推しの完璧超人お兄様になっちゃった

紫 もくれん

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12歳《中等部》

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体を温め始めた剣士らしき人。
相手を勤めてるのはシーフ系の職業の人かな。

魔法士の子は黙々とケーキを食べてる。余裕だねぇ。まぁ魔法打つだけなら詠唱を間違えなければ成功するし間違ってはないけどね。

「テオ、あの人動きどう?」

「実践向きですね。俺も見習いたいです。」

テオ様は平民だ孤児だって嫌うけどこういう素直に認めるところもあるんだよね。ほんと努力家なんだよ。こういうところほんとに尊敬するし可愛いと思う。

「平民ですが。」

こういう余計なことも言うけどそこも愛嬌だよね。
いつか冒険者の僕と出会ったらテオ様は僕に対しても「平民がっ!」って言うのかな。言うんだろうなぁ。
ふふ。それはそれで面白い。


「貴族ってだけでふんぞり返っちゃダメだよ。貴族には貴族の義務がある。それを成してこそ貴族だからね。」

「兄上と殿下が虐めてる貴族を俺は貴族だとは思っていません。ちゃんと成すべきことは成します。兄上の弟ですから絶対に不名誉になることはしません。」

「良い子。今の貴族は自分の利益ばかり追い求める子が多くて困るよ。みた?あの伯爵領。疫病かなんなのか知らないけど前の当主になって領地がボロボロだよ。いい農耕地帯だったのに。」

「あぁ。早い代替わりをしましたね。」

僕とルディが手を貸したからね。あの農地は今いくら酷くても手放せない。それだけの魅力がある。
前の当主は父様と違う意味で酷かった。父様は本気で領民のために領地経営してボロボロにした。前伯爵は自分の豪遊のために領地をボロボロにした。
どっちもどっちだけど自覚してる父様の方がマシかな。


「あそこの息子、僕らが手を出したら直ぐに手をとったよ。話を聞けば現実的な経営内容だったし時間はかかるけど良い領主になることを願うよ。何かあったらテオも力を貸してあげてね。」

「はい。兄上ほどではなくとも若い領主ですが大丈夫でしょうか。」

大丈夫だよ。
やる気はあるし。僕の手の者を秘書として送り込んだから。向こうも知ってるしあの子がなれたら貸した子は返してもらうつもりだからね。僕に頭を下げるくらい酷い領地だったからなぁ。


「今よりは確実にマシになるよ。土とかは僕が手を貸すし早く復興できるといいね。」

「貴族の全てが兄上のように考えられるようになれば良いのですが…。」

僕もお金好きだよ。領民が働いたらその分僕たちのお金になるし、そのお金を少し還元したら益々領民は働いてくれる。だからそんなに僕はいい人ではないかな。


「僕みたいなのがたくさんいたら国は成り立たないだろうね。」

誰も王になりたがらないだろうし。
各僕1人ずつテオ様を配備しなきゃ働かないだろうし。
研究して作ったものを使いたくなって戦争起こすなんて子もいるかもしれない。
絶対いいことないよ。

僕はテオ様がいるから平和を願って国のために働いてるだけだもん。本当はお金だけを稼いでテオ様に貢ぎたい。

最後の紅茶を飲んで立ち上がる。

そろそろ1時間だ。


「君の魔法を見せてくれるかな。」

「はい。もし良ければ公爵様の魔法も見せて頂いてもよろしいでしょうか。」

般若の顔して立ち上がりそうなテオ様を押えて僕はほほ笑みかける。
このくらい度胸ある方が冒険者としては大成すると思うよ。それだけ自信があるんだろうし。

「構わないよ。君が僕のお眼鏡に叶えばね。」


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