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第1章 ギルド追放編
第8話 ヒーラー、宝箱?を見つける
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ある程度リザードマンの肉を剥ぎ取り終わると俺たちはまた道を進み始めた。次の開けた場所に着くまでセシリアと会話しながら進んでいる。
「セシリアは冒険者ランクいくつなんだ? 俺はF級だけど」
冒険者ランクとは冒険者がどれくらいの実力を持っているのかを指し示す物で、ダンジョンを攻略した回数やそのダンジョンの難易度、装備の良さによって判断され階級や称号がつけられる事がある。基本的に冒険者たちはそのランクを持っており、冒険者の身分証明はこれになるのだ。
俺の場合クエストをこなしてもいないし、装備もギルドから貰った初期装備なのでF級冒険者である。
「ふふーーん♪ 私はこう見えてE級なのよ!」
セシリアはドヤ顔で言ってのけるが、E級とはF級冒険者がF級ダンジョンをクリアすれば簡単に上がる事ができる階級である。
「何でそこまで胸を張れるんだ……」
「だ、だって私でもギルドにいた時、2回くらいはダンジョン攻略してたもん!……F級ダンジョンだったけど……」
「じゃあ、セシリアは僕の先輩だったんだなーー頼みましたよセシリア先輩」
「ちょっとーー‼︎ 馬鹿にしてるでしょーー‼︎」
セシリアは耳を激しく揺らし、尻尾をピンと伸ばして毛を逆立てていた。
そんな感じで歩いているとまた開けた場所に辿り着いた。さっきまでの空間から距離はそう遠くは無い感じである。
空間内にはモンスターの姿はなく、部屋の中央で装飾の着いた豪華な宝箱が不自然と言わんばかりに置かれている。
この部屋の周りを見てみるが、これ以上進める道がないので、この左ルートの道はこの部屋で行き止まりの様だった。
「きゃーー♪ フール見て見て‼︎ 宝箱よ宝箱♪ ダンジョン攻略の醍醐味よねーー‼︎ 私達運が良いわよーー♪」
セシリアが上機嫌にスキップしながらその宝箱へと向かっていく。確かに、ダンジョン内にはモンスターが隠してるお宝とかが宝箱に入っているが、こんなに豪華だっただろうか? ボスがいる空間でも無いのに……
うん? ちょっと待てよ今、俺たちのいるダンジョンはB級程度……不味いっ‼︎‼︎
「セシリアっ‼︎‼︎ 早くそれから離れるんだ‼︎‼︎」
俺は咄嗟に走り出す。
「へ?」
セシリアが宝箱の目の前で俺の方を向いた時、セシリアの後ろで宝箱の蓋が開くと、その中身は大きな赤い舌と、鋭い牙が見えた。そして、その宝箱は大きくその口を開けてセシリアを捕食しようとしている。
俺はセシリアと宝箱の間に割り込み、口に俺の杖を縦に入れて、口を閉じられるのを遮り、セシリアをお姫様抱っこをしてその場から全力で逃げ出した。
「フ、フール⁉︎」
「逃げるぞセシリア‼︎」
そして、前の部屋まで逃げてくるとセシリアを優しく床に置いて、俺は息を切らし、その場に倒れ込む。
「フ、フール大丈夫?」
「はぁはぁ……な、何とかな……セシリア怪我はないか?」
「私は大丈夫だけど……」
やっぱりそうだった。あれは宝箱に化けて冒険者を襲うB級モンスターのミミックだ。あいつは不意打ちで攻撃する事ができる厄介なモンスターで、活性化状態の時でもあの高い防御力を持つ宝箱の外装とあの鋭い牙はミミック単体でも恐ろしい程に脅威である。到底、俺たちでは敵わないと悟ったから逃げ出して来たのだ。まったく厄介なトラップだよ……
「まさかミミックだったなんて……しかも私のせいでフールの杖が……ごめんなさい……」
俺は涙目になっているセシリアの頭を撫でてやった。
「パートナーを支援するのが俺の勤めだ。それに、少し効果は減少するけど杖が無くたって魔法は使える。ともかく、セシリアが無事で良かった。臭いに敏感なら次は臭いを嗅いでから近づくんだぞ?」
そう言うとセシリアは涙をポロポロと流して、俺の腕に抱きついてくる。
「うぅ……フールごめんなしゃい……次はちゃんとクンクンしてから行くからぁ……」
泣き始めたセシリアの頭を撫で続け、セシリアの涙が止まるまで休憩をすることした。杖は無くしてしまったがそれ以上に守れたものがあった気がするフールだった。
(フ……フールにお姫様抱っこされちゃった……)
悲しんでいるはずのセシリアの尻尾はさりげなく、機嫌よく左右に振られているのだった。
「セシリアは冒険者ランクいくつなんだ? 俺はF級だけど」
冒険者ランクとは冒険者がどれくらいの実力を持っているのかを指し示す物で、ダンジョンを攻略した回数やそのダンジョンの難易度、装備の良さによって判断され階級や称号がつけられる事がある。基本的に冒険者たちはそのランクを持っており、冒険者の身分証明はこれになるのだ。
俺の場合クエストをこなしてもいないし、装備もギルドから貰った初期装備なのでF級冒険者である。
「ふふーーん♪ 私はこう見えてE級なのよ!」
セシリアはドヤ顔で言ってのけるが、E級とはF級冒険者がF級ダンジョンをクリアすれば簡単に上がる事ができる階級である。
「何でそこまで胸を張れるんだ……」
「だ、だって私でもギルドにいた時、2回くらいはダンジョン攻略してたもん!……F級ダンジョンだったけど……」
「じゃあ、セシリアは僕の先輩だったんだなーー頼みましたよセシリア先輩」
「ちょっとーー‼︎ 馬鹿にしてるでしょーー‼︎」
セシリアは耳を激しく揺らし、尻尾をピンと伸ばして毛を逆立てていた。
そんな感じで歩いているとまた開けた場所に辿り着いた。さっきまでの空間から距離はそう遠くは無い感じである。
空間内にはモンスターの姿はなく、部屋の中央で装飾の着いた豪華な宝箱が不自然と言わんばかりに置かれている。
この部屋の周りを見てみるが、これ以上進める道がないので、この左ルートの道はこの部屋で行き止まりの様だった。
「きゃーー♪ フール見て見て‼︎ 宝箱よ宝箱♪ ダンジョン攻略の醍醐味よねーー‼︎ 私達運が良いわよーー♪」
セシリアが上機嫌にスキップしながらその宝箱へと向かっていく。確かに、ダンジョン内にはモンスターが隠してるお宝とかが宝箱に入っているが、こんなに豪華だっただろうか? ボスがいる空間でも無いのに……
うん? ちょっと待てよ今、俺たちのいるダンジョンはB級程度……不味いっ‼︎‼︎
「セシリアっ‼︎‼︎ 早くそれから離れるんだ‼︎‼︎」
俺は咄嗟に走り出す。
「へ?」
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俺はセシリアと宝箱の間に割り込み、口に俺の杖を縦に入れて、口を閉じられるのを遮り、セシリアをお姫様抱っこをしてその場から全力で逃げ出した。
「フ、フール⁉︎」
「逃げるぞセシリア‼︎」
そして、前の部屋まで逃げてくるとセシリアを優しく床に置いて、俺は息を切らし、その場に倒れ込む。
「フ、フール大丈夫?」
「はぁはぁ……な、何とかな……セシリア怪我はないか?」
「私は大丈夫だけど……」
やっぱりそうだった。あれは宝箱に化けて冒険者を襲うB級モンスターのミミックだ。あいつは不意打ちで攻撃する事ができる厄介なモンスターで、活性化状態の時でもあの高い防御力を持つ宝箱の外装とあの鋭い牙はミミック単体でも恐ろしい程に脅威である。到底、俺たちでは敵わないと悟ったから逃げ出して来たのだ。まったく厄介なトラップだよ……
「まさかミミックだったなんて……しかも私のせいでフールの杖が……ごめんなさい……」
俺は涙目になっているセシリアの頭を撫でてやった。
「パートナーを支援するのが俺の勤めだ。それに、少し効果は減少するけど杖が無くたって魔法は使える。ともかく、セシリアが無事で良かった。臭いに敏感なら次は臭いを嗅いでから近づくんだぞ?」
そう言うとセシリアは涙をポロポロと流して、俺の腕に抱きついてくる。
「うぅ……フールごめんなしゃい……次はちゃんとクンクンしてから行くからぁ……」
泣き始めたセシリアの頭を撫で続け、セシリアの涙が止まるまで休憩をすることした。杖は無くしてしまったがそれ以上に守れたものがあった気がするフールだった。
(フ……フールにお姫様抱っこされちゃった……)
悲しんでいるはずのセシリアの尻尾はさりげなく、機嫌よく左右に振られているのだった。
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