推しの完璧超人お兄様になっちゃった

紫 もくれん

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12歳《中等部》

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「クラウス、話し良いか?」


ルディ…。まぁいいけど。
最近2人で話してなかったね。僕は部活にも行かないで必死に魔法薬集めたり作ってたりしてたし。
学校じゃ僕もルディも人気者だから人の目がありすぎて話せない。
人気者も大変だ。


「サロン借りる?」

「そこまでじゃねぇよお前の部室貸せ。」


部室は僕の所有物じゃないんだけど?
ルディがいいならいいけどさ。

「先生に声かけてくる。」

「待っとくわ。」

「先行っといていいよ?」

「1人だと声掛けられんだよ。」

「じゃあ一緒に職員室行こ。」

「…そうだな。行く。」

たしかにルディは人当たりがいいもんね。いわゆる陽キャだ。僕も人当たりはいいと思うけどそこまで気軽に声掛けてくれない。
なんかみんなおずおずって感じ。そんな怖い雰囲気出てるかな。怖いというよりも近寄り難いの方があってるのかも。






部室についたらチェスの置いてある机にルディが向かう。案の定途中で終わってる駒を並べ始めた。やるんだ。
まぁいいか。


「俺が白な。」

負けず嫌いのルディはチェスだけは先手を選ぶ。先手が有利だし、僕に勝ちたいって思いからなんだろう。けどプライドの高いルディがそっち選ぶのも珍しくてこの序盤の序盤のやり取りが結構僕は好き。


カチカチと静かな部室に響く音。なんの用で呼び出したんだろ。本気で僕とチェスするためとか言わないよね?まぁルディだし言わないだろうけど。


「チェックメイト」


最近してないから怪しかったけど。勝てちゃった。

「…はぁ。ほんとやってらんねぇわ。」

「何かあった?」

じっと僕見てきていずらい。なに?なんかした?

「お前魔獣狩り行くじゃねぇか。」

「そうだね。」

「テオだけ行かせる気ねぇの?」

「ないよ。」

なんてこと言うんだろう。推しが言って僕がいかないわけがない。なんのために面倒な領地経営や貴族の相手してると思ってるの?
全部、全部テオ様のためなんだから。

でも野心家だけど義理堅いルディがこんなこと言うなんて…どうしたんだろ。

「本当に何かあったの?」

「お前いなくなられると戦略立てるヤツがいねぇなって思っただけ。絶対に死ぬなよな。俺の後ろ盾と参謀役がいなくなって困る。」

「テオならいいって?」

「言っちゃ悪いが俺が王になるのにテオはいようがいまいが関係ねぇからな。好きだし、これから先いなくなったら寂しいとは思うけどそれは王になるためにはいらねぇもん。」

それはそうだけど…。
それがテオ様のいいところだもん。真面目で頑固で努力家で。なによりかっこかわいい。最高じゃん。
その気になれば存在してるだけで世界が平和になるよ。


「まぁ野心のためならね。僕はあまり権威に興味はないから表に立つのはルディに任せるよ。」

本当に興味ないんだよね。
テオ様がいなきゃ。母様が生きてたら。父様が少なからず領地経営の才能があれば。
このどれかがなかったら今頃、金持ちウハウハでグダグダ生きてたと思うもん。
ほどほどで生きてほどほどで領地経営してた。それなりのお金があれば生きていけるもん。それもこれも父様が領地をボロボロにしたせいだけど。


「それとコレ。」

手を伸ばしてきたルディから受けとった錬金術具。

「早かったね。もっとかかるかと思った。」

「魔力入れるだけだからな。」

これ僕の最終兵器。僕が死んだ時1回だけ刻魔法が発動するの。
多分生き返った瞬間に魔獣の攻撃でもう1回死ぬだろうからその間にテオ様を逃がすの。
テオ様を逃がすためだけの錬金術具。

きっとルディは全部わかった上で魔力を入れてくれたんだろう。
理由も言ってないのに魔力入れてくれるなんてありがたいな。これで皇族の魔力を調べるって僕が裏切ったらどうするつもりなんだろ。ほんとルディは優しいことで。



「ちゃんと帰ってこいよ。」

ポンっと肩を叩かれてルディは出てったけど…


























もし。今回のチェス。
負けてたら僕、見限られてたのかな…。





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