふっざけんなよ!!!!! 

俺はもう、愛されてる!!!!



自分で自分にキレていたら、気づけば涙で湿らせていた枕を俺はサンドバッグにしていた。


フーッフーッと、鼻息を荒くして、顔を洗いに行くことにする。落ち着け。落ち着け。



そして、鏡に映る自分を見る。 

公爵の色よりも少し薄い色の瞳に、母上と同じ真紅髪の毛。 

『ふふっ。サザンカの髪は母上の髪とお揃いね。嬉しいわ。瞳は父上譲りかしら。』


『あら、もう1人で寝れるの?……寂しくなっちゃうわね。』


『体調の良くない私を気遣って、沢山努力してくれるサザンカ。 

そして、私の元に生まれて、こうやってすくすく育ってくれているサザンカ。


サザンカのいい所、たくさん、たくさん、この3年で知ることができたわ。』


『だからね、貴方が貴方だから、私はきっと、サザンカがこんなに愛しいんだわ。』 

『愛してるわ、サザンカ』


───俺は、生まれた時から、ちゃんと、愛されてる。たとえ、この世に俺を愛する人がいなくなったとしても。 

俺の中にはちゃんといる。
母上の強かさ、温もり、優しさ……全部、全部覚えてる。




嗚呼、大丈夫。もう、大丈夫だ。
母上がいないのはやっぱり辛いけど、母上はきっと俺のそばにいる。



大切なことに気が付かせてくれてありがとう。 

俺、母上に胸を張って生きるよ。



ありがとう。母上。


────····そう、心の中で呟いて、夜空に煌めく星を見て、歩き出した。
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