138 / 212
12歳《中等部》
35
しおりを挟む男の準備は早いし簡単なんだよね。
僕は錬金術の為に髪を伸ばしてるから少し時間はかかるけど義母様に比べたらだいぶマシ。義母様は夜からのパーティなのに朝早くから湯浴みやらなんやらと慌ただしくしてる。
男はその間も寝たりご飯食べたりしてるのに、コルセットを締め付けるからと朝から何も食べられない眠れない女性たちには同情する。
ネヴィルは準備できてるかな。後で見に行ってあげないと。
メラニーに髪をといてもらって僕はアルに並べてもらった宝石の吟味。今日、貴族の前で僕はルディに忠誠を違う予定。母様の形見で泊でもつけてもらいたいけど…。
母様が持ってるの緑が多いんだよなぁ。確かに最高級のエメラルド。僕らの中で風の魔力が髪や目に現れてる子いないし。使えないな。
「金色…シリトンかなぁ。」
「カフスとブローチを準備致します。」
「ありがと。」
メラニーは僕の乳母だけあってなんでも分かってくれる。アルと同じくらい手放せないな。
メラニーがブローチをつけてくれてる間にカフスをつけて全身鏡の前で最後の確認。
うん。大丈夫。問題なしかな。
さて…と。先にネヴィルを見に行こうか。
テオ様と一緒に行ってテオ様を不機嫌にさせる訳にもいかないし。
「ネヴィルの様子を見に行くよ。アルはテオの方先に行っといて。メラニーは僕とね。」
信用できる2人をバラけさせて僕は足早にネヴィルの部屋へと向かう。ここで時間を食ったらテオ様の準備に立ち会えないかもしれない。そんなのヤダ。
▽
▽
「ネヴィル、入るよ。」
ネヴィルの返事より先にラージャが開けてくれた。ちゃんと待ったのかな。確かに身振りとか小さい声なら届かないけどさ。
水色の髪をオールバックにしたネヴィル。顔やら立ち姿は付け焼き刃とはいえ悪くはない。
ただ…色合いと顔立ちが壊滅的に似合わないな。
ちゃんと試着を確認しておけば良かった。
「髪下ろす?」
「その方がよろしいかと。」
「メラニー任せるよ。装飾品どれにするつもり?」
黒の宝石が着いたブローチを見せてくれたけど…合わないだろうな。
ネヴィルは行動は尖ってるけど顔立ちは柔らかいタイプだしなにより髪色が優しすぎる。僕やテオ様が好む柄やジャケット。あと薄い青に黒が似合わない。
「青い宝石ない?」
「こちらに。」
ふぅん。柔らかい印象を与えたいから…アクアマリンかな。
本気で服を失敗したな。
メラニーはネヴィルの髪型をセンター分けにしてくれた。オールバックよりだいぶマシ。それならやっぱり柔らかい色の方が似合うよね。
ブローチをつけてあげてネヴィルから3人で離れて確認。
うん。まだマシ。
テオ様と並んだらちんちくりんだろうけど。まぁ大丈夫でしょ。
「及第点かな。」
「ギリギリですね。」
ラージャだけ何も言わずに立ってた。ラージャは美的感覚ないのかも。
「ネヴィル、テオのところに行こう。」
ネヴィルに手を差し出しても無視。
ほんと尖ってんな。義母様でも僕に1ミリくらいは気を使ってるのに。将来は大物だね。
「この服、パジャマと一緒?」
振り返ったらTシャツを引っ張って聞いてた。引っ張ったらまた仕舞わないといけないのに…。まぁやるのはラージャだしどうでもいいけどさ。
「ん?あぁそうだよ。触り心地いいでしょ。今対魔法酔うの作っててね。将来的には冒険者にも売るつもりだよ。」
「ふぅん。」
「肌が荒れなくていいのは嬉しいよね。」
手振りでラージャとメラニーに整えろと合図を出して僕は先に部屋を出た。
テオ様待っててねー。
245
お気に入りに追加
1,755
あなたにおすすめの小説
モブらしいので目立たないよう逃げ続けます
餅粉
BL
ある日目覚めると見慣れた天井に違和感を覚えた。そしてどうやら僕ばモブという存存在らしい。多分僕には前世の記憶らしきものがあると思う。
まぁ、モブはモブらしく目立たないようにしよう。
モブというものはあまりわからないがでも目立っていい存在ではないということだけはわかる。そう、目立たぬよう……目立たぬよう………。
「アルウィン、君が好きだ」
「え、お断りします」
「……王子命令だ、私と付き合えアルウィン」
目立たぬように過ごすつもりが何故か第二王子に執着されています。
ざまぁ要素あるかも………しれませんね
BL世界に転生したけど主人公の弟で悪役だったのでほっといてください
わさび
BL
前世、妹から聞いていたBL世界に転生してしまった主人公。
まだ転生したのはいいとして、何故よりにもよって悪役である弟に転生してしまったのか…!?
悪役の弟が抱えていたであろう嫉妬に抗いつつ転生生活を過ごす物語。
もう人気者とは付き合っていられません
花果唯
BL
僕の恋人は頭も良くて、顔も良くておまけに優しい。
モテるのは当然だ。でも――。
『たまには二人だけで過ごしたい』
そう願うのは、贅沢なのだろうか。
いや、そんな人を好きになった僕の方が間違っていたのだ。
「好きなのは君だ」なんて言葉に縋って耐えてきたけど、それが間違いだったってことに、ようやく気がついた。さようなら。
ちょうど生徒会の補佐をしないかと誘われたし、そっちの方に専念します。
生徒会長が格好いいから見ていて癒やされるし、一石二鳥です。
※ライトBL学園モノ ※2024再公開・改稿中
悪役令息の死ぬ前に
やぬい
BL
「あんたら全員最高の馬鹿だ」
ある日、高貴な血筋に生まれた公爵令息であるラインハルト・ニーチェ・デ・サヴォイアが突如として婚約者によって破棄されるという衝撃的な出来事が起こった。
彼が愛し、心から信じていた相手の裏切りに、しかもその新たな相手が自分の義弟だということに彼の心は深く傷ついた。
さらに冤罪をかけられたラインハルトは公爵家の自室に幽閉され、数日後、シーツで作った縄で首を吊っているのを発見された。
青年たちは、ラインハルトの遺体を抱きしめる男からその話を聞いた。その青年たちこそ、マークの元婚約者と義弟とその友人である。
「真実も分からないクセに分かった風になっているガキがいたからラインは死んだんだ」
男によって過去に戻された青年たちは「真実」を見つけられるのか。
転生悪役令息、雌落ち回避で溺愛地獄!?義兄がラスボスです!
めがねあざらし
BL
人気BLゲーム『ノエル』の悪役令息リアムに転生した俺。
ゲームの中では「雌落ちエンド」しか用意されていない絶望的な未来が待っている。
兄の過剰な溺愛をかわしながらフラグを回避しようと奮闘する俺だが、いつしか兄の目に奇妙な影が──。
義兄の溺愛が執着へと変わり、ついには「ラスボス化」!?
このままじゃゲームオーバー確定!?俺は義兄を救い、ハッピーエンドを迎えられるのか……。
※タイトル変更(2024/11/27)
異世界に召喚されて失明したけど幸せです。
るて
BL
僕はシノ。
なんでか異世界に召喚されたみたいです!
でも、声は聴こえるのに目の前が真っ暗なんだろう
あ、失明したらしいっす
うん。まー、別にいーや。
なんかチヤホヤしてもらえて嬉しい!
あと、めっちゃ耳が良くなってたよ( ˘꒳˘)
目が見えなくても僕は戦えます(`✧ω✧´)
迷子の僕の異世界生活
クローナ
BL
高校を卒業と同時に長年暮らした養護施設を出て働き始めて半年。18歳の桜木冬夜は休日に買い物に出たはずなのに突然異世界へ迷い込んでしまった。
通りかかった子供に助けられついていった先は人手不足の宿屋で、衣食住を求め臨時で働く事になった。
その宿屋で出逢ったのは冒険者のクラウス。
冒険者を辞めて騎士に復帰すると言うクラウスに誘われ仕事を求め一緒に王都へ向かい今度は馴染み深い孤児院で働く事に。
神様からの啓示もなく、なぜ自分が迷い込んだのか理由もわからないまま周りの人に助けられながら異世界で幸せになるお話です。
2022,04,02 第二部を始めることに加え読みやすくなればと第一部に章を追加しました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる