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12歳《中等部》
52 ルディside
しおりを挟む「ルーディ。少し話をしようか。」
うっわ。出た。
久しぶりに学校に来たかと思ったらなんでそんな笑顔なんだよ。きっしょ。
テオのことかな…。
心当たりがありすぎる。
ここで逃げてもクラウスだ。無理やり影にでも落とすんだろう。こうなったら大人しく着いて行くほうがいいと判断してクラウスの後に着いてった。
サロンでもなんでもないただの空き教室に連れ込まれていつものように防音魔法をかけた。
「テオとなんの取引したの?」
別に取引したわけじゃない。クラウスと同じ利害の一致だ。
テオの提案は使えると思った。それとテオと俺との仲だ。クラウスに喧嘩を売るのは痛いがまぁ許容範囲内だと判断しただけ。
でもクラウスはそれなりの理由があれば許してくれるだろうしな。あとテオのためとなれば許す他ねぇし。
「おれの魔法騎士団を作ろうと思ってる。そのために父様に掛け合って許可も貰った。テオが今回の大会に賭けてるみてぇに俺もテオに賭けたんだ。けどクラウスに手加減されて成るような騎士団じゃ意味がねぇ。だからお前はお前で本気でやれよ。」
「なるほどねぇ。まぁいいや。テオも成長したでしょ?」
顎に手を当てて少し天井を見たあとふわっとクラウスが微笑んだ。お前そんな顔できるんだな。
「まだまだだがな。あいつは正直すぎてこういう手回しは向いてねぇよ。」
逆にクラウスは向きすぎてる。
相手が断れない下地を作って脅しまがいに提案してくる。唯一、幸せになれるのは僕の元でだけだよとでも言わんばかりに。そうやって証拠を手に入れて俺に渡して俺の手柄で不正を働いた貴族を断罪する。
昔そういう遊びにハマったんだよな。本当に昔。
シルヴェスターに金がなくて困ってた時。思えばあのころにテオが来てだんだんとクラウスは人に優しくなった。ストレスがなくなったとも言うかもしれねぇ。
今もそういう遊びしてっけど結構不正する貴族が減ったからできねぇ。
「真面目な子だよ。これからどんどん身につけるさ。ルディ、ありがとね。」
「どーいたしまして。」
テオも難儀なもんだよな。変な兄にテオが嫌ってる平民どころか孤児の弟。ストレスやばそ。
クラウスが意外に元平民の方の弟を大事にしてんのが意外だけど。
そういや弟は帝国の言葉喋れねぇらしい。クラウスとしては島国の帝国の出身活かしてスパイでもさせられたら五之治だなんて言ってたな。
あの水色頭…ほんとシルヴェスターに似てなかった。顔立ちも魔力も雰囲気すら。
上手く使えばどっかの貴族に嫁がせられそうな気の弱そうな顔。平民出身を嫁がせたってなったら貴族としての資質を疑われるけど向こうから望んで嫁いだなら話は別だ。
特にシルヴェスターは気が強い顔立ちだわ実際気が強いわ優秀だわで嫁としてはあまり好まれてない。普通に嫌だろ。
自分の家系を乗っ取られそうな嫁。自分が追い出されてシルヴェスターの一部になりかねない嫁なんて。家で気が休まらないなんて俺なら絶対やだ。
多分あの水色頭の弟も気は強いんだろうな。
初めてのパーティでオドオドするでもなく真っ直ぐ挨拶に来る貴族を見返してた。
気が強くなきゃただの孤児があんだけできねぇだろ。
上手く俺の家臣にできねぇもんかな。
「なぁ。お前の新しい弟、今度皇宮のお茶会に連れてこいよ。話してみてぇ。」
「…いいけど。虐めないでよ。」
てめぇは俺をなんだと思ってるんだよ。
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