推しの完璧超人お兄様になっちゃった

紫 もくれん

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12歳《中等部》

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「そのつもりでしたがテオが勝ってしまいましたから。申し訳ありません、義母様。」

この人、人殺したことあるんじゃないなかなってくらい殺意が篭った目で見てくる。
おっそろしい。


「それなら魔力は持つのか?刻を戻すなんぞ天才の第1皇子殿下だからポンポン撃てるような大魔法だぞ。」

父様も父様で義母様をガン無視。この二人相性いいんだろうなとは思う。

馬鹿にされたら困るね、父様。
錬金術はね、魔法の簡易版。魔法の下位互換。つまり、魔法の基礎の基礎なんだよ。魔法の解析なんて錬金術師の専門分野だ。


「そもそも刻魔法の刻戻しの原理を教えたのは僕ですからね。簡易的に撃つ方法も編み出しておりますし、魔力回復薬も潤沢です。」


すごいでしょ。錬金術だけは得意だって胸張って言えるからね。

ただテオ様やルディみたいにさ、みんなに認められるような才能じゃない。そういう分野は器用貧乏。だから決め手には欠ける才能なんだよね。
極めた人間には負ける程度の才能しかない。だからクラウスも錬金術を使いまくって完璧に見せかけてただけだしね。


「いつからその計画を立てていた。」

「数年前…いえ、母様が亡くなられた時からです。報告を掛け合わせていけばそこに魔獣がいるのは明白でしたが金銭的に調査も兵を集めることもできませんでした。なので準備を始めたのは数年前ですよ。」


ほんとしんどかった。
ここ数年ずっとテオ様9割、お金のこと1割くらい考えてたと思う。今はもちろんテオ様10割。幸せ。


「陛下から頂いた土地をそのままにしていたのか?帝都に危険があったらどうしたつもりだ。」

うるさいなぁ。そんなグチグチ言うならさっさと帰ってきて父様が処理すればよかったのに…。
いや。嘘。
父様がやったら領地がボロボロになる。僕が働くから表の顔として社交界に勤しんでくれたらそれでいい。
それすらできてないのが父様なんだけど。


「母様も気づいていましたよ。その資料だけは別に分けてありましたから。それに言っているでしょう。あの時から気づいていなかったのは父様だけです。危険性があると言ってもそれは僕と母様の頭の中だけでした。お金がなければ調査も根拠も対処法もなにも得られない。母様が亡くなられたおかげでお金を集める手段も限られた。父様が少しは帰ってきて社交界に顔を出してくれれば変わってきたかもしれませんがもう終わった話です。だから全てお金のせいです。陛下からただ頂いた土地といへどお金がなければ守れません。理解されましたか?」

まくし立てたけどわかったかな。分かってくれないと困るんだけど。

「…分かっている。」

「ならいいです。父様が口出す段階は過ぎました。黙っていてください。それとも刻魔法でも覚えて僕の代わりをしますか?」

「できるわけないだろう。」

「でしょうね。わかっているなら口出し不要です。」


本当に。今回の殿は僕しかできないの。
他に案がないなら愚痴愚痴口を出さないで欲しいよ。全く。


ついでに魔法の固定化の概念の説明もしておくか。
今回も少し使う予定だし。変にペラペラ漏らされても困るしね。


「だから必要なんですよ。魔法の固定化という方法は。これから先の発展のためにも必要不可欠。それを手に入れた家は巨万の富と栄光を手に入れられるでしょうね。もちろん擬似的とはいえ、今回も使う予定です。」

「兄上にしか作れない技術です。それでいて、シルヴェスターが取るべき地位と資産だと思います。だから兄上を俺が守ります。」

ふんすとなぜか自分のことのように胸を張ったテオ様。
え~。かわいい。
テオ様に守るとか僕にしかできないとか言われたらもっと頑張っちゃう。本当にテオ様は可愛いしかっこよくて、しかも口まで上手いなんて困っちゃうね。

「ありがとうね。僕はテオを守るから安心していいよ。」




とは言っても、どんな魔獣かすら分かんないんだよなぁ。
毒持ちかすらあやふやだ。ただ、変な病があの村だけで流行ってるから魔獣の魔力が漏れて病を引き起こしてるとは思うんだよ。
魔力に当てられる平民は多いからね。北の領民はいつもひっきりなしに魔獣の危険に晒されてるから耐性ある子が多い。だからあの村の食物は北に支援として回してあの村には他の村からのを支援に回してる。

面倒だからこれが終わったらもうしたくないなぁ。







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