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12歳《中等部》

96 アルフレート&クラウスside

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「ねぇアルフレート。」

仕事に飽きたのか羽根ペンを持ってる手が止まってるクラウス様に話しかけられた。
最近はテオ様に会うのをシモン殿下に邪魔されて機嫌が悪い。

「はい。クラウス様。」

「僕気づいたんだけどね。」

「はい。」

なんだ。ついにシモン殿下を暗殺されるのだろうか。さすがに王族殺しは問題がある。止めなければ…。

「テオって甘いものが好きなんじゃなくて味が濃いものがしきなの?」

「そのようですね。」

テオ様?
確かにその傾向はあった。スパイスの効いたチキンや甘いチョコレートやココア。チョコレートクッキーやケーキなどの甘めのものを甘めの紅茶でが好きだ。
クラウス様は逆になんにも入れない紅茶としっとりしたほんのり甘めのクッキーを好まれる。


「義母様は?」

「同じ傾向にあるかと。」

故郷の特性なのか味付けがしっかりしているものがお2人は好きなようだ。
シルヴェスター公爵家は前公爵夫人の好みのおかげで味が薄めだ。肉は味が少しだけ濃いようでいつもの料理の中じゃテオ様も好まれてる。

「味付け変えようか。テオ様と義母様は少し味付け濃くしよう。」

「かしこまりました。」

「体には悪くならない程度でお願いね。」

「はい。」

それだけ話してクラウスは羽根ペンを動かし始めた。
本当にテオ様のことを気に入ってるらしい。クラウス様の周りにはいなかったタイプではあるがここまで気に入るとは思わなかった。


《クラウスside》

「クーディ!」

「シモン。ノックを……もういいよ。」

「ねぇ。シルヴェスターが売ってる白い布、売ってよ。」

あれか。
でもあれ、魔獣の糸から作ってるやつだけど。聖皇国の教典からして使っていいやつなのかな。魔獣を悪として人間至上主義の国だと思ってたけど。

まぁお金になるし上手くいけば流行りにもなる。悪くないかな。

「義母様と商談して。」

「クーディも一緒にしよう。なにか面白い効果のある布も売ってるんだって?」

でもアレ卸してるの僕なんだよね。売ってるのは義母様だけど。面倒だなぁ。ただの布なら義母様に任せられるから楽なんだけど…。
いやいっその事義母様に丸投げするか?相手はシモンだ。上手くやってくれるだろう。

「まぁね。でも魔獣から作った物なんて使ったら国内で反感買うよ?」

「買わないよ。だってソレ、魔獣じゃないもの。」

「魔獣だよ。」

「私が魔獣じゃないって言ったら魔獣じゃないの。シルヴェスターが虫をベースに作りあげた生き物だ。」

「無茶苦茶な。」

シモンならそれを納得させるんだろうなぁ。なんかシモンが黒を白だと言えば納得するやつがいそうだもん。今回連れてきた騎士だってシモンの信者だろう。

僕がシモンに無礼を働いたら睨んでくる。それをテオ様が睨んでるって悪循環。テオ様が傷つけられたら僕は黙ってないとシモンに言ったけど興味無さそうだった。

「毛皮だって魔獣から取ってるんだよ。気にした方が負けだ。」

「僕もそこまで図太くなれたらね…。わかった。義母様と話を合わせるよ。」

羽根ペンを置いて今できてる布の一覧を取り出す。結構この布作るの簡単なんだよ。やること自体は簡単なのに多くの魔力を必要とするからバカ高い値段にしてるけど。

「コレ、効果の一覧が載ったやつ。欲しいものリストアップしといて。ものによったらこれから作り始めなきゃいけないものもある。」

「どう作るの?」

「内緒。」

「公爵夫人は知ってるの?」

「あの人はそんなことに興味無いから知らないよ。売上を上げて、お金だけ入るシステム。研究系は僕の部下がしてるんだ。」

シモンは納得というように僕から一覧の紙を取ってった。


「それで冒険者メインの装飾品を売ってるのか…。納得したよ。あのご婦人がなんで貴族相手じゃないのかと思ってた。」

「意外と仕事できるのかなって?」

「うん。クラウスが手を引いてるなら納得だよ。変なのに手を出さなくてよかった。」

義母様に手を出そうとしてるたの?笑えないんだけど。
あんなの制御できるの父様くらいだよ。父様の女性の扱いは一級品だ。得意の洗脳魔法も使ってないみたいだし。嫌使ってるのかな。上手すぎて僕には分からないだけかも。
 
「シモン。僕の家族に手を出したら許さないから。」

「ん~。分かってるよ。じゃあ今日の夜の席で話を出していい?」

「別日で時間をとるから黙ってて。」

「…分かったよ。クーディのお願いだしね。」

はぁ。めんどくさい。仕事が増えた。領主の仕事なんてほっぽり出したい。







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