推しの完璧超人お兄様になっちゃった

紫 もくれん

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12歳《中等部》

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男の準備は早いし簡単なんだよね。
僕は錬金術の為に髪を伸ばしてるから少し時間はかかるけど義母様に比べたらだいぶマシ。義母様は夜からのパーティなのに朝早くから湯浴みやらなんやらと慌ただしくしてる。

男はその間も寝たりご飯食べたりしてるのに、コルセットを締め付けるからと朝から何も食べられない眠れない女性たちには同情する。

ネヴィルは準備できてるかな。後で見に行ってあげないと。

メラニーに髪をといてもらって僕はアルに並べてもらった宝石の吟味。今日、貴族の前で僕はルディに忠誠を違う予定。母様の形見で泊でもつけてもらいたいけど…。

母様が持ってるの緑が多いんだよなぁ。確かに最高級のエメラルド。僕らの中で風の魔力が髪や目に現れてる子いないし。使えないな。

「金色…シリトンかなぁ。」

「カフスとブローチを準備致します。」

「ありがと。」

メラニーは僕の乳母だけあってなんでも分かってくれる。アルと同じくらい手放せないな。

メラニーがブローチをつけてくれてる間にカフスをつけて全身鏡の前で最後の確認。
うん。大丈夫。問題なしかな。

さて…と。先にネヴィルを見に行こうか。
テオ様と一緒に行ってテオ様を不機嫌にさせる訳にもいかないし。

「ネヴィルの様子を見に行くよ。アルはテオの方先に行っといて。メラニーは僕とね。」

信用できる2人をバラけさせて僕は足早にネヴィルの部屋へと向かう。ここで時間を食ったらテオ様の準備に立ち会えないかもしれない。そんなのヤダ。




「ネヴィル、入るよ。」

ネヴィルの返事より先にラージャが開けてくれた。ちゃんと待ったのかな。確かに身振りとか小さい声なら届かないけどさ。

水色の髪をオールバックにしたネヴィル。顔やら立ち姿は付け焼き刃とはいえ悪くはない。

ただ…色合いと顔立ちが壊滅的に似合わないな。
ちゃんと試着を確認しておけば良かった。

「髪下ろす?」

「その方がよろしいかと。」

「メラニー任せるよ。装飾品どれにするつもり?」

黒の宝石が着いたブローチを見せてくれたけど…合わないだろうな。

ネヴィルは行動は尖ってるけど顔立ちは柔らかいタイプだしなにより髪色が優しすぎる。僕やテオ様が好む柄やジャケット。あと薄い青に黒が似合わない。

「青い宝石ない?」

「こちらに。」

ふぅん。柔らかい印象を与えたいから…アクアマリンかな。
本気で服を失敗したな。

メラニーはネヴィルの髪型をセンター分けにしてくれた。オールバックよりだいぶマシ。それならやっぱり柔らかい色の方が似合うよね。

ブローチをつけてあげてネヴィルから3人で離れて確認。

うん。まだマシ。
テオ様と並んだらちんちくりんだろうけど。まぁ大丈夫でしょ。

「及第点かな。」

「ギリギリですね。」

ラージャだけ何も言わずに立ってた。ラージャは美的感覚ないのかも。

「ネヴィル、テオのところに行こう。」

ネヴィルに手を差し出しても無視。

ほんと尖ってんな。義母様でも僕に1ミリくらいは気を使ってるのに。将来は大物だね。

「この服、パジャマと一緒?」

振り返ったらTシャツを引っ張って聞いてた。引っ張ったらまた仕舞わないといけないのに…。まぁやるのはラージャだしどうでもいいけどさ。

「ん?あぁそうだよ。触り心地いいでしょ。今対魔法酔うの作っててね。将来的には冒険者にも売るつもりだよ。」

「ふぅん。」

「肌が荒れなくていいのは嬉しいよね。」

手振りでラージャとメラニーに整えろと合図を出して僕は先に部屋を出た。
テオ様待っててねー。







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