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第一章 異世界召喚鍛冶師、爆誕!!
洞窟の中で
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助けを求めた人は、人ではなかった。
私は頭が真っ白になった。フワフワしてそうな獣の耳に、薄く閉じた口からチラリと見える白い小さな牙、そして彼の後ろからはモッフモフの尻尾がフラフラと動いていた。
彼は人間ではない。
あのムカデもどきといい、この青年といい、ここは一体どこなんだろうか…!!
私が思考に囚われ動きを止めた瞬間にムカデが私の足元に到着した。
「危ない!!避けろ!!」
「へ??」
『ザクリ』
嫌な音がした。
私は何が起こったか分からなかった。ムカデたちがいる足元へ私は視線を下げた。
私の足はムカデから出た白く長い触手なようなもので貫かれていた。
「~ッッッツ!!」
傷を確認した途端、そこから鋭い痛みが足を通じて脳にこだました。今までの最高の大怪我が捻挫の私にとって、これは流石にキツイと思った。
血がドクドクと溢れ出てくる。あれ?確か人って、血が出過ぎると死ぬんだっけ…?
痛みでジンジンする頭に『死』という言葉が溢れ出てきた。
私はこのまま死んでしまうのだろうか…
『ヒダギリスの短剣!!』
洞窟に綺麗で透き通った声が響き渡った。
あの青年の声である。獣耳の青年が左手を突き出し、声を張り上げていた。
青年が突き出した左手に光が集まり出した。
「はへっ!?」
光は粒になり、そして渦をまきながら粒はかたまり…光る短剣へとなった。
「ま、ままま…まじっく??」
青年は突き出した手を横に空気を割くように振った。私に生暖かい風が当たった。
『キシャァァーーーーーーーーッッッ!!!!!!』
ムカデたちが急に毒でも飲まされたかのようにのたうちまわった。そして、サァーーーーーと、黒い霧になって消えてしまった。
「大丈夫?」
青年は短剣をポンと投げ、投げた手で指を鳴らした。私の目の錯覚だろうか…短剣は空中で静止して、光の粒になって飛び散った。
突然色々なことが起きたためか、血が足りないせいか足に力が入らず私はその場に倒れた。
「お、おい!!しっかりしろ!!」
彼は私に駆け寄り抱き上げた。
「安心しろ、すぐ解毒して出血を止めるからな」
あぁ…もう、安心していいんだ…。
私は体の隅々に彼の言葉を受け止め、そして安心を全身で感じ取り、目を閉じた…
私は頭が真っ白になった。フワフワしてそうな獣の耳に、薄く閉じた口からチラリと見える白い小さな牙、そして彼の後ろからはモッフモフの尻尾がフラフラと動いていた。
彼は人間ではない。
あのムカデもどきといい、この青年といい、ここは一体どこなんだろうか…!!
私が思考に囚われ動きを止めた瞬間にムカデが私の足元に到着した。
「危ない!!避けろ!!」
「へ??」
『ザクリ』
嫌な音がした。
私は何が起こったか分からなかった。ムカデたちがいる足元へ私は視線を下げた。
私の足はムカデから出た白く長い触手なようなもので貫かれていた。
「~ッッッツ!!」
傷を確認した途端、そこから鋭い痛みが足を通じて脳にこだました。今までの最高の大怪我が捻挫の私にとって、これは流石にキツイと思った。
血がドクドクと溢れ出てくる。あれ?確か人って、血が出過ぎると死ぬんだっけ…?
痛みでジンジンする頭に『死』という言葉が溢れ出てきた。
私はこのまま死んでしまうのだろうか…
『ヒダギリスの短剣!!』
洞窟に綺麗で透き通った声が響き渡った。
あの青年の声である。獣耳の青年が左手を突き出し、声を張り上げていた。
青年が突き出した左手に光が集まり出した。
「はへっ!?」
光は粒になり、そして渦をまきながら粒はかたまり…光る短剣へとなった。
「ま、ままま…まじっく??」
青年は突き出した手を横に空気を割くように振った。私に生暖かい風が当たった。
『キシャァァーーーーーーーーッッッ!!!!!!』
ムカデたちが急に毒でも飲まされたかのようにのたうちまわった。そして、サァーーーーーと、黒い霧になって消えてしまった。
「大丈夫?」
青年は短剣をポンと投げ、投げた手で指を鳴らした。私の目の錯覚だろうか…短剣は空中で静止して、光の粒になって飛び散った。
突然色々なことが起きたためか、血が足りないせいか足に力が入らず私はその場に倒れた。
「お、おい!!しっかりしろ!!」
彼は私に駆け寄り抱き上げた。
「安心しろ、すぐ解毒して出血を止めるからな」
あぁ…もう、安心していいんだ…。
私は体の隅々に彼の言葉を受け止め、そして安心を全身で感じ取り、目を閉じた…
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