推しの完璧超人お兄様になっちゃった

紫 もくれん

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16歳《高等部 1年》

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選ばれたあとは適当に長々と頑張りますって言って終わり。ルディとシモンは王族だから長いのなんのって。良く眠くなんないよね。僕は事前に眠らないように魔法薬飲んだから大丈夫だったけど。シモンなんて同じようなこと言ってんだから以下同文。でよかったじゃん。僕も人の事言えないけどさぁ。

とにかく全部まとめて、面倒くさ。

やっとこさ終わったところで僕ら生徒会役員は外に出た。速攻で生徒会室を見るため。噂によれば最高級の執務室らしい。ゲームの世界らしく生徒会は特級の権限持ってるし。良いことずくめだね。

「どんな部屋だろうな。楽しみだわ。」

「僕は自分専用の研究室が持てるのが嬉しいな。」

「僕も…。高い魔法具も買えますから。」

「この学園には教会があるのもいいね。劇場もあるみたいで良かったね。」

「…それよりも演劇に活かせる経験ができそうで良かったです。」

「テオはなにが楽しみ?」

「兄上とルディ様と学べることが嬉しいです。」

うん。テオ様以外は煩悩まみれだな。宗教のトップに立つって人は教会が嬉しいとか言ってるけど。「教会でチヤホヤされるから教会があって嬉しい。」の方が正しいと思う。
どうせここでも洗脳まがいなことして教徒連れて帰るんだろうなぁ。

やっぱりテオ様だけしかいい子はいない。

「テオはいつも真面目だね。テオの良いところだけど気を病まないように息抜きもしてね。」

「はい。」

面倒くさそうにルディが口を開いた。
一安心ってところなのかな。僕がルディを潰しても良かったけど僕の選んだ王様だからね。負けるのは癪だし、点数同じにしてあげたんだよ。ゲームのクラウスと一緒。テストの内容も攻略者の点数も完璧に覚えてるから。

「でもまぁ、今回は淑女は入れなかったからな。文句は出てくるだろうな。」

習わしとして生徒会長や副会長は婚約者を選ぶ傾向が多いんだ。その事だろう。とはいえ、今回は無理だ。だって僕ら、主人公に選ばれる側だし。

「そもそも僕とルディに誰かが勝てるわけないし。剣術は剣技使いに魔法は侯子様以上の貢献した生徒もいないしね。」

「他国の皇族であるシモンを選ばねぇ訳にもな。一つ空いてた席は演劇家の伯子が埋めさせた。」

たしかにこの子なら女性陣から文句は出ないだろう。女性は芸術に奥が深いからね。大声で文句言うのなら男性陣だろう。まぁ奥さんと娘に言われて人捻りだろうなぁ。貴族の淑女は貴族社会で生きてただけあって気が強い。それに権力のある嫁を娶ったところなんて頭が上がらないだろう。

「ただ気をつけなよ。ルディの婚約者がミュラー伯子だって噂出るかも。」

「婚約者探しに困るな。」

全くだよ。僕はいいけどルディは困る。跡継ぎがいないとまた第2皇子とやり合うことになる。そんなの面倒くさすぎてヤダ。

「ルディが皇太子になったらだけどね。なれなかったら、第2皇子殿下が探してくれるか未婚だよ。」

「今の状況で決めれる家紋もないからな。」

「そうだねぇ。邪魔されるだろうし…。どうせ娶るなら貴族派閥からがいいもんね。」

「弟がそっちと手を組んでる。」

知ってるよ。だから手を組むんでしょ。いくら力が今弱まってるからって次の代まで続くとは思えない。早めに組み込んでおきたいんだよね。考えることは一緒か。

「知ってるよ。僕の伯父上が貴族派閥の頭だもの。」

「どうにかなんねぇのかよ。」

「…?家ごと潰していいの?」

「ダメだ。あの家には使い道はある。」

だよね。そもそも僕の従兄弟にあたる次期当主は言うほど悪くない。仲良くしたいよね。
パーティの時に離すくらいでほとんど関わりないけど。

「僕もそう思う。」

「早く代替わりしねぇかなぁ。」

「代替わりしたら、あの当主頂戴ね。」

「まだ恨んでんの?しつけぇやつだな。」

「僕よりも僕の使用人の方が思い込んでるんだよ。」

「何を?」

「僕の母様が伯父上に殺されたって。」

「事実か?」

「証拠がない。毒の形跡もない。」

だから僕はないと思ってる。でも公の場でそんなこと言ったら反感買うもん。シモンもルディも僕の母様を尊敬して目指してる。冗談でも殺されたなんて断言したら報復を許すことになるし。

「お前はどう思ってるんだ。」

「さぁ。母様がいてもいなくても僕は変わらないからね。母様に迷惑をかけられた訳でもないし。最後に褒めてくれたからね。諦めはついてるよ。」

「ふぅん。まぁお前が落ちぶれなきゃ好きにしていい。」

殺さないよ。使用人たちはどうするか知らないけど…。もしなんかあったら容赦なく引き渡すつもりだ。代わり探さないとな。

「ありがとね。でも有能な子達は母様のものだからね。入れ替えが必要かなぁ。」

「アルフレートの代わりは?」

「いないね。どっかの子供引き取ってお茶入れさそうかな。」

「アイツの価値ってお茶くみだけかよ。」

「今のところはね。それにさ、僕の代わりもいるんだから代わりがいないなんてのは上の怠慢だよ。アルの代わりを作れてない時点で僕は怠け者さ。」

「ふっ。じょーだん。誰がお前の代わりやるんだよ。」

「テオ。」

「…悪ぃけど無理だな。」

チラッと後ろにいるテオ様を見て否定した。腹の立つ。足踏んずけてやったら睨まれた。

「できるさ。ゆっくりと色々教えてる。まだ拙いけれどもう、代わりは務まるよ。今度テオに褒賞あげることになったら領地をあげてよ。切り盛りできるよ。」

「…まじ?」

「いえ。兄上がいてこそです。まだまだできません。」

本当に謙虚で良い子だ。可愛い。ゲームでは「当たり前だ。」って言ってたけど。クラウスの前では猫かぶってるのかな。それも可愛い。

「もう。謙虚なんだから。」

「クラウス、お前の代わりがいても死んだら悲しむ奴もいる。忘れんなよ。」

「あぁ。…うん?」

急にどうしたんだろ?

「悲しんでもいつか忘れられるし気にしなくてもいいと思うんだけどなぁ。」







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