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最終章 奈落ノ深淵編
第120話 星が導く希望
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先ほど起こった不思議な出来事に仲間たちは酷く驚き混乱していた。患者や修道女も先ほどの光景を見て、ざわつきを見せている。
「皆様、にわかには信じ難い話だと思いますがこれが本当の過去なのです! 本来、私たちが住んでいた国はバルバドスの国などありません。テリオン王とケルディア女王が統べるテリオンの国だったのです。あなたたちはテリオンの国の記憶を抹消されてしまった。そして、私は口封じの為に殺されかけたのです。そして、私は10年の時を経て奇跡的に生還しました。それは神が消された歴史を伝える使命を私に与えたのです」
「そ、そんな……」
隣でエミーリアも困惑していた様子だった。勿論、俺も衝撃的な事実を告げられて驚いている。
勿論、エリザベスの言葉だからといって、全員がすんなりとこの事実を受け入れることは難しい。それをエリザベスも分かっていたのだろう。
話を終えた後、俺たちの方へと向かってくる。
「フール様でよろしかったですよね? お時間が余りないのでしょう? お礼をしなくてはなりません」
エリザベスは俺の顔に手を当てる。すると、俺の頭の中にある情景が入ってくる。地下水道の入り組んだ道を通ると城の裏側に出る。城の裏口から入ってすぐの場所に地下へ続く階段がある。その下を降りていくと広大な牢獄が見えた。
「あなたが探している方は恐らくここにいるはずです。この程度しかフール様に返せないことをお許しください。ですが、せめて貴方様の力になればと思っております」
凄い、一瞬にしてセシリアの場所と道のりが一瞬で分かってしまった。これなら、すぐにセシリアのもとへ向かうことができる。
「エリザベスさん、この力は?」
「私には「私が過去見てきたこととこれから起こる未来をおよそ予言し、皆に共有させることができる能力』"時間映写"という能力があります。この力は22種ある『世界的特発能力』の1つです。この力を私はできるだけ人々を助けることに使いたいと思っていますが、世界的特異能力を悪用する者たちも居ます。あなたの力ならきっとその邪悪なる者たちを打ち倒せるはずです」
世界的特異能力、昔に本で少しだけ読んだことがあった。や
特能力の中で世界に大きく影響する力を持った 22種類の能力。同じ能力を複数の者が持つことはできない、この世で1人だけが持てる能力。もし、能力者が死んでしまえば、世界的特異能力自身が次の所有者を決めると言われている。
「もっとお話ししたいことがございますが、長い話になってしまいます。これ以上、フール様を引き留めるわけにはいきません。待っているのでしょう? 大切な仲間が」
エリザベスにまだ説明もしていないのに、俺たちの置かれている状況を全て理解しているようだ。もう驚くまい。俺もエリザベスの凄さを十分理解したのだから。
「エリザベスさん、ありがとう。これで、スムーズに迎えるようになった。確かに色々聞きたいことはあるけど、仲間が待っているんだ。全てが終わったら、みんなでまた来るよ」
「ただ、気をつけて下さい。私の見る未来は変化する事もあります。それだけは伝えておきます。私も皆へ説明しなくてはなりません。私はいつでもフール様達のご無事をお祈りしております。最後にフール様、こちらへ」
手を引かれ、エリザベスに近づいた時、エリザベスは俺の首に手を回して抱きついた。
「本当に、本当に信じておりました。ありがとう。あなたの旅の中で、貴方様の道を妨げる者が現れます。しかし、貴方様の旅に手を差し伸べる者たちもいることを忘れないで恐れずに進みなさい。どうか、無事に帰ってくるのですよ、自由な旅人よ。貴方様は愚か者ではない。運命の輪が回りだし、必ずあなたは世界を手に入れる。私にはそういう未来が見えています。
私の希望がそう伝えております。どうかお救いください。あなたが導いてきたあの子をお救い下さい」
エリザベスが耳元で優しく聞いた後、ゆっくりと手をほどいた。
「エミーリア、出口まで案内を」
「は、はい!」
エリザベスはエミーリアに俺たちを託し、自分は施設内の者たちを諭し始めた。
俺たちはエミーリアに連れられ、最初に入った隠された安息所の入口までやってきた。
「申し訳ございません。助けて頂いた上にお姉さままで救っていただいたのにもかかわらず、相応しいお礼ができませんでした」
「来て良かった。大きな収穫もあったからもうお礼は頂いているよ」
「あの! また、必ず来てください! 今度はもっと盛大におもてなし致します! 毎日皆様の事を祈ります! だから、どうかご無事で!!」
「ああ、必ずまた来る。今度は君たちが地上で暮らせられるようにしてみせるから」
「私も信じております」
こうして、俺たちは隠された安息所を出て、エミーリアと別れて地下水道を歩み始めた。
短い時間だったが得られるものは大きく、清々した気持ちになった。エリザベスが教えてくれた道のりは頭の中に刻まれているため迷うことなく進むことができた。
そして、城の変間から出る穴の下へと来る。梯子を渡って蓋を開ければ地上に出られるだろう。
俺たちは迷わずその梯子を登り、到頭バルバドスの国の地へと潜入するのであった。
「皆様、にわかには信じ難い話だと思いますがこれが本当の過去なのです! 本来、私たちが住んでいた国はバルバドスの国などありません。テリオン王とケルディア女王が統べるテリオンの国だったのです。あなたたちはテリオンの国の記憶を抹消されてしまった。そして、私は口封じの為に殺されかけたのです。そして、私は10年の時を経て奇跡的に生還しました。それは神が消された歴史を伝える使命を私に与えたのです」
「そ、そんな……」
隣でエミーリアも困惑していた様子だった。勿論、俺も衝撃的な事実を告げられて驚いている。
勿論、エリザベスの言葉だからといって、全員がすんなりとこの事実を受け入れることは難しい。それをエリザベスも分かっていたのだろう。
話を終えた後、俺たちの方へと向かってくる。
「フール様でよろしかったですよね? お時間が余りないのでしょう? お礼をしなくてはなりません」
エリザベスは俺の顔に手を当てる。すると、俺の頭の中にある情景が入ってくる。地下水道の入り組んだ道を通ると城の裏側に出る。城の裏口から入ってすぐの場所に地下へ続く階段がある。その下を降りていくと広大な牢獄が見えた。
「あなたが探している方は恐らくここにいるはずです。この程度しかフール様に返せないことをお許しください。ですが、せめて貴方様の力になればと思っております」
凄い、一瞬にしてセシリアの場所と道のりが一瞬で分かってしまった。これなら、すぐにセシリアのもとへ向かうことができる。
「エリザベスさん、この力は?」
「私には「私が過去見てきたこととこれから起こる未来をおよそ予言し、皆に共有させることができる能力』"時間映写"という能力があります。この力は22種ある『世界的特発能力』の1つです。この力を私はできるだけ人々を助けることに使いたいと思っていますが、世界的特異能力を悪用する者たちも居ます。あなたの力ならきっとその邪悪なる者たちを打ち倒せるはずです」
世界的特異能力、昔に本で少しだけ読んだことがあった。や
特能力の中で世界に大きく影響する力を持った 22種類の能力。同じ能力を複数の者が持つことはできない、この世で1人だけが持てる能力。もし、能力者が死んでしまえば、世界的特異能力自身が次の所有者を決めると言われている。
「もっとお話ししたいことがございますが、長い話になってしまいます。これ以上、フール様を引き留めるわけにはいきません。待っているのでしょう? 大切な仲間が」
エリザベスにまだ説明もしていないのに、俺たちの置かれている状況を全て理解しているようだ。もう驚くまい。俺もエリザベスの凄さを十分理解したのだから。
「エリザベスさん、ありがとう。これで、スムーズに迎えるようになった。確かに色々聞きたいことはあるけど、仲間が待っているんだ。全てが終わったら、みんなでまた来るよ」
「ただ、気をつけて下さい。私の見る未来は変化する事もあります。それだけは伝えておきます。私も皆へ説明しなくてはなりません。私はいつでもフール様達のご無事をお祈りしております。最後にフール様、こちらへ」
手を引かれ、エリザベスに近づいた時、エリザベスは俺の首に手を回して抱きついた。
「本当に、本当に信じておりました。ありがとう。あなたの旅の中で、貴方様の道を妨げる者が現れます。しかし、貴方様の旅に手を差し伸べる者たちもいることを忘れないで恐れずに進みなさい。どうか、無事に帰ってくるのですよ、自由な旅人よ。貴方様は愚か者ではない。運命の輪が回りだし、必ずあなたは世界を手に入れる。私にはそういう未来が見えています。
私の希望がそう伝えております。どうかお救いください。あなたが導いてきたあの子をお救い下さい」
エリザベスが耳元で優しく聞いた後、ゆっくりと手をほどいた。
「エミーリア、出口まで案内を」
「は、はい!」
エリザベスはエミーリアに俺たちを託し、自分は施設内の者たちを諭し始めた。
俺たちはエミーリアに連れられ、最初に入った隠された安息所の入口までやってきた。
「申し訳ございません。助けて頂いた上にお姉さままで救っていただいたのにもかかわらず、相応しいお礼ができませんでした」
「来て良かった。大きな収穫もあったからもうお礼は頂いているよ」
「あの! また、必ず来てください! 今度はもっと盛大におもてなし致します! 毎日皆様の事を祈ります! だから、どうかご無事で!!」
「ああ、必ずまた来る。今度は君たちが地上で暮らせられるようにしてみせるから」
「私も信じております」
こうして、俺たちは隠された安息所を出て、エミーリアと別れて地下水道を歩み始めた。
短い時間だったが得られるものは大きく、清々した気持ちになった。エリザベスが教えてくれた道のりは頭の中に刻まれているため迷うことなく進むことができた。
そして、城の変間から出る穴の下へと来る。梯子を渡って蓋を開ければ地上に出られるだろう。
俺たちは迷わずその梯子を登り、到頭バルバドスの国の地へと潜入するのであった。
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