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12歳《中等部》
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しおりを挟む「どういうつもりよ!クラウス!!」
厄介なんだよなぁ。本当に。
いつも身綺麗にしてるアルたちは煤けてるし。後で部屋を見に行くのが嫌になるレベルだ。
「なにがそんなに気に食わないんですか?」
「公爵様が1人誰かを連れてくるなんて許さない!アンタ、知ってたんでしょ!!」
「昨日の夜に知りました。いいではありませんか1人くらい。」
「新しい女ならどうするの!?」
「なにがあろうと義母様の立場は揺らぎませんよ。そのために4年間僕が尽力したんです。」
「分からないじゃない!!」
それじゃあどうしたらいいんだよ。
何が望みなの?もう1人の弟を連れて帰ってくることは決まってる。それを覆す手はない。暗殺者を雇ってもいいけど僕は弟を殺すつもりはない。まずゲームを始めたくないのに弟を殺しちゃ意味ないし。
「では新しい家族は離れで暮らさせます。」
「意味ないわよ。あの人が離れに行ったらどうするのよ!」
「繋ぎ止めるのは義母様の仕事では…いえ、では。父様を種無しにしましょう。そうすれば新しい子供はできません。」
「腹にいたらどうするのよ!」
面倒だなぁ。あと一人くらいなら養えるよ。貿易関係も上手くいってるし。向こうが義母様に母としての役目を期待してたなら終わりだけど。
「1人くらい諦めましょうよ。僕らを超える子供はなかなか生まれませんよ。」
「分からないでしょ。なんでそんなのほほんとしてられるのよ!」
「父様でも僕には逆らえないからですよ。帰ってきたらすぐに代替わりします。義母様は黙っていれば立場も守れますよ。」
「だから!!そんなことじゃないのよ!!!!」
じゃあどういうことなんだよ。
どうすればいいの?どうしたいの?立場なんていくらでも守れるよ。相当なやり手が来られても僕にとって邪魔だから重宝しないし。義母様は社交界で使い物にならないから北で有名にする作戦にした。だから今更手放さない。
義母様の立場は変わんないよ。
「義母様は布の販売をテオはチョコレートの販売で売上をあげてます。最悪捨てられても生きていけます。」
「あんたは?」
「僕がいなければ公爵家は成り立ちませんので心配には及びません。」
「本当にいけ好かない。心配した私が馬鹿だったわ。」
心配してくれたの?
この人、意外と優しいんだよね。火魔法の使い手らしく過激だけど。
くるりと真っ赤なドレスを翻して部屋にどもり始めた。急に大人しくなったな。なーんか怪しい。
「義母様、部屋に戻るんですか?」
「関係ないでしょ。」
ふぅん。まぁいいか。
後で使用人に命じればいいだけだもん。
「部屋を修復します。」
空間魔法にしまってた魔法薬を2本掴み出して飲み干す。空になった瓶はなんかやつれてるアルに渡す。
その間に珍しくオロオロとしてるテオ様が義母様の後に続いた。まぁ僕が一声追い出すと言えば義母様の立場は無くなるもんね。
軽く防音魔法をかけてちょいちょいとアルフレートを呼び付ける。
「アル。」
「はい。」
「父様が帰ってくるまで義母様に見張りをつけて全て僕に報告すること。見張りした子は翌日と翌々日は暇を渡していいよ。」
「かしこまりました。」
なーんか引っかかる。
何も無かったら何も無いでいいけど…。義母様があんなにすんなり引下がるなんて裏があると思うのは普通でしょ。
出ていくなら義母様に預けた技術はシルヴェスターに戻してもいいかな。絹をだす魔獣は僕の手元にもいる訳だし。経営の手腕なら僕らの方が上だ。
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