推しの完璧超人お兄様になっちゃった

紫 もくれん

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12歳《中等部》

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なりふり構ってられない。
テオ様に勝つためだけに魔力も体力も全部全部残してある。

会場が底冷えしそうな空気になろうか相手から親の仇のような視線に晒されようが、 ルディから呆れた目で見られようがこれだけは譲れない。
今日だけは、今回だけは絶対に勝たなきゃいけないの。

いつも通りに微笑んでるけど内心ヒヤヒヤ。テオ様めっちゃ強くなってる。剣術だけで勝ち残ってる。正直テオ様の剣術は僕を超えてる。実践訓練し始めて有り得ないくらい成長してる。

やばいなぁ。魔法でどうにかしたいけどテオ様も闇魔法使うから逆に僕の魔法を使われる可能性だってある。しんどいよね。得意の闇魔法は他人からしたら脅威になるけど、テオ様の前だけではあまり意味をなさない。

使えるのは光魔法と風魔法。
やるしかないよね。


名前を呼ばれて闘技場に出る。

テオ様も緊張してるのが伝わってくる。緊張なのかな。
気迫なのかもしれない。いつか僕を超えるんだろう。僕みたいに器用貧乏じゃない努力と剣術の天才だもんね。


僕の気配が伝わったのか視線を上げてじっと見てくる。敵を目の前にしての行動としては間違ってないんだよなぁ。
はぁ。気迫すご。


《はじめ!!!》


その合図と同時に剣に手をかけて迫ってくるテオ様。身体強化も使ってるね。足止め代わりに闇魔法の落とし穴を作る。中はもちろんヴェルナーに使った息が出来ないヤツ。
テオ様なら対策ねってるんだろうとは思うけど…足止めくらいにはなるでしょ。

僕も剣を抜いて構える。身体強化魔法と手と足に衝撃を緩めるために闇魔法を噛ませる。
テオ様だもんな。手がしびれて剣を落としたとかで勝負がつくかもしんないじゃん?

それと一緒に触れたらどんなに隠れても見つけられる中級魔法を準備する。もちろん破れられないように詠唱付きだ。


《この世に生きとし生けるもの我が手の内なり ライトサーチ》


傲慢さが溢れかえってるよね。僕あんまりこの詠唱好きじゃない。


ガンっと魔法を避けてかテオ様の魔法で解除したのか衝撃とともにテオ様が目の前に現れた。さっすが。手が痛い。
それでもテオ様に触らないと意味がない。
ふっと力を抜いてテオ様を右に流す。そなはずみに左手でテオ様にサッと触れる。テオ様も僕の技は慣れたもんだからすぐに立ち直して大振りに剣を振ってくる。僕も後ろに避けて魔法の準備。

テオ様相手に無詠唱とか失礼極まる。

《ダークランス》

1戦目と同じように闇の槍を降らして近寄るのを阻止する。違うのは空から打ってること。下に降りたところを狙われることくらいかな。


まぁ降りる気はないから風魔法で空に浮く。さすがのテオ様も空には…はは。さっすが。

身体強化だけでテオ様ってば飛び上がってきた。
広範囲の魔法は諦めて近距離と身体強化だけを極めることにしたのか…。さすがの僕も知らなかったな。テオ様オタクの名折れだね。









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