推しの完璧超人お兄様になっちゃった

紫 もくれん

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16歳《高等部 1年》

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生徒会。

ゲームでもこの世界でも1番重要な立ち位置になる。

なぜなら生徒会役員全員が攻略対象になるんだもん。うかうかしてたら主人公に学園を乗っ取られる。
それにこの生徒会は皇宮のシステムが入ってる。元々は皇太子育成の一環として始まったものだから生徒会は学園での権限が強い。

選ばれ方は簡単。
生徒会長と副会長は魔法と剣術、勉学の総合得点が高い順に2人。
書記、会計は生徒会長と副会長が1人ずつ信用できる人を選ぶ。2人の補佐という役割が強い。よくあるのが婚約者を選んだりもする。

あと珍しいのが魔法長、武道長というのがある。いわゆる、宮廷魔法師団長や宮廷騎士団長の代わりだ。

魔法長は魔法のテストが1番だった者。
武道長は剣術のテストが1番だった者。騎士を見立ててるから風紀委員みたいなことも仕事に入ってる。
これは最年少で剣技をマスターしたテオ様のものって決まってる。剣で剣技使いに勝てるのは剣技使いだけ。魔法も加われば勝敗は変わるけど、剣だけのテストだからもうテオ様に決まってる。

皇太子教育と言うだけあってこの学園の生徒会長になれないと皇太子にすらなれないからね。1度はここで皇子達は振い落されるんだ。賄賂でも権力でも実力でもなんでもいいから王にならないと認められない。
面倒だし難しいし。何より僕がいるからルディは今まで1番になれなかったし。結構な人数が運が悪かったと諦めてると思う。

でも、逆に僕がいるからルディは王になれるんだよ。僕がルディに足をついて頭を垂れて忠誠を誓ったのを忘れられちゃ困る。

かと言って正直誰が選ばれたかなんて知らないけど。ゲームのとおり進むのかなぁ。それならそれで少し怖い。
結局ルディが選ぶ人材も教えてくれなかったし。

「これより、3年間の任期を務める生徒会の役員を発表する。」

皇子がいるから皇子が生徒会長になってもなれなくても任期は3年。特例なんだよね。いつもの任期は高等部2年から3年の間の1年間。高等部3年から半年間で仕事を次の代にゆっくりと移してく。

でも皇子が入学する時は特例。この制度のせいで生徒会に入れない役員が出ることになる。だから通常の試験とは違い、次年度の中等部2年~高等部2年生で公平に同じ問題の試験が行われる。その中から生徒会役員を選ぶ。いつもなら高等部の1年が2年に上がる前のタイミングで試験が行われるけど皇子がいる時だけは別。
年下になる皇子の学年は不利になるけどそれを覆してこその皇族。僕も頑張ったんだよ。テオ様みたいに天武の才能がないからね。

「武術長、テオ・フォン・シルヴェスター公子様。」

まぁ当たり前だね。テオ様は天才だから仕方ない。

「魔法長、ヤン・フォン・ツェペシュ侯子様。」

ゲームの攻略者の1人だ。
魔法で権力を手に入れた家系。ヤンは魔力は少ないけど魔力の流れについての論文とか実際にそれを応用した新しい魔法とかで功績をあげた。今後に期待ってところだけど…今回も新開発の魔法使って1番になったのかな。

「副生徒会長クラウス・フォン・シルヴェスター公爵様。生徒会長ルディ・フォン・モーント・ウォータント第1皇子殿下。」

拍手とともに壇上に上がる。ルディとシモンには僕がシモンを選べって言われてるからシモンが会計なのは決まってる。

僕もルディも壇上に上がって声が大きくなる魔法具を渡された。ルディが先にって手で合図してくれたから一礼してそれに従う。

喋り始めようとしたところで生徒の間からスっ立ち上がった人がいる。
1人だけ違う行動したら目立っちゃうよ。第2皇子殿下。

「不正ではありませんか?」

サッと僕の前に立ってくれるルディ。立場があるからね。壇上にいる僕から下にいる殿下に話しかけるのはちょっとやばい。殿下は誰に不正かって聞いてないし。

「俺が1番になったことか?」

「はい。今までのシルヴェスター公爵と兄様の試験の結果を見ても兄様がシルヴェスター公爵に勝てるとは思えません。シルヴェスター公爵は兄様に忠誠を誓っています。試験の結果を取り替えたなどの不正があったのではないですか?」

正解だね。ルディじゃ僕に総合点では勝てないし。
ちゃんとゲームの攻略本に書かれてた方法使ったからバレる心配はないと思う。

それにルディも忙しいんだよ?学校の授業だけじゃなくてちゃんと帝王学も試しだけど領地経営もしてる。というか、僕がさせてる。皇帝になった後に始めても遅いもん。

「証拠は?」

「…ありません。」

「ならそれはただの言いがかりだ。」




「この学園の教師は有能だ。不正くらい調べてるだろ。」

「シルヴェスター公爵ならできるのではないですか?」

あ。僕?
答えようか?

ルディを見たら前にでろって目で言われたから答えようかな。

「第2皇子殿下、なかったことをなかったと証明するのは難しいんですよ。なぜならやったことがないんですから。」

悪魔の証明だったかな。
ここで例に死後の世界なんて出したら聖皇国に対する不敬で首飛びそうだからあんまり言わないでおこ。
聖皇国の皇子の前で、神様がいる証拠は?なんて聞いたら戦争になる。


「紙の試験は魔法禁止で魔法が使えないように結界が張られています。それの対処をしても魔力を検知する魔法具も使用されています。証拠は教師たちが持っていますから公平性も満たしますね。他にどんな不正をしたと?剣術も魔法も優秀な教師と結界、魔法具ですぐに分かります。過去の不正は全て見抜かれ退学です。申し訳ありませんが、それ以外に不正の方法は思いつきませんね。」

「では細かい点数を公表しろ。シルヴェスター公爵と兄様が不正をしていない証拠のためにも。」

「いいだろう。」
「僕も異論はありません。」

点数ねぇ。まぁいいか。
ちゃんと同点になるように調整したし。

「承知致しました。来週中にお二人の成績を張り出します。」

「トップ10くらいでいいんじゃないかな。僕らだけ出しても不正かどうかなんて分からないでしょ。」

「他の生徒の許可が取れたならやってくれ。」

ルディってば男前。しろって言えばできたのに。
後ろでテオ様が「俺は張り出して構わない」って言ってる。可愛いテオ様。

「かしこまりました。」

「もし俺たちが不正をした証拠が見つかったなら喜んで一緒に確認してやるよ。クラウスの言う通り、不正の証拠がねぇんだからないだろうけどな。」

ふふんっと鼻で笑ってるけど足元掬われないように気をつけてよね。第2皇子は頭が回るんだから。今回は言いがかりというかみんなが思ったことの代弁だからそんなに強く言わなかっただけだと思うけど。

「では改めまして、クラウス・フォン・シルヴェスターは書記にシモン・ヨアヒム・ヴァイゲル聖皇国第3皇子殿下を任命します。」


「ルディ・フォン・モーント・ウォータントはレネ・フォン・ミュラー伯子を任命する。」


レネ・フォン・ミュラー?伯爵家の4男だよね。演劇に長けてる子。
たしかにゲームでは生徒会に入ってて攻略対象だったけどいつ知り合ったの?そこはもう関係ないと…ゲームの内容から変わると思ってたのに。

…ネヴィル殺されたりしないよね。まだゲームが始まるには3年ある。死なれたら困るんだけど?



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