推しの完璧超人お兄様になっちゃった

紫 もくれん

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16歳《高等部 1年》

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「兄上、レネが兄上の従者になると聞いたのですが本当ですか?」

可愛い。なんで人間からこんな可愛いものが生まれるんだろう。テオ様を守るためならなんだってできる。関わりたくない皇宮にだって関われちゃう。テオ様に潔癖のけがあるからちゃんと不正しないで邪魔者は潰してるし。たまに使うけどそれは絶対にバレないようにしてる。世間にバレてもいいけどテオ様の不興は買いたくない。

テオ様がいなかったらどうしたんだろう。母様の言う通り生きてそうだけど…皇宮とはもう少し距離取ってただろうな。ゲームのクラウスと同じようにルディの近くに立っても側近にはならなかったと思う。騎士の誓いなんて絶対しない。

持ってたペンを置いてテオ様にほほ笑みかける。テオ様にだけは優しくしたいもんね。

「本当だよ。長期休みの1週間だけだけど、屋敷であくせく働くらしいよ。給金もだす予定だからこき使っていいからね。」

「同級生をこき使うのはダメですよ。仲に亀裂が入ったらどうするんですか。」

なんていい子。

要は使えるものは使い潰すに限るから仲良くしとけってことね。理解した。僕もそう思う。

「それはそうなんだけどさ。レネが経験したいって言うんだもん。家のメイドは当てにならないし皇宮やシモンのところは流石に難しい。ヤンのところは…あそこは独特だから経験にならないんだって。」

「…確かにそうですね。」

魔法師一族のヤンの家系は並の魔法師じゃ務まらない。多分屋敷の中もすごいんだろうなぁ。僕ですら家に行ったことないから分かんないけど、魔法塔みたいなイメージしかない。使用人すら魔法師らしい。家事も魔法でしてるんだって。
パーティは偶に開いてるみたいだね。そこは魔法特化型じゃなくても不便がないように作られてると聞いたことがある。

「あの子そういう節あるじゃない?だから1週間だけ従者として扱ってあげて。」

「…分かりました。」

慣れないよね。分かる。
でも貴族の四男なんて相当な才能がないと他家の執事とか婿入りとか。そこも道は狭いから最悪冒険者くらいしか道はないよ。金遣いの荒らさなんて一朝一夕で治るものでもない。貴族なら尚更プライドが邪魔をする。冒険者がいちばん手っ取り早いんだろう。

「テオは僕の騎士様ごっこでもやる?」

「兄上の騎士なら喜んで。」

「ほんとお前は可愛いね。」

テオ様は喜んでとでも言いそうなくらい綺麗に笑った。
はぁ。好感度どのくらい高めたらこんなに笑いかけてくれただろう。少なくとも80は超えてると思う。
60まではテオ様見向きもしてくれないし。元々優秀な兄に複雑な感情を持ってる設定とはいえ僕頑張ったな。


「テオ、ついでにだけどルディがあの子を選んだ理由探ろっか。なにか面白いもの持ってるかも。」

「ルディ様の暇つぶしではないですか?新しいものや面白そうなものが好きな方ですし。」

1番それが有り得そうで困ってるの。そんな面白そうだからって理由で国は運営できない。あの子が実績残さないと「人を見る目がない」とか、「人を扱う能力がない」とか。色々、ルディの評価に繋がるんだよ。

「有り得そうだね。それもまた一興だよ。ルディが興味を持つなら面白いかもしれないもん。」

「…程々にしてくださいね。」

「ねぇ、テオ。これが終わったらあの子が作った劇見に行こうか。」

「芸術方面には疎いですが楽しめるでしょうか。」

「楽しめるんじゃないかな。テオは優しいもの。」

「なら兄上も楽しめますね。」

可愛いこと言ってくれる。
前世も合わせて初めてなんだ。ライオンキングとか見てみたいって思ってたんだけど体がついてこなかった。

とっておきの席を取らないと。

「あ。ネヴィルにも伝えないとね。あの子…観劇なんて楽しめる質なのかな…。」

ネヴィルの名前を出した途端に機嫌のよさそうな雰囲気が地の底に沈んだ。そんなに嫌なのか。
嫌ってる嫌ってるとは思ってたけどそんなに嫌いかぁ。最近じゃ剣の手合わせもしてあげてるから少しは仲良くなったと思ったんだけどなぁ。

嫌なら一緒に行くこともないか。最近じゃ2人で出かけることもなかったし。

「2人だけで行こうか。」

「兄上の仰せの通りに。」

キリッとした顔でポポっと頬を染めるテオ様。なんて可愛いんだろう。昔っから顔に出るタイプだったけど本当に治らないね。
頑張って練習してる無表情のポーカーフェイスすら意味をなしてない。


「ほんと。可愛いね。」


にしても、テオ様と2人っきりのお出かけとか久しぶりだな。牽制も兼ねてネヴィルと3人のことが最近は多かったし楽しまないとなぁ。



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