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12歳《中等部》

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「きゃあ!!!」

なに今の声。

僕もテオもルディの前に立つ。
なんなら騎士団長とその息子は剣を抜いて構えた。

声がしたところに意識を向けると相変わらず赤い義母様が滴るワイングラスを着飾った女に向けていたところだった。

うっわ。想像ついたかも。当たれば皇室主催のパーティ。しかも僕が忠誠を誓った第1皇子の誕生祭のパーティに泥を塗ったことになる。

最悪だ。
隣のテオ様からも重たいため息が聞こえた。ルディはニヤニヤと面白そうにしてるけど。お前のパーティだぞ。分かってるのかな。

「「ブラザ/義母様、なにがあっ たんですか/た?」」

音楽も会話も止んでしまったフロアで僕と父様が一緒に言った。
真似しないで欲しい。

よく見たら義母様の足元にネヴィルがいる。父様に任せたはずなんだけど。義母様より父様お前がなにしてるんだ。

僕はひとまず刻魔法で義母様がワインをぶっかけた女性のドレスの汚れを戻してあげる。ワインも義母様の手にあるグラスに戻っていった。それをもう1回かけようとするもんだけど、それは父様が防いでくれた。

本当に何があったんだか。義母様がこんなに怒るなんて珍しいよ。

「なにがあったんですか。」

「そいつが「この方が急に私にワインをかけたんです!!」」

義母様を遮って顔を覆って泣き始めた女。
マジでなんなの。ってか誰。
公爵夫人の言葉をさえぎっていい身分なの?この国に姫はいないから皇后陛下でもなきゃそんなことできないんだけど?

「この女の無礼は後ほど処罰するとして、ブラザなにがあった。」

父様ほんとそれ。

「別に。」

「義母様。理由が知りたいんです。」

しくしくと後ろから聞こえる泣き声。
騒ぎを聞きつけてかこの女性の父親らしき人が女性の肩を抱き寄せた。

「…私を貶したから身の程を教えてあげたのよ。」

「どんな風に貶したんです?」

「知らない。」

埒が明かないな。
義母様ならプライドから言わないだろうし。

「陛下、刻魔法で確認させていただいてもよろしいでしょうか。」

「構わんが…身内では信用ならんだろう。ルディ、やってあげなさい。」

「はい、父様。」


パラパラと光の粒が集まって小さい義母様と泣いている女性を作り上げてった。なんか可愛い。それは段々とフロア全体を作り上げて音までも再現し始めた。

ルディって本当に才能あるんだなって実感する。僕もここまでの精巧なもの作り上げられるか分からない。家で試してみようかな。

ほんとクラウスって器用貧乏なんだよね。
なんでもできるけど、なんにもできない。

光の粒が喋り始めた。まんま義母様と泣いてる女性と同じ声で。

向こうの女から嫌味嫌味のオンパレード。今、泣いてる女性の近くでクスクス笑ってる女性もいる。
基本義母様は無視してた。義母様にしては我慢したと思う。


『男爵家の女を娶って、庶子の子を連れてきてシルヴェスター公爵家も落ちたものですわね。』

その言葉の後、義母様がワインをぶっかけた。
うーん。まぁ言ったことは悪い。
でも手を出したらこっちが悪役だ。

「申し訳ありません!!」

その映像が途切れた瞬間、こっちに風が来るくらいの勢いで頭を下げた女性の父親。女性の方は顔色が無くなってる。

「顔を上げて。言ってることは事実だし。ただ、侮辱ではあるよね。」

「どう処分する?クラウス。」

正直どっちもどっち。トントンで終わらせたいところだよ。

「ワインをかけたのはこちらの不手際です。あちら側が揉めたくないというのであれば何もしませんよ。」

「あ、ありがとうございます!!」

キラキラと救世主でも見るような目で見るのはやめて欲しい。別に助けたわけじゃない。

「むしろシルヴェスター公爵家に落ち度があるのでは?クラウスも言っていたようにただの事実です。」






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