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12歳《中等部》

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面倒な挨拶回りとレディ達への媚へつらい。それも終わって周りの噂話に耳を傾ける。

レディ達はオシャレに美味しいものに。色々お金を湯水の如く費やしてくれるから僕たちのお得意様♡仲良くして損はない。

それに黙って壁の花をしてる訳じゃない。風魔法で色んな場所から情報収集してるよ。
地獄耳って名づけてる魔法。誰にも言えないね。

どこもかしこも魔獣の被害が増えてるらしいけど…そんな話ゲームであったっけ。

義母様のとこは相変わらず人がいない。父様が離れてる時にたまに声掛けてる男がいるけど玉砕してるし。
父様はちらほら人が近寄ってる。ネヴィルはつまんなそうに父様に張り付いてる。
テオ様は騎士団長と話したり、学園で仲良くしてるらしい子供や親とよく話してる。ほんと偉い。もう撫で回してあげたい。
騎士団長の次男に僕はなんか距離置かれてるからテオ様の存在はありがたい。多分跡継ぎは長男だろうけど才能や強さは次男の方が上だ。テオ様ありがとう。


「シルヴェスター公子様。お時間よろしいですか?」

ぽぽぽと頬を桃色にした同い年くらいの女の子。同級生にこんな子いたかな?
少し離れたところでチラチラ見てくる少女軍団で色々察した。
あー。そういうことか。
ダンス1つでも踊ればどっか行ってくれるかな。

「ちょうど休憩していたところですから。」

本当に誰だろう。本気であったことないと思うんだけどなぁ。

少しだけ世間話…世間話という程でもないけど。前の大会の優勝おめでとうって話とテオ様の話。この子テオ様と同じクラスなんだって。僕はテオ様の話を聞けてルンルン。テオ様、教室では寡黙な真面目くんらしい。いつもと変わんないね。

曲が終盤になった。
この子と1回踊ってテオ様と合流しようかな。

「良かったら1曲踊って下さいませんか?」

僕が手を差し出せば、ぽぽっと少し収まった頬をまた染めて手を取ってくれた。
テオ様の手と違って柔らかい。ふにふにしてる。剣なんて握ったことないんだろうなぁ。まぁお嬢様だもんね。扇が人生で1番重いものって言われても頷いちゃう。

こんだけネヴィルにも可愛げがあれば…いや。なくてもあっても一緒か。ただ扱いやすさが上がるくらい。

クルクルと回るダンス。何が楽しいんだろう。
会話かな。なんかどうでもいい話聞かされてる。でもこの子の親は官僚らしい。陛下が今なんか困ってるらしい。
「詳しくは教えて下さりませんが、皇后陛下がなにか困るお願いごとをしていると聞いています。」だって。

困ること?
たっかい宝石?なんだろ。調べてみようか。
もしかしたら陛下に恩を売れるかもしれない。

父様みたいになりたくはないけどこんなに簡単に話が手に入るなんて恋って感情はすっごく便利だね。
僕もテオ様にこんな可愛い反応されたらなんでも答える自信ある。多分ハニートラップってわかっててもテオ様にならペラペラ話しちゃうな。愛って偉大。

そう考えるとこの子にとって僕はテオ様並の価値があるのか…。ふぅん。実感無いけどそれって凄いことだ。父様は諜報の才能があるのかも。テオ様以外の種さえ残さなければ優秀だったのにね。


1曲分のダンスが終わったらダンスの輪からはなれて女の子に別れを告げる。これ以上いても有益な話ないもんね。テオ様と合流したいな。

「クラウス。」

「お久しぶりです。伯父上。」

今度は伯父上か。はぁツイてない。
そういえば伯父上と話してなかったな。他の人は挨拶回りと銘打ってワラワラ虫みたいに集ってきた。挨拶回りが終われば仲のいい人同士が集まるんだよ。僕そういう人少ないからいつもぼっち。

ルディもぼっちのはずなのに父親である皇帝について回るから話せないし。テオ以外のシルヴェスターはみんなぼっちだよ。


「本当に久しぶりですね。最近逢いに来て下さらなくて寂しかったところです。このような場でも話しかけてくれませんし。僕の従兄弟ヨハンはお元気ですか?」

思ってもないけど。
さすがにこの人が侯爵から退いたら今の嫌がらせはやめたげるよ。だってコイツ、僕の資金源の貿易ができる街を母様が亡くなったのをいいことに踏んだくろうとしてたんだよ。許せるわけない。
アルフレートから聞いたけど母様を殺したのもこの人らしいし。まぁそこは証拠ももう残ってないから不問にしてあげるけどさ。
街の横取りはダメでしょ。許せない。テオ様にひもじい思いをさせる気?許せない。絶対に許さない。

でも表向きじゃ無いし失敗してるからこれで私刑を下してるのがバレたらシルヴェスターが悪く言われる。
だから、僕との約束を反故にしたってことを理由に仲が悪いように振舞ってる。別に僕としてはそれは少し許せないくらいだけど理由がないと弱いものいじめだからね。

「クラウス。もういいだろう。」

この人…やつれたなぁ。3年前は活き活きというか…邪魔者が現れたら排除する。みたいな雰囲気持ってたのに。
もうその覇気がない。これが母方の身内か。情けないなぁ。まだ父様みたいに汚名を被っても我関せずみたいに生きて行けたら楽だろうに。

「なんのことですか?家は今まで通り裕福なはずですが。」

僕にかかわらなきゃ伯父上の家系は繁栄の一途だったろうにね。それだけこの人は優秀だもん。僕がめちゃくちゃ手を回しまくってそれを止めてるだけ。
新しく始めた事業を奪ったりしてるだけ。
今までの暮らしは維持できてるはずだよ。


「悪かった。」

「なにが、ですか?」

「……。」

伯父上はなんにも言わない。
探ってるのか心当たりがないのか。的はずれなこと言われたらイラつくだけだし何も言わない方がいいけど。
それに僕の気持ちを分かるとも思えない。《港を取り上げて、テオに不憫な思いをさせそうになりましたごめんなさい。》って言わないと許せないかな。

「またお話しましょう。伯父上。」

ほんとこんなことのためにテオ様との時間を取らないで欲しい。










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