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12歳《中等部》
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しおりを挟む「兄上。どういうことですか?」
影魔法で僕の隣まで逃げてきたテオ様がラミアから一切目を離さずに聞いてきた。
そうなるよね。意味わかんないもん。
「魔法を覚えらたね。伝承から考えると血から覚えてる。絶対に僕とテオは血を流しちゃいけないよ。一滴でも取り込ませて闇魔法を覚えられたら厄介だ。」
ひゅっと喉を鳴らすテオ様。
分かるよ。戦いで血を一滴も流さないなんて格下相手にすることだ。魔法も物理攻撃も使える敵にすることじゃない。
「…分かりました。もしもの時は頼みます。」
「そんなこと起こさせないよ。テオの防御は僕に任せて。血の一滴も流させないから。」
無詠唱だけど僕の周りに防御魔法を張り直す。無詠唱なら持って一撃かな。下手したら破られる。
「ならば安心ですね。行ってきます。」
「行ってらっしゃい。」
無駄話はすることじゃない。テオ様も分かってるから最後になるかもしれない挨拶だって手短だ。
分かってるし僕も前線に行く方が早く終わる。分かってるけど下手を打って闇魔法を奪われる訳にはいかない。多少長引いたとしても僕とテオ様だけは怪我を負えない。重大な役割は僕か。光魔法すら意味なさないなんて…。はぁ。ヤダヤダ。取り込まれた血はもうラミアのものって訳?きっしょくわるっ。
《プロテクション》
「全員下がって。血を取り込まられたらラミアはお前たちの魔法を覚えるよ。気をつけて。」
できるだけ叫んで退路の準備をする。
死んだらもう刻魔法掛けないから覚悟してね。この戦いが終わったらかけてあげるけどその間は死ぬ。僕ならその少しの間でも死ぬなんて嫌だ。
テオ様が次をしかけたいらしい。さっきより気配が薄くなってる。いいね。さすがテオ様。僕の推し。
《ダークバインド》
いくらでも手を貸すよ。
少し退避してくれてる騎士たちには待ってもらうことになるけどね。
でもやっぱり防御魔法出跳ね返されてる。今度はすぐにテオ様は闇の中に隠れた。その防御魔法を壊さないと意味ないか。
ラミアは人間の言葉は発さない。魔法の時もよく分からない鳴き声。なら普通に声でやり取りしていいかな。
「テオ!!!僕が防御魔法を破る!その後は任せたよ!!!」
テオ様にも届いてるでしょ。ってことで。
後ろの魔法師たちにも指示を出す。
「僕とテオで倒すから、騎士たちの退避はお前たちに任せる。」
この魔法師の誰かと騎士の誰かが付き合ってたんだよなぁ。その子は恋人のために死ぬ気で退避のための防御魔法と支援魔法を使ってくれるだろう。
なんなら全員恋人作ってくれて良かったのにね。そしたら僕がテオ様を守るように死ぬ気で守ってくれたのに。
《プルアラル・プロテクション》
よしっ。やるか。テオ様のために。
《ダークランス・ダークスラッシュ・ダークアロウ》
1枚防御壁が壊れても直ぐに貼り直せる。
なにか魔法の無効化とかできないかなぁ。ラミア自体に得意な系統ないから魔力で弱点とかはなさそうなんだよね。
本来なら相手の苦手な魔法をぶつけたり貫通力のある魔法や剣士が防御魔法を破るのが定石。今回は力量の差がありすぎて魔法だけではできない。
そう。魔法だけなら。僕も前線に出ればテオ様のために隙をつくくらいはできるはず。騎士達を見捨てるならこれができる。
「テオ。チャンスは1回だと思って!その1回でテオが仕留めてね!!」
返事はないけど呼応するように僕の足元の影からテオ様の魔力を感じた。よし。
テオ様は剣技が使えるけどね。僕だって魔法と剣術でそれの猿真似はできるんだよ。剣技に最も近い猿真似。やってやろうじゃん。
本当は影とか空間魔法で切り裂いてやりたいけど…僕の空間にしまってるもの汚したくないからやんない。
その空間魔法から僕の最高傑作の剣を取り出して構える。最高傑作…言い換えたらテオ様にあげた剣の練習台だ。テオ様の剣に付与するには拙くて汚い紋様がいっぱい書かれてる。効果は発揮するけど汚いし拙いからテオ様にはまだあげられない。
完璧になったら捧げるからね。テオ様♡
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