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12歳《中等部》
95 シモンside
しおりを挟む皇居の庭に準備されたテーブルと椅子。観賞用の庭だからまぁ綺麗だね。
それにしても公にされてない私の立場もあるけどそれにしても手早かった。いつもクラウスとお茶会をここでしてるのかな。
皇室にしては質素だけどまぁ庭も紅茶の味も悪くない。クラウスが煩いんだろう。シルヴェスターから出されるお茶はおば様が口うるさいこともあって最高級を超えて周辺国なら1番美味しい。
あのクラウスが気に入ってる執事はどれだけ練習したんだか。どんな紅茶も茶葉を見て匂いを嗅げば入れられるらしい。嘘っぽいから私は信用してないけど。
「この菓子…シルヴェスター公爵家出もでてきたよ。」
「あぁ。テオお抱えの店だからな。」
「珍しいけど…売れてるんだ。」
「シルヴェスターの交易からゴミを引っ張り出してきて加工したらしい。」
「ゴミ?」
こんなに美味しいのに?
でもゴミを出すなんてこの国の貴族は頭がおかしいのかな。
ルディも気にしてないように目の前のケーキを口に運んだ。
「現地でも食べられないと判断されたら苦い実だ。試しに一欠片食ったことがあるがまずい。苦い。食い物じゃないの三拍子だったな。栄養はあるみたいだが。」
そんなもの見つけて加工したんだ…。本当に欲しくなってきた。なんでクラウスはこの国に生まれたんだろ。勿体ない。
「へぇ。本当にクラウスだけでも我が国に欲しいよ。」
「テオが見つけたとは思わないのか?」
変な事言うな。どうせアレはクラウスのお荷物だ。一番下の兄弟のように足を引っ張らないだけましという認識しかない。
あまり役に立たないなら殺してしまえばいいのに。
「アレはただの脳筋でしょ。いらない。剣技使いなら私の国にもいるからね。」
「あっそ。」
「ねぇ。クラウスだけでもくれない?不能にしてもいいからさ。」
「シルヴェスターは国のものだ。あの兄弟は他国にやれねぇよ。そんなに欲しけりゃ、聖皇国が俺に下ればいい。」
「戯言を。」
それだと私が王になれない。そんなの意味がないし世界の損失だよ。
私の宰相はクラウスみたいに有能なのがいいのに、ルディはクラウスを宰相にする気も側近にする気もない。それも世界の損失。クラウスがクラウスである意味がない。
「それで。なんか話があったんだろ?」
「あぁ。気づいてた?」
そうなんだよね。まぁ別にこの国の王が誰になろうが興味はないけど。ルディはクラウスの幼馴染だからなにか知ってるかなって。私のクラウスが変わった理由とかね。
「クラウスが変わった理由を知りたい。」
「変わったか?」
「変わったよ。あんなに人を尊重するような人じゃなかった。」
私が知ってるクラウスは頭が良くて身体能力が高くて顔は美麗。それに性格は人に興味がなくて合理主義。国を運営するのにも隣に置くにも、もってこいの人間だった。
それが今じゃ家族に手を出すなとかいう変人になってしまってる。絶対に何かあったはずだ。
それなのにルディは興味なさそうに紅茶に口をつけた。
「テオか研究だろうな。アイツさっさと隠居したいみたいだし。」
「あの血が半分しか繋がってない脳筋?なんで?何がいいの?」
「知らねぇよ。それクラウスに言ったら殺されるぞ。」
「それでいいと思ってるの?クラウスの才能は変な研究や人に使い潰されていいものじゃない。僕ならもっと上手くできる。」
「知らねぇけどクラウスは楽しそうだしいいんじゃねぇの?」
なんでこんなに呑気なの?
クラウスだよ。手に入れたらアレより使い勝手のいい人間なんていないんだよ。なんで分からないの?そもそもルディもクラウスもなんであんな脳筋を気に入ってるの?
あぁ。もうこの国は終わりかもしれない。栄華を極めた帝国もこれまでだ。
「シルヴェスターも扱う人間が悪ければ堕ちるだけだよ。」
「俺は別にシルヴェスターがいなくても理想の国つくれるからな。いたら楽になるってだけだ。」
余裕そうでムカつく。私は死に物狂いで頑張ってるのに。クラウスだって領地を守って社交界にでて勉強も剣術も1番。「本物の天才には敵わないよ。」と微笑んでるけどそれにだって喰らいついていける才能を持ってる。
私にはそれがないのに。
「テオ・フォン・シルヴェスターね。覚えた。」
「いや。アイツに手を出すなよ。本気でクラウスに殺されるぞ。」
なんかクラウスの幼馴染が言ってるけど知らない。私は私のやれることだけするんだから。
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