推しの完璧超人お兄様になっちゃった

紫 もくれん

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12歳《中等部》

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テオ様にあげるプレゼントよし。
手紙もよし。
テオ様いつ帰ってきてもよし!

完璧だ。


「クラウス様、テオ様のお帰りです。」

テオ様帰ってくる時間も完璧。
さすがテオ様。気が利きすぎる。

「そう。お出迎えいかないとね。今どのくらい?」

「門に入ったところです。」

「じゃあゆっくり行こうかな。」


焦ったクラウスなんてイメージ壊しちゃうもんね。でも…負けた時点でイメージ壊れてるけど。
ゲームのクラウスは1回も負けなかったのに。

悔しいなぁ。
悔しいよ。

でもそれよりもテオ様の努力が実ったことの方が嬉しい。
最年少の剣技使いなんて誰もが認める功績だもん。これでテオ様の未来は安泰だ。とはいえ騎士とか剣を扱うところだけね。
文官や魔法師になりたいならそっち方面の手助けもしてあげないとな。







せめて身なりだけはテオを祝うに相応しいようにするためにベストも着込んでジャケットを着る。
本当に外側だけはゲームのクラウスと変わらない。

中身が問題なんだよね。覚悟も度胸も頭脳も足りてない。努力してるつもりなんだけどゲームのクラウスはもっと努力してたのかなぁ。ほんと憂鬱だよ。
これじゃあテオ様を守れないかもしれない。






少し早めに着いた玄関。僕が祝うのは知ってるから配膳担当の使用人以外は集まって待機してる。


ゆっくりと止まった馬車からいつも通りかっこいいテオ様がどんよりした空気を纏って降りてきた。

今日の優勝者とは思えない雰囲気だね。


「テオ、おかえり。」

「兄上…。ただいま帰りました。」

キュッと結び直した口元。
なんでそんな顔するの?なんか怒られる前の子供みたい。

「怪我と気分はどう?」


「問題ありません。」


「そう。少し遅いけど、テオの初優勝の食事を用意したから一緒に食べようね。プレゼントも用意してあるから。」


テオ様の好きな香辛料たっぷり使ったチキンでしょ。またネヴィルが食べられないと困るから辛さは個人で変えてるの。僕もテオ様が好むくらいの辛さは苦手だ。
それに甘めのスープ。これはネヴィルも好きなやつ。僕も好き。


「あの…兄上。怒ってませんか?」

「そりゃあ…まぁ悔しいよ。勝つ気だったし。でもそれだけ短期間でテオが成長したってことだからね。テオが頑張ってたことは知ってたし、成長したことは褒めるべきだからね。よくやったよ。テオ。」

「ありがとうございます!」

うん。元気になった。やっぱりテオ様は自信に満ち溢れてて傲慢さが見え隠れするくらいが一番好き。


「うん。さぁ、ご飯は入るかな?気分は悪くない?」

「大丈夫です!」



あーーかわいい♡


そういえばテオ様が喜ぶかなって食事も用意されてない部屋に父様と義母様を押し込めたけど怒ってないかな。結構待たせてるや。ネヴィルはなんだかんだと許してくれるだろう。








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