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12歳《中等部》

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なんかよく分かんないけどルディが最近よそよそしい。僕を見てニヤニヤしてくるの。ウザイんだけど。

そんな感じの1週間。
テオ様も義母様と色々話はしてくれてるみたいで義母様は大人しくしてくれてるし。
父様を迎える準備も整ってる。上手くいけばいいけれど。

先触れでは明日の昼頃には着くらしい。
あまり僕としてもいつ父様が帰ってくるのかは興味が無いから学校に来た。ゲームの始まりの弟には興味あるけどアルもいるし大事にはならないでしょ。

テオ様の時はなにがなんでも会いたかったから数日前からずっと屋敷に閉じこもって門を見てた。少しぐらいズレても僕か1番に会えるように。しかも初めて会ったテオ様は想像を超える可愛らしさだったよ。引きこもってよかったよね。大正解。

そういえば屋敷も随分と変わった。
父様、分かるかなぁ。3年そこそこ帰ってきてないから道忘れてそう。屋敷を見て驚かないかな。

元々はどんな時期でも色とりどりの花が咲き誇っていて、母様好みの華美ではないけど可愛らしい花があった庭園。
それを義母様のために華美な薔薇などを増やした庭園になった。本当にお前はハートの女王かってくらいに赤い薔薇にこだわるの。
端の方とか温室とかはまだ母様好みのままだったり、僕の趣味の魔花とか植えてるから危ないところもある。これどうやって説明しよう。

「そこら辺。魔法生物植えてるので食われないように気をつけてくださいね。」でいいのかな。殺されないよね。

あと、あまり使われてなかった鍛錬場もテオ様のために整備した。僕特製の結界魔法に真剣、木刀。それに僕が作った鍛錬用の錬金呪具。

使われてない小屋は改造してお風呂場にしたし。

地下には僕の錬金術部屋ができた。
勿論、地下牢は残してある。僕の実験用に少し改造はしてるけど。

金がないから人が雇えない。だから作った警備の錬金術具はそこらじゅうにあるから危険がいっぱい。

あの二人が着いたらまず、錬金術具に反応しないように術具に魔力を覚えさせないと。


表向きはあまり変わらないけど中に入って変なとこに迷い込めば入れば直ぐに死ぬ。

危険だよね。人を招いてお茶買いとかパーティの時は問題ないように術具を設定してるけど。生活する分には問題大ありだ。

やばいな。もし今帰ってきたとしたら?
あの二人死ぬのか…。ゲーム始まっちゃうじゃん。


……帰ろ。


「先生。気分が悪いので帰ります。」

「えっ。大丈夫ですか?保健室へ行きますか?」

「いえ。自力で帰れます。それでは。」

テオ様には誰かかが伝えてくれるよね。






教室からすぐに転移の空間魔法で屋敷に戻る。まだ到着してないみたいだね。良かった。

「クラウス様!?」

1番に会ったのはメラニー。メラニーもチェックシートを片手に確認に回ってるらしい。大変だ。

「いつお戻りに?」

「さっき魔法でね。」

仕事に戻っていいよと手をヒラヒラさせれば一礼して足早に去ってく。どこの使用人も忙しそう。邪魔してるの僕だよね。執務室に戻って仕事片付けようか。

部屋に戻っても忙しない気配は感じる。公爵様のおかえりだもん。分かるけどそこまで気を使う必要ある?って思っちゃう。どうせすぐに前公爵になる人だ。勿論形式上敬うけど意見は聞くつもりない。

いつもならアルが隣で紅茶入れてくれるのになぁ。なんて考えながら書類に目を通す。
今は僕付きの秘書であるディーターを南に帰らせてるところだから入れてくれる代わりもいない。南の海で魔獣被害があったんだって。家族も心配だろうしと思って帰らせた。被害はあまりないから明日出発すると手紙は来てるからもう少しの辛抱。


コンコンという軽い音。それと風の魔力の気配。
アルフレートかな。メラニーはもう少し弱い風の魔力を持っている子だもん。

「どうぞ。」

さっと入ってきたアルはお茶会用のカートを押していた。
もちろん僕の好きな紅茶も準備して。

「クラウス様。」

「うん。休憩だね。」

最近は仕事があまりないから楽でいい。これも有能な秘書のおかげだ。
本気でどこかのタイミングで北に視察に行きたい。

「あとはなにの確認が残ってる?」

「クラウス様が持ち寄った警備の錬金術具、魔法生物と銘打った魔花、風呂場の3つの確認が残っております。」

「チェックシート渡して。やっとくよ。」

「恐れ入ります。」

わかってたくせに。そもそもそこの確認は他人がしたら死ぬ可能性だとか風呂場なら魔法陣を壊す可能性があるから任せらんないもん。

それにこの確認用のシートだってアルやメラニーの方が上だもんね。魔法に関して足りないところは僕が作ろう。


パラパラと作られたシートを確認するけど流石って言える出来栄え。僕がやろうと思ってたこと足りないとこも含めて完璧だ。

「今から確認するよ。」

「お仕事は?」

「ディータがほとんどやって判を押すだけだから大丈夫。公爵夫人としての仕事がないだけでここまで変わるとは思わなかったよ。」

「領地のことは領主代理の方々が担って頂いてますからね。皆様優秀な様でなによりです。」

そうだよね。
領主代理の仕事までさせられたら過労死したと思う。判と確認だけだけどその理由もどのくらいの収穫量になってどこに支援に出すのか売りに出すのかそういうのも考えないといけないからなかなか大変。

「視察にも行きたいんだけどなかなかね。」

「怪しい動きでも?」

「義母様と父様の療養地を探しにとか。どう?」

「程々になさってくださいね。」

冗談だけど。
本気にしないでよ。


「冗談だよ。純粋に北の領地をみにいきたいだけ。錬金術も興味あるしね。」

「錬金術も北の大地も一気に発展しましたね。さすがクラウス様、目の付け所が違います。」

なに?いつもそんなこと言わないのに。きしょくわる。

「気持ち悪い。なに?」

「落ち着きがないようでしたので。公爵様のお連れされる方、薄い青い目と髪の少年との事です。口数が少なく、目つきが悪い方だと。」


ふぅん。魔力は水か。
薄い青ってことは魔力も質も悪いのかな。もしいいもの持ってたら魔法塔にでも行ってもらおうと思ったけど。


「好きな物は?」

「そこまでの報告は来ていません。」

「闇魔法の適性はないか。」

「どうされますか?」

どうもこうもないよ。来たなら仲良くするよ。

「…家族として弟として迎え入れるよ。テオと変わらないように接してあげて。護衛としてラージャをつける。」

「獣人ですか?貴人に対して無礼ではないですか。」

確かにそうだけどね。
だけど下手な人物に任せて金で殺されたら大事だもん。
ラージャは復讐のために僕についてるわけだから誰にも引き抜けない。だって獣人の国を害してる南の国はほとんど僕の言いなりだもん。

「信用できるからね。少し話は必要だからご飯の後呼んで。」

「かしこまりました。」

うまくいけばいいけど。
絶対に弟と仲良くなってみせる。




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