推しの完璧超人お兄様になっちゃった

紫 もくれん

文字の大きさ
上 下
200 / 212
12歳《中等部》

96 アルフレート&クラウスside

しおりを挟む

「ねぇアルフレート。」

仕事に飽きたのか羽根ペンを持ってる手が止まってるクラウス様に話しかけられた。
最近はテオ様に会うのをシモン殿下に邪魔されて機嫌が悪い。

「はい。クラウス様。」

「僕気づいたんだけどね。」

「はい。」

なんだ。ついにシモン殿下を暗殺されるのだろうか。さすがに王族殺しは問題がある。止めなければ…。

「テオって甘いものが好きなんじゃなくて味が濃いものがしきなの?」

「そのようですね。」

テオ様?
確かにその傾向はあった。スパイスの効いたチキンや甘いチョコレートやココア。チョコレートクッキーやケーキなどの甘めのものを甘めの紅茶でが好きだ。
クラウス様は逆になんにも入れない紅茶としっとりしたほんのり甘めのクッキーを好まれる。


「義母様は?」

「同じ傾向にあるかと。」

故郷の特性なのか味付けがしっかりしているものがお2人は好きなようだ。
シルヴェスター公爵家は前公爵夫人の好みのおかげで味が薄めだ。肉は味が少しだけ濃いようでいつもの料理の中じゃテオ様も好まれてる。

「味付け変えようか。テオ様と義母様は少し味付け濃くしよう。」

「かしこまりました。」

「体には悪くならない程度でお願いね。」

「はい。」

それだけ話してクラウスは羽根ペンを動かし始めた。
本当にテオ様のことを気に入ってるらしい。クラウス様の周りにはいなかったタイプではあるがここまで気に入るとは思わなかった。


《クラウスside》

「クーディ!」

「シモン。ノックを……もういいよ。」

「ねぇ。シルヴェスターが売ってる白い布、売ってよ。」

あれか。
でもあれ、魔獣の糸から作ってるやつだけど。聖皇国の教典からして使っていいやつなのかな。魔獣を悪として人間至上主義の国だと思ってたけど。

まぁお金になるし上手くいけば流行りにもなる。悪くないかな。

「義母様と商談して。」

「クーディも一緒にしよう。なにか面白い効果のある布も売ってるんだって?」

でもアレ卸してるの僕なんだよね。売ってるのは義母様だけど。面倒だなぁ。ただの布なら義母様に任せられるから楽なんだけど…。
いやいっその事義母様に丸投げするか?相手はシモンだ。上手くやってくれるだろう。

「まぁね。でも魔獣から作った物なんて使ったら国内で反感買うよ?」

「買わないよ。だってソレ、魔獣じゃないもの。」

「魔獣だよ。」

「私が魔獣じゃないって言ったら魔獣じゃないの。シルヴェスターが虫をベースに作りあげた生き物だ。」

「無茶苦茶な。」

シモンならそれを納得させるんだろうなぁ。なんかシモンが黒を白だと言えば納得するやつがいそうだもん。今回連れてきた騎士だってシモンの信者だろう。

僕がシモンに無礼を働いたら睨んでくる。それをテオ様が睨んでるって悪循環。テオ様が傷つけられたら僕は黙ってないとシモンに言ったけど興味無さそうだった。

「毛皮だって魔獣から取ってるんだよ。気にした方が負けだ。」

「僕もそこまで図太くなれたらね…。わかった。義母様と話を合わせるよ。」

羽根ペンを置いて今できてる布の一覧を取り出す。結構この布作るの簡単なんだよ。やること自体は簡単なのに多くの魔力を必要とするからバカ高い値段にしてるけど。

「コレ、効果の一覧が載ったやつ。欲しいものリストアップしといて。ものによったらこれから作り始めなきゃいけないものもある。」

「どう作るの?」

「内緒。」

「公爵夫人は知ってるの?」

「あの人はそんなことに興味無いから知らないよ。売上を上げて、お金だけ入るシステム。研究系は僕の部下がしてるんだ。」

シモンは納得というように僕から一覧の紙を取ってった。


「それで冒険者メインの装飾品を売ってるのか…。納得したよ。あのご婦人がなんで貴族相手じゃないのかと思ってた。」

「意外と仕事できるのかなって?」

「うん。クラウスが手を引いてるなら納得だよ。変なのに手を出さなくてよかった。」

義母様に手を出そうとしてるたの?笑えないんだけど。
あんなの制御できるの父様くらいだよ。父様の女性の扱いは一級品だ。得意の洗脳魔法も使ってないみたいだし。嫌使ってるのかな。上手すぎて僕には分からないだけかも。
 
「シモン。僕の家族に手を出したら許さないから。」

「ん~。分かってるよ。じゃあ今日の夜の席で話を出していい?」

「別日で時間をとるから黙ってて。」

「…分かったよ。クーディのお願いだしね。」

はぁ。めんどくさい。仕事が増えた。領主の仕事なんてほっぽり出したい。







しおりを挟む
感想 34

あなたにおすすめの小説

監視が厳しすぎた嫁入り生活から解放されました~冷徹無慈悲と呼ばれた隻眼の伯爵様と呪いの首輪~【BL・オメガバース】

古森きり
BL
政略結婚で嫁いだ先は、女狂いの伯爵家。 男のΩである僕には一切興味を示さず、しかし不貞をさせまいと常に監視される生活。 自分ではどうすることもできない生活に疲れ果てて諦めた時、夫の不正が暴かれて失脚した。 行く当てがなくなった僕を保護してくれたのは、元夫が口を開けば罵っていた政敵ヘルムート・カウフマン。 冷徹無慈悲と呼び声高い彼だが、共に食事を摂ってくれたりやりたいことを応援してくれたり、決して冷たいだけの人ではなさそうで――。 カクヨムに書き溜め。 小説家になろう、アルファポリス、BLoveにそのうち掲載します。

俺、転生したら社畜メンタルのまま超絶イケメンになってた件~転生したのに、恋愛難易度はなぜかハードモード

中岡 始
BL
ブラック企業の激務で過労死した40歳の社畜・藤堂悠真。 目を覚ますと、高校2年生の自分に転生していた。 しかも、鏡に映ったのは芸能人レベルの超絶イケメン。 転入初日から女子たちに囲まれ、学園中の話題の的に。 だが、社畜思考が抜けず**「これはマーケティング施策か?」**と疑うばかり。 そして、モテすぎて業務過多状態に陥る。 弁当争奪戦、放課後のデート攻勢…悠真の平穏は完全に崩壊。 そんな中、唯一冷静な男・藤崎颯斗の存在に救われる。 颯斗はやたらと落ち着いていて、悠真をさりげなくフォローする。 「お前といると、楽だ」 次第に悠真の中で、彼の存在が大きくなっていき――。 「お前、俺から逃げるな」 颯斗の言葉に、悠真の心は大きく揺れ動く。 転生×学園ラブコメ×じわじわ迫る恋。 これは、悠真が「本当に選ぶべきもの」を見つける物語。

転生したけど赤ちゃんの頃から運命に囲われてて鬱陶しい

翡翠飾
BL
普通に高校生として学校に通っていたはずだが、気が付いたら雨の中道端で動けなくなっていた。寒くて死にかけていたら、通りかかった馬車から降りてきた12歳くらいの美少年に拾われ、何やら大きい屋敷に連れていかれる。 それから温かいご飯食べさせてもらったり、お風呂に入れてもらったり、柔らかいベッドで寝かせてもらったり、撫でてもらったり、ボールとかもらったり、それを投げてもらったり───ん? 「え、俺何か、犬になってない?」 豹獣人の番大好き大公子(12)×ポメラニアン獣人転生者(1)の話。 ※どんどん年齢は上がっていきます。 ※設定が多く感じたのでオメガバースを無くしました。

BL世界に転生したけど主人公の弟で悪役だったのでほっといてください

わさび
BL
前世、妹から聞いていたBL世界に転生してしまった主人公。 まだ転生したのはいいとして、何故よりにもよって悪役である弟に転生してしまったのか…!? 悪役の弟が抱えていたであろう嫉妬に抗いつつ転生生活を過ごす物語。

実は俺、悪役なんだけど周りの人達から溺愛されている件について…

彩ノ華
BL
あのぅ、、おれ一応悪役なんですけど〜?? ひょんな事からこの世界に転生したオレは、自分が悪役だと思い出した。そんな俺は…!!ヒロイン(男)と攻略対象者達の恋愛を全力で応援します!断罪されない程度に悪役としての責務を全うします_。 みんなから嫌われるはずの悪役。  そ・れ・な・の・に… どうしてみんなから構われるの?!溺愛されるの?! もしもーし・・・ヒロインあっちだよ?!どうぞヒロインとイチャついちゃってくださいよぉ…(泣) そんなオレの物語が今始まる___。 ちょっとアレなやつには✾←このマークを付けておきます。読む際にお気を付けください☺️

転生悪役令息、雌落ち回避で溺愛地獄!?義兄がラスボスです!

めがねあざらし
BL
人気BLゲーム『ノエル』の悪役令息リアムに転生した俺。 ゲームの中では「雌落ちエンド」しか用意されていない絶望的な未来が待っている。 兄の過剰な溺愛をかわしながらフラグを回避しようと奮闘する俺だが、いつしか兄の目に奇妙な影が──。 義兄の溺愛が執着へと変わり、ついには「ラスボス化」!? このままじゃゲームオーバー確定!?俺は義兄を救い、ハッピーエンドを迎えられるのか……。 ※タイトル変更(2024/11/27)

その男、有能につき……

大和撫子
BL
 俺はその日最高に落ち込んでいた。このまま死んで異世界に転生。チート能力を手に入れて最高にリア充な人生を……なんてことが現実に起こる筈もなく。奇しくもその日は俺の二十歳の誕生日だった。初めて飲む酒はヤケ酒で。簡単に酒に呑まれちまった俺はフラフラと渋谷の繁華街を彷徨い歩いた。ふと気づいたら、全く知らない路地(?)に立っていたんだ。そうだな、辺りの建物や雰囲気でいったら……ビクトリア調時代風? て、まさかなぁ。俺、さっきいつもの道を歩いていた筈だよな? どこだよ、ここ。酔いつぶれて寝ちまったのか? 「君、どうかしたのかい?」  その時、背後にフルートみたいに澄んだ柔らかい声が響いた。突然、そう話しかけてくる声に振り向いた。そこにいたのは……。  黄金の髪、真珠の肌、ピンクサファイアの唇、そして光の加減によって深紅からロイヤルブルーに変化する瞳を持った、まるで全身が宝石で出来ているような超絶美形男子だった。えーと、確か電気の光と太陽光で色が変わって見える宝石、あったような……。後で聞いたら、そんな風に光によって赤から青に変化する宝石は『ベキリーブルーガーネット』と言うらしい。何でも、翠から赤に変化するアレキサンドライトよりも非常に希少な代物だそうだ。  彼は|Radius《ラディウス》~ラテン語で「光源」の意味を持つ、|Eternal《エターナル》王家の次男らしい。何だか分からない内に彼に気に入られた俺は、エターナル王家第二王子の専属侍従として仕える事になっちまったんだ! しかもゆくゆくは執事になって欲しいんだとか。  だけど彼は第二王子。専属についている秘書を始め護衛役や美容師、マッサージ師などなど。数多く王子と密に接する男たちは沢山いる。そんな訳で、まずは見習いから、と彼らの指導のもと、仕事を覚えていく訳だけど……。皆、王子の寵愛を独占しようと日々蹴落としあって熾烈な争いは日常茶飯事だった。そんな中、得体の知れない俺が王子直々で専属侍従にする、なんていうもんだから、そいつらから様々な嫌がらせを受けたりするようになっちまって。それは日増しにエスカレートしていく。  大丈夫か? こんな「ムササビの五能」な俺……果たしてこのまま皇子の寵愛を受け続ける事が出来るんだろうか?  更には、第一王子も登場。まるで第二王子に対抗するかのように俺を引き抜こうとしてみたり、波乱の予感しかしない。どうなる? 俺?!

超絶美形な悪役として生まれ変わりました

みるきぃ
BL
転生したのは人気アニメの序盤で消える超絶美形の悪役でした。

処理中です...