推しの完璧超人お兄様になっちゃった

紫 もくれん

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12歳《中等部》

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「世の中綺麗事ばかりじゃない。スラムと同じにされるのをアンタは嫌がるだろうけど人の感情、思考、行動、全部読みとって裏をかいて生きてけなきゃスラムでは生き残れない。死ぬだけだ。裏をかけたやつだけがスラムで生き残れるんだよ。」

その通り。貴族社会も同じだ。現に母様が生きてた頃はシルヴェスターと同等に近い権力を持ってた僕の伯父上。僕のせいで少し裕福な貴族にまで落ちた。
可哀想な伯父上。さっさとその立場を手放して隠居すればいいのに。

不愉快そうなテオ様の横顔を眺めながらココアを口につける。あっまいなぁ。

「本を読んで君主が務まるならみんな勉強だけしてるよ。魔法塔の魔法師が王になれる?違うでしょ。王には王の器がある。スラムも貴族社会も所詮は人の集まり。人を制したものが王になる。第2皇子にその技量があるとは思えない。」

「そんなに第2皇子ってダメなの?」

ダメではない。いい王になると思う。もっと言うなら財務系を任せたらピカイチの才能を発揮するだろう。財務系は横領、横抜き、賄賂色々不正のしがいがあるもの。
ルディの兄弟も仲が良ければこんなに苦労しないのにね。

「ダメではないよ。平治ならいい王になると思う。不正を嫌い、民を思う。平民の国力を上げて豊かにしてくれるだろう。でも今じゃない。」

今貴族を蔑ろにして有事の際に兵士を集められなかったらいくら宮廷魔法師や宮廷騎士が強くても苦戦する。リソースは限られてるんだから仕方ない。貴族に助けを求められないなら最悪だ。金も人も足りない。大変だよ。それでもルディと僕なら戦える。貴族の力を借りられない第2皇子はそれで終わり。

逆に言えばルディが光魔法の才能を受け継ぎすぎたって言うのもあるね。どちらかがあと少し劣っていたら負けた方は戦う前から諦めもついただろうに。


「今の政治は強い指導者が必要なの。ルディなら間違えても戦争って手段は取らないしそこは安心できる。」

「なんで?」

「本当にネヴィルはなんでが多いね。第2皇子もルディも戦争はしたくない。これは一緒。ルディは戦争なんて起こしたら聖君・・ってちやほやしてくれない。それに俺が忙しくなるだろ。って言うもん。」

ルディ、面倒くさがりだからね。それは仕方ない。
僕もシルヴェスターが関わらないなら好きにしてって言えるけどシルヴェスターは絶対に関わっちゃうからなぁ。

「第2皇子とは考え方が違うけどルディの我儘なら信用できる。ルディは頑固でわがままで野心家で面倒くさがりだからねぇ。」

「絶対王に向いてないよ、それ。」

「向いてるよ。性格終わってるけど人のこと考えられる優しい子だからね。それに冷静な判断も下せる。あと一撃で終わらせられる。でも僕が人質になった。ってなっても、ルディなら拳を振り下ろせるよ。小より大を。感情よりも利益を取れる人だ。」

やりすぎて独裁にならないといいけど…。
僕もテオ様もいるから大丈夫だとは思うけどね。宰相もシルヴェスターからは選ばれないだろうし。

「ま、シルヴェスターを優位にしてくれるし、第2皇子と比べるなら断然ルディなんだけどね~。」

一番の理由はこれだけど。

「かと言って、保険をかけない訳にもいかない。僕はルディを。2人には第2皇子を押して欲しい。万が一、ルディが政権争いで負けた時はシルヴェスターを頼んだよ。」

僕ならいつでも引くけどテオ様に不憫な思いをさせたくはない。なんならテオ様の手伝いとして着いて回りたい。僕にとってのアルフレートみたいな感じに。
合法的にプライベートに踏みいれるもん。


「第1皇子が王になったら?」

「その時は3人でいつも通りの生活さ。」

3人仲良く、生きてこうよ。
ネヴィルは逃げ出しそうだけど。







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