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16歳《高等部 1年》
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しおりを挟むルディを剣術でも魔法でもボコボコにしたせいで僕らの不正疑惑が再浮上。本当に腹が立つ。証拠なんてないのに探し回って馬鹿みたい。
ゴタゴタしてたらあっという間にすぎてく時間。なんで時間って有限なんだろ。
今日は久しぶりのボードゲームの時間。高等部になってもボードゲーム部と園芸部。
いつも通り先輩を潰してく。これ結構ストレス発散になるんなよね。相手はストレスしか溜まらないだろうけど。
はい。チェックメイト。
この相手の戦術、実践でも使えそうだな。後でルディに相談してルディの手柄にしよ。僕の戦術に負けたからそこは保管しないと。対処の使用はあるしね。
「クラウス様。」
「やぁ。レネ、どうしたの?」
あら。ルディのお気に入りじゃない。意外と仕事してくれて助かってるよ。
伯爵家…四男…悪い条件じゃないか。
でもこの子皇后って感じではないし。やっても経験になったとか言って離婚しそうなんだよなぁ。
本気でルディはこの子をなんのために選んだんだか。
ニコニコと役者の顔を浮かべて仰々しく一礼した。
「チェスやる?ちょうど相手がいなくなったんだ。」
「相手にはならないと思いますが、私でよければ。」
話したいことがあるならあまり気を張らないようにしたいよね。お茶会とか無駄に気を使う。
「クラウス様はゲームをしながら話をするのが好きだと殿下から伺いました。」
「頭を動かしてるのが好きなんだよね。ちょっと緊張感のある会話とゲームとかなら最高。」
向こうに先手を譲って僕は一手目でポーンを動かす。
チェス飽きちゃった。将棋したいなぁ。オセロでもいいや。
静かな部屋に響く駒の動く音。とっても静かで心地いい。
その中で綺麗な通る声が駒の音をかき消しちゃった。
「新しい脚本のネタにクラウス様の従者になることは可能でしょうか。」
なにそれ。面白そう。この子、脚本家と演者をこの歳でやってるからなんでもやりたがるんだよね。何事も経験だって。ちょっと分かる。
それにそこそこ才能はあるみたい。ご婦人とご令嬢達はこのこの見た目と仕草にやられてお金を湯水の如く寄付してる。
手の内に入れて悪いことはない。
「いいよ。公爵家の執務室には入れないからそこ以外ね。」
ぱぁっと歳相応の笑顔を向けてきた。おぉ。こんな顔もできるんだ。演技なのかな。それとも本物?わっかんない。
「ねえ。僕が断ったらどうしてたの?」
「チェスに勝って約束を取り付けるつもりでした。」
「勝てそう?」
「いいえ。」
コツンとレネのキングを倒してやればクスリと笑われた。
弱いなぁ。1ミリもチェスは面白くなかったな。
「いつから従者やる?」
「今からでお願いします。」
…早いな。こっちの予定は聞かないのか。
なんかさすが攻略者って感じだ。生徒会にいる子達、誰も僕の意向を聞かないし好き勝手してるもん。テオ様くらいだよ。ちゃんと「どう思いますか?」って聞いてくれるの。
ルディが立ち止まらないことも振り返らないことも知ってるからそっちは諦めてる節はある。ゲームでも思ったけどそれでこそルディ皇子って感じだもん。いいよ。才能あるし頑張って。
ただ僕に仕事を押し付けないで。
「僕の執事に話を通すから今日家に来る?」
「はい!」
嬉しそうだなぁ。この子従者なんて役できるのかな。もっと主役って顔立ちだけど。
「伯爵様から許可は貰ってる?」
「父様は私に興味がありませんから。」
そっか。じゃあいいや。
身内じゃなくて僕らと仲良くしようね。
「そういえばレネは土魔法が得意なの?」
「はい。土魔法のみ使えます。」
ニコニコ笑ってら。
ふぅん。ちょうどいいな。魔法使ってもらお。
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