上 下
155 / 212
12歳《中等部》

52 ルディside

しおりを挟む

「ルーディ。少し話をしようか。」

うっわ。出た。
久しぶりに学校に来たかと思ったらなんでそんな笑顔なんだよ。きっしょ。

テオのことかな…。
心当たりがありすぎる。



ここで逃げてもクラウスだ。無理やり影にでも落とすんだろう。こうなったら大人しく着いて行くほうがいいと判断してクラウスの後に着いてった。


サロンでもなんでもないただの空き教室に連れ込まれていつものように防音魔法をかけた。

「テオとなんの取引したの?」

別に取引したわけじゃない。クラウスと同じ利害の一致だ。
テオの提案は使えると思った。それとテオと俺との仲だ。クラウスに喧嘩を売るのは痛いがまぁ許容範囲内だと判断しただけ。

でもクラウスはそれなりの理由があれば許してくれるだろうしな。あとテオのためとなれば許す他ねぇし。



おれの・・・魔法騎士団を作ろうと思ってる。そのために父様に掛け合って許可も貰った。テオが今回の大会に賭けてるみてぇに俺もテオに賭けたんだ。けどクラウスに手加減されて成るような騎士団じゃ意味がねぇ。だからお前はお前で本気でやれよ。」


「なるほどねぇ。まぁいいや。テオも成長したでしょ?」


顎に手を当てて少し天井を見たあとふわっとクラウスが微笑んだ。お前そんな顔できるんだな。


「まだまだだがな。あいつは正直すぎてこういう手回しは向いてねぇよ。」

逆にクラウスは向きすぎてる。
相手が断れない下地を作って脅しまがいに提案してくる。唯一、幸せになれるのは僕の元でだけだよとでも言わんばかりに。そうやって証拠を手に入れて俺に渡して俺の手柄で不正を働いた貴族を断罪する。
昔そういう遊びにハマったんだよな。本当に昔。
シルヴェスターに金がなくて困ってた時。思えばあのころにテオが来てだんだんとクラウスは人に優しくなった。ストレスがなくなったとも言うかもしれねぇ。

今もそういう遊びしてっけど結構不正する貴族が減ったからできねぇ。


「真面目な子だよ。これからどんどん身につけるさ。ルディ、ありがとね。」

「どーいたしまして。」


テオも難儀なもんだよな。変な兄にテオが嫌ってる平民どころか孤児の弟。ストレスやばそ。

クラウスが意外に元平民の方の弟を大事にしてんのが意外だけど。
そういや弟は帝国の言葉喋れねぇらしい。クラウスとしては島国の帝国の出身活かしてスパイでもさせられたら五之治だなんて言ってたな。


あの水色頭…ほんとシルヴェスターに似てなかった。顔立ちも魔力も雰囲気すら。
上手く使えばどっかの貴族に嫁がせられそうな気の弱そうな顔。平民出身を嫁がせたってなったら貴族としての資質を疑われるけど向こうから望んで嫁いだなら話は別だ。
特にシルヴェスターは気が強い顔立ちだわ実際気が強いわ優秀だわで嫁としてはあまり好まれてない。普通に嫌だろ。

自分の家系を乗っ取られそうな嫁。自分が追い出されてシルヴェスターの一部になりかねない嫁なんて。家で気が休まらないなんて俺なら絶対やだ。

多分あの水色頭の弟も気は強いんだろうな。
初めてのパーティでオドオドするでもなく真っ直ぐ挨拶に来る貴族を見返してた。
気が強くなきゃただの孤児があんだけできねぇだろ。

上手く俺の家臣にできねぇもんかな。



「なぁ。お前の新しい弟、今度皇宮のお茶会に連れてこいよ。話してみてぇ。」

「…いいけど。虐めないでよ。」


てめぇは俺をなんだと思ってるんだよ。



しおりを挟む
感想 30

あなたにおすすめの小説

モブらしいので目立たないよう逃げ続けます

餅粉
BL
ある日目覚めると見慣れた天井に違和感を覚えた。そしてどうやら僕ばモブという存存在らしい。多分僕には前世の記憶らしきものがあると思う。 まぁ、モブはモブらしく目立たないようにしよう。 モブというものはあまりわからないがでも目立っていい存在ではないということだけはわかる。そう、目立たぬよう……目立たぬよう………。 「アルウィン、君が好きだ」 「え、お断りします」 「……王子命令だ、私と付き合えアルウィン」 目立たぬように過ごすつもりが何故か第二王子に執着されています。 ざまぁ要素あるかも………しれませんね

BL世界に転生したけど主人公の弟で悪役だったのでほっといてください

わさび
BL
前世、妹から聞いていたBL世界に転生してしまった主人公。 まだ転生したのはいいとして、何故よりにもよって悪役である弟に転生してしまったのか…!? 悪役の弟が抱えていたであろう嫉妬に抗いつつ転生生活を過ごす物語。

もう人気者とは付き合っていられません

花果唯
BL
僕の恋人は頭も良くて、顔も良くておまけに優しい。 モテるのは当然だ。でも――。 『たまには二人だけで過ごしたい』 そう願うのは、贅沢なのだろうか。 いや、そんな人を好きになった僕の方が間違っていたのだ。 「好きなのは君だ」なんて言葉に縋って耐えてきたけど、それが間違いだったってことに、ようやく気がついた。さようなら。 ちょうど生徒会の補佐をしないかと誘われたし、そっちの方に専念します。 生徒会長が格好いいから見ていて癒やされるし、一石二鳥です。 ※ライトBL学園モノ ※2024再公開・改稿中

引き籠りたい魔術師殿はそうもいかないかもしれない

いろり
BL
騎士×魔術師の予定 

悪役令息の死ぬ前に

やぬい
BL
「あんたら全員最高の馬鹿だ」  ある日、高貴な血筋に生まれた公爵令息であるラインハルト・ニーチェ・デ・サヴォイアが突如として婚約者によって破棄されるという衝撃的な出来事が起こった。  彼が愛し、心から信じていた相手の裏切りに、しかもその新たな相手が自分の義弟だということに彼の心は深く傷ついた。  さらに冤罪をかけられたラインハルトは公爵家の自室に幽閉され、数日後、シーツで作った縄で首を吊っているのを発見された。  青年たちは、ラインハルトの遺体を抱きしめる男からその話を聞いた。その青年たちこそ、マークの元婚約者と義弟とその友人である。 「真実も分からないクセに分かった風になっているガキがいたからラインは死んだんだ」  男によって過去に戻された青年たちは「真実」を見つけられるのか。

転生悪役令息、雌落ち回避で溺愛地獄!?義兄がラスボスです!

めがねあざらし
BL
人気BLゲーム『ノエル』の悪役令息リアムに転生した俺。 ゲームの中では「雌落ちエンド」しか用意されていない絶望的な未来が待っている。 兄の過剰な溺愛をかわしながらフラグを回避しようと奮闘する俺だが、いつしか兄の目に奇妙な影が──。 義兄の溺愛が執着へと変わり、ついには「ラスボス化」!? このままじゃゲームオーバー確定!?俺は義兄を救い、ハッピーエンドを迎えられるのか……。 ※タイトル変更(2024/11/27)

異世界に召喚されて失明したけど幸せです。

るて
BL
僕はシノ。 なんでか異世界に召喚されたみたいです! でも、声は聴こえるのに目の前が真っ暗なんだろう あ、失明したらしいっす うん。まー、別にいーや。 なんかチヤホヤしてもらえて嬉しい! あと、めっちゃ耳が良くなってたよ( ˘꒳˘) 目が見えなくても僕は戦えます(`✧ω✧´)

迷子の僕の異世界生活

クローナ
BL
高校を卒業と同時に長年暮らした養護施設を出て働き始めて半年。18歳の桜木冬夜は休日に買い物に出たはずなのに突然異世界へ迷い込んでしまった。 通りかかった子供に助けられついていった先は人手不足の宿屋で、衣食住を求め臨時で働く事になった。 その宿屋で出逢ったのは冒険者のクラウス。 冒険者を辞めて騎士に復帰すると言うクラウスに誘われ仕事を求め一緒に王都へ向かい今度は馴染み深い孤児院で働く事に。 神様からの啓示もなく、なぜ自分が迷い込んだのか理由もわからないまま周りの人に助けられながら異世界で幸せになるお話です。 2022,04,02 第二部を始めることに加え読みやすくなればと第一部に章を追加しました。

処理中です...