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8歳
96 番外編《義母編》
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義母にそろそろ店をどうするか聞きたい。どっちに気持ちが傾いてるかだけでも聞きたいんだよね。
やらないならやらないで僕が手懸けたいことも沢山ある。
魔獣なんだ。魔力を防ぐ糸を吐き出さないかなぁとかもっと多く糸吐かないかなぁとか。改良の余地は沢山あるからね。
扉を叩けば義母様に付けているメイドが開けてくれた。僕を見た時2度見されたけどそんなに珍しいかな。照れちゃうな。
「奥様、クラウス様です。」
「入れていいわよ。」
「えっ!?でも…。」
入っていいの?なんかしてたんじゃないの?待つけど。メイドにそう伝えたら怒りを抑えたようなひっくい声で「入っていいって言ってるの!」と言われた。こわ。
怒鳴れないように洗脳しといてよかったよ。どんなに腹たってもこの屋敷じゃ義母様は怒り狂えないからね。
「義母様、お元気ですか?」
「元気よ。用事はなに?さっさと済ませて帰ってちょうだい。」
相変わらずだな。むしろ前より嫌われてる気がする。
義母は鏡の前でメイドに髪をとかせてた。女性の準備中に入るとかマナー違反だし入れるのもどうかと思うけど…本人がいいならいいのかな。
メイドが僕をソファに案内してくれてお菓子と紅茶を置いてくれた。しかも僕が以前から好んでるお菓子。
できる使用人だこと。
「前に言ってたお店の話なのですが考えてくれましたか?」
「理由によってはね。なんで私なの?自分ですればいいしゃない。」
意外な質問だな。改めてなんで?なんて聞かれたら困る。考えたこともない。
一番の理由は義母様へあげるお金を減らすためだし。
「なんで…。使い道を…いや。母のやり遂げられなかったことの続きですかね。僕じゃできませんから。」
まず1番に女性だから。
次に身内だから扱いやすいっていいのもある。皇后陛下は口が軽くて困るし才能ないもん。それなら僕が管理できる立場で好き勝手して欲しい。
「母は女性が自立できる世界を作ろうとしてました。男同士の結婚が許されるのは男二人で生きていけるからです。女二人じゃこの社会じゃどうにもならない。働けるところなんて娼館くらいです。使用人だって住み込みで楽じゃない。神殿に行けば女性同士でも子供は作れます。でもそれはできないのが今の社会。それを変える道標となろうとしてました。本人がそうしたかったかは分かりませんが…なんというか僕の想像ですね。こんな世界を見てみたいと思っただけです。義母様は気にせず商売をしてくれれば、あとはこっちでなんとかしますよ。」
「…私は貴方の母親ではないの。母性を求められたって無理よ。貴方可愛くないし。」
どこからその話になったんだろう。
僕はただ義母様に働けって言っただけ。確かに母様の話はしたけど母様だって見かけだけは母性はあるような人だ。
「母性ですか?まぁいりませんよ。義母様は母様とは真逆の存在ですし。母様にも母性とやらがあったかどうかも怪しいですから。」
「可哀想な子ね。」
この人の失礼さはいつもの事だ。無視しようと心で決めたところでメイドじ声をはりあげた。
「お、奥様!言葉が「家族の話だよ。君は使用人。分かるよね?」」
しゃしゃり出てきた使用人はすぐに「申し訳ありません。」の一言と一礼をして壁際に戻る。
本当にできた子ではあるんだけど…。幾分舐め腐ってるよね。僕らのこと。
「僕は満たされてますよ。可愛い弟、喧嘩ができる友人。満たされることのない知識欲。それを話せる家臣。それに母様が亡くなっていなくなってしまった社交界の花が戻ってきた。これで使える手は増えるし大きくなる。何が満たされてないと言うんですか?」
「そういうところよ。だからそうやって色んなことに手を出して必死なんじゃないの?」
やっと豊かな髪をとき終わったのか義母様が真っ赤な髪を後ろに払って僕の前のソファに座った。
「この僕が…満たされてないように見えるの?」
「貴方、生きづらそうよ。身分もお金を作る力もあるんだから好きに生きなさいよ。鬱陶しいわね。」
本当にめちゃくちゃな人だな。
この人ほど自由に生きて手に入れてきた人見たことないよ。
「生きてく上でね1番面倒なものって親なのよ。親がしちゃダメって言ったことは大人になってもそう思うし、親がヨボヨボに歳をとったら悲しく思う。いくら軽蔑してても捨てられないし、かと言って寄り添いたくないし。いい加減面倒なのよ。あんたの母親は若いうちに死んでよかったわね。」
なんてこと言うんだろう。まだ母様が亡くなって1年もたってない。僕なんて齢2桁にもならない子供だよ?その子供に向かって《親が死んでよかったね》なんて言う本妻に収まった元愛人なんてありえない。デリカシーがなさすぎる。まだ現代の愛人の方がまだ言い方を考えるでしょ。
空いた口が塞がらないってこのことだろう。
でも。
なんか楽になった。この人嘘つかけないからなぁ。なんだか気を張らなくて済むという感じかな。
まぁ嘘つけてもこの程度敵にもならないけど。
「人間誰かには救われるものですね。少し安心しました。お店のこと考えてくださいね。」
「…貴方の母親のためじゃないから。それだけは覚えておいて。」
これが所謂ツンデレかな。
ただの本音かもしれないけど。
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
領主代理は皆元気そうだったなぁ。
無駄に元気なのは困るけど収まる範囲で元気なのは喜ばしいことだよね。
今日ばかりは片付けのためにアルフレートまで呼び出されて屋敷中ゴタゴタしてる。大変そう。僕は相変わらず新たに上がった問題について頭を悩ましてる。
対処はしようとしてもお金がかかる。そのお金がないからどうにもできない。ないなりにどうにかしないといけないんだよね。困ったなぁ。
まぁ今日から魔法と剣術の訓練が入るから気分転換にはなる。むしろ嬉しい。
健康な体を手に入れたのに何が楽しくて部屋に閉じこもってるんだろ。前世じゃあんなに外を駆け回りたいって思ってたのになぁ。
生まれ変わったら貴族は走らない!って母様にに怒られたっけ。知ったこっちゃないから隠れて庭を走ってたら剣術の先生付けられるし。まだ幼子にそんなことさせるなんて…前世なら児相に行かなきゃならない。
ここにはそんなものないから逃げ込む場所ないけど。
市街に行けば子供でも働いてるし。そこの感覚は中世なんだよね。中世より魔法がある分衛生面はいいかもしれないけど。
《コンコン》
今度は何?アルフレートが紅茶を持ってきたとか?違うよね。アルはこんなノックの音じゃない。優しく叩いてくる。
この叩き方、義母様かな?
魔法でドアを開けてやる。このくらいなら貴族ならできる程度の生活魔法。便利だよ。物浮かせかり片付けたり。僕は風魔法でやってる。
「どうかしましたか?」
「テオは?」
「今は皇宮に行ってますよ。」
「そう。」
それだけ言って勝手にソファに座る。
まぁいいよ。部屋に入れたのは僕だし。アルが準備してくれてるティーポットにお湯を注いで時間を確認。
義母様は相変わらず堂々としてらっしゃっることでお茶も待たずに本題に入りたいらしい。
「あれ本気?この子を娶らせるとかなんとか。」
「テオが望むなら、ですよ。これだけの才能がありますからどこに嫁ごうとも良い待遇は受けますからご安心を。逆に才能があるおかげであまりにも身分差があるところは難しいんです。…できなくはないですが。」
「嫌味?ソレ。」
まぁ義母様がシルヴェスターに入ったのはどうしようもないから。そのまま置いておけばのちのちテオ様を使って要らないことを考えるかもしれない。殺すにしては下っ端とはいえ貴族だからめんどうなことになる。ちょうど母様が亡くなられたから父様と結婚したという流れ。1番めんどうが少ない方法だから皇帝も承認するのが早かった。
「まさか。義母様の才能は認めてますよ。テオにもよく引き継がれてる。向こうがこっちに来るには問題ないんです。把握してない子孫を残される方が問題なんです。」
「もし私が離婚してテオを連れて出ていったらテオはどうなるの?」
可哀想だけど連れ戻すよ。僕の自己満足のために。
もちろん皇宮は国のために手伝ってくれるからね。逃げられないよ。
「義母様を誘拐犯として殺してテオはシルヴェスターに連れ戻します。」
「私の子よ。」
「光魔法は皇族が闇魔法はシルヴェスターが管理する。法律でもそう決まってます。適当なところで数増やされて《本当の後継者は自分たちだ。》だなんて言われたら内戦になりますからね。僕だって1番下ですが皇位継承権はあるんですよ。それだけ光魔法と闇魔法の才能は国に管理されてるんです。連れ去るなんて反逆罪に匹敵する罪ですよ。馬鹿なことは考えないでください。僕だってむやみに母を殺したくないですから。」
「そう。」
本当にそうだよ。
だから無駄なことしないでね。みんなで幸せに生きてくんだよ。テオ様の母親なら僕も頑張って守るんだから。逃げたらその範疇じゃないけど。
「でもそう考えるとテオの祖父母は頭がいい人ですよね。」
「どこがよ。」
2人に魔法を教えなかったのは理解できないけどテオ様に教えなかったのは頭いいなと思うよ。
「テオに魔法わ教えなかったのはシルヴェスターに盗られたくないと抵抗したからだとも考えられますから。」
義母に魔法を教えなかったのは理解不能だけど。
紅茶を注いで義母様の前におく。僕も1口。口に含む。ちょっと短かったかな。
「本妻がいる公爵家。愛人が子を孕んでその子が闇魔法の適正があると知れたら暗殺されかねませんから。良かったですね。生きてて。」
歪な親だと思う。
なんで魔法を教えなかったの?その割にはダンスや食事や一礼とかのマナー、基本的な計算や文字は完璧に教えこんでる。
何考えてるのか分からない。周囲を探ったけど変なところもなかった。田舎の貧乏ないち貴族。
領地が悪いだけで暮らしていける最低限のお金は得てるし、裏にも手を出してなかった。だからこそ変だなぁって思うんだけど。
「いつかテオを取られることはわかっていたからこうやってマナーを身につけさせたともとれますし。」
「…知らないわよ。あの人たちの考えなんて。」
「そうですか。まぁ所詮血の繋がった他人ですからね。」
僕と義母様なんて同じ家で暮らしてる他人だし。夫婦だってそうだもん。それでも情は湧くからこういうものから家族って始まるのかもね。
机を叩いたせいでカチャカチャとカップが揺れた。
こういうことされてカップが割れたら困るんだけど。ホントにもう。
僕の分は手に持ってるから僕の紅茶に害はない。
「あなたねぇ!」
「安心してください。今は僕と家族でしょう?義母様。」
「テオは?家族よね。」
「もちろん。可愛い弟ですよ。」
「ならいいわ。お風呂。早く作ってよね。」
「来年までには作りますよ。」
義母様結局一口も紅茶に口つけなかった。めっちゃ失礼なことなんだよ。「お前のこと信用してねぇから」って正面切って言われたようなものだ。
知っててしたのかな。つら。
テオ様と入れ違いで僕は訓練に行くから夕食の時にでも慰めてもらお。
やらないならやらないで僕が手懸けたいことも沢山ある。
魔獣なんだ。魔力を防ぐ糸を吐き出さないかなぁとかもっと多く糸吐かないかなぁとか。改良の余地は沢山あるからね。
扉を叩けば義母様に付けているメイドが開けてくれた。僕を見た時2度見されたけどそんなに珍しいかな。照れちゃうな。
「奥様、クラウス様です。」
「入れていいわよ。」
「えっ!?でも…。」
入っていいの?なんかしてたんじゃないの?待つけど。メイドにそう伝えたら怒りを抑えたようなひっくい声で「入っていいって言ってるの!」と言われた。こわ。
怒鳴れないように洗脳しといてよかったよ。どんなに腹たってもこの屋敷じゃ義母様は怒り狂えないからね。
「義母様、お元気ですか?」
「元気よ。用事はなに?さっさと済ませて帰ってちょうだい。」
相変わらずだな。むしろ前より嫌われてる気がする。
義母は鏡の前でメイドに髪をとかせてた。女性の準備中に入るとかマナー違反だし入れるのもどうかと思うけど…本人がいいならいいのかな。
メイドが僕をソファに案内してくれてお菓子と紅茶を置いてくれた。しかも僕が以前から好んでるお菓子。
できる使用人だこと。
「前に言ってたお店の話なのですが考えてくれましたか?」
「理由によってはね。なんで私なの?自分ですればいいしゃない。」
意外な質問だな。改めてなんで?なんて聞かれたら困る。考えたこともない。
一番の理由は義母様へあげるお金を減らすためだし。
「なんで…。使い道を…いや。母のやり遂げられなかったことの続きですかね。僕じゃできませんから。」
まず1番に女性だから。
次に身内だから扱いやすいっていいのもある。皇后陛下は口が軽くて困るし才能ないもん。それなら僕が管理できる立場で好き勝手して欲しい。
「母は女性が自立できる世界を作ろうとしてました。男同士の結婚が許されるのは男二人で生きていけるからです。女二人じゃこの社会じゃどうにもならない。働けるところなんて娼館くらいです。使用人だって住み込みで楽じゃない。神殿に行けば女性同士でも子供は作れます。でもそれはできないのが今の社会。それを変える道標となろうとしてました。本人がそうしたかったかは分かりませんが…なんというか僕の想像ですね。こんな世界を見てみたいと思っただけです。義母様は気にせず商売をしてくれれば、あとはこっちでなんとかしますよ。」
「…私は貴方の母親ではないの。母性を求められたって無理よ。貴方可愛くないし。」
どこからその話になったんだろう。
僕はただ義母様に働けって言っただけ。確かに母様の話はしたけど母様だって見かけだけは母性はあるような人だ。
「母性ですか?まぁいりませんよ。義母様は母様とは真逆の存在ですし。母様にも母性とやらがあったかどうかも怪しいですから。」
「可哀想な子ね。」
この人の失礼さはいつもの事だ。無視しようと心で決めたところでメイドじ声をはりあげた。
「お、奥様!言葉が「家族の話だよ。君は使用人。分かるよね?」」
しゃしゃり出てきた使用人はすぐに「申し訳ありません。」の一言と一礼をして壁際に戻る。
本当にできた子ではあるんだけど…。幾分舐め腐ってるよね。僕らのこと。
「僕は満たされてますよ。可愛い弟、喧嘩ができる友人。満たされることのない知識欲。それを話せる家臣。それに母様が亡くなっていなくなってしまった社交界の花が戻ってきた。これで使える手は増えるし大きくなる。何が満たされてないと言うんですか?」
「そういうところよ。だからそうやって色んなことに手を出して必死なんじゃないの?」
やっと豊かな髪をとき終わったのか義母様が真っ赤な髪を後ろに払って僕の前のソファに座った。
「この僕が…満たされてないように見えるの?」
「貴方、生きづらそうよ。身分もお金を作る力もあるんだから好きに生きなさいよ。鬱陶しいわね。」
本当にめちゃくちゃな人だな。
この人ほど自由に生きて手に入れてきた人見たことないよ。
「生きてく上でね1番面倒なものって親なのよ。親がしちゃダメって言ったことは大人になってもそう思うし、親がヨボヨボに歳をとったら悲しく思う。いくら軽蔑してても捨てられないし、かと言って寄り添いたくないし。いい加減面倒なのよ。あんたの母親は若いうちに死んでよかったわね。」
なんてこと言うんだろう。まだ母様が亡くなって1年もたってない。僕なんて齢2桁にもならない子供だよ?その子供に向かって《親が死んでよかったね》なんて言う本妻に収まった元愛人なんてありえない。デリカシーがなさすぎる。まだ現代の愛人の方がまだ言い方を考えるでしょ。
空いた口が塞がらないってこのことだろう。
でも。
なんか楽になった。この人嘘つかけないからなぁ。なんだか気を張らなくて済むという感じかな。
まぁ嘘つけてもこの程度敵にもならないけど。
「人間誰かには救われるものですね。少し安心しました。お店のこと考えてくださいね。」
「…貴方の母親のためじゃないから。それだけは覚えておいて。」
これが所謂ツンデレかな。
ただの本音かもしれないけど。
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
領主代理は皆元気そうだったなぁ。
無駄に元気なのは困るけど収まる範囲で元気なのは喜ばしいことだよね。
今日ばかりは片付けのためにアルフレートまで呼び出されて屋敷中ゴタゴタしてる。大変そう。僕は相変わらず新たに上がった問題について頭を悩ましてる。
対処はしようとしてもお金がかかる。そのお金がないからどうにもできない。ないなりにどうにかしないといけないんだよね。困ったなぁ。
まぁ今日から魔法と剣術の訓練が入るから気分転換にはなる。むしろ嬉しい。
健康な体を手に入れたのに何が楽しくて部屋に閉じこもってるんだろ。前世じゃあんなに外を駆け回りたいって思ってたのになぁ。
生まれ変わったら貴族は走らない!って母様にに怒られたっけ。知ったこっちゃないから隠れて庭を走ってたら剣術の先生付けられるし。まだ幼子にそんなことさせるなんて…前世なら児相に行かなきゃならない。
ここにはそんなものないから逃げ込む場所ないけど。
市街に行けば子供でも働いてるし。そこの感覚は中世なんだよね。中世より魔法がある分衛生面はいいかもしれないけど。
《コンコン》
今度は何?アルフレートが紅茶を持ってきたとか?違うよね。アルはこんなノックの音じゃない。優しく叩いてくる。
この叩き方、義母様かな?
魔法でドアを開けてやる。このくらいなら貴族ならできる程度の生活魔法。便利だよ。物浮かせかり片付けたり。僕は風魔法でやってる。
「どうかしましたか?」
「テオは?」
「今は皇宮に行ってますよ。」
「そう。」
それだけ言って勝手にソファに座る。
まぁいいよ。部屋に入れたのは僕だし。アルが準備してくれてるティーポットにお湯を注いで時間を確認。
義母様は相変わらず堂々としてらっしゃっることでお茶も待たずに本題に入りたいらしい。
「あれ本気?この子を娶らせるとかなんとか。」
「テオが望むなら、ですよ。これだけの才能がありますからどこに嫁ごうとも良い待遇は受けますからご安心を。逆に才能があるおかげであまりにも身分差があるところは難しいんです。…できなくはないですが。」
「嫌味?ソレ。」
まぁ義母様がシルヴェスターに入ったのはどうしようもないから。そのまま置いておけばのちのちテオ様を使って要らないことを考えるかもしれない。殺すにしては下っ端とはいえ貴族だからめんどうなことになる。ちょうど母様が亡くなられたから父様と結婚したという流れ。1番めんどうが少ない方法だから皇帝も承認するのが早かった。
「まさか。義母様の才能は認めてますよ。テオにもよく引き継がれてる。向こうがこっちに来るには問題ないんです。把握してない子孫を残される方が問題なんです。」
「もし私が離婚してテオを連れて出ていったらテオはどうなるの?」
可哀想だけど連れ戻すよ。僕の自己満足のために。
もちろん皇宮は国のために手伝ってくれるからね。逃げられないよ。
「義母様を誘拐犯として殺してテオはシルヴェスターに連れ戻します。」
「私の子よ。」
「光魔法は皇族が闇魔法はシルヴェスターが管理する。法律でもそう決まってます。適当なところで数増やされて《本当の後継者は自分たちだ。》だなんて言われたら内戦になりますからね。僕だって1番下ですが皇位継承権はあるんですよ。それだけ光魔法と闇魔法の才能は国に管理されてるんです。連れ去るなんて反逆罪に匹敵する罪ですよ。馬鹿なことは考えないでください。僕だってむやみに母を殺したくないですから。」
「そう。」
本当にそうだよ。
だから無駄なことしないでね。みんなで幸せに生きてくんだよ。テオ様の母親なら僕も頑張って守るんだから。逃げたらその範疇じゃないけど。
「でもそう考えるとテオの祖父母は頭がいい人ですよね。」
「どこがよ。」
2人に魔法を教えなかったのは理解できないけどテオ様に教えなかったのは頭いいなと思うよ。
「テオに魔法わ教えなかったのはシルヴェスターに盗られたくないと抵抗したからだとも考えられますから。」
義母に魔法を教えなかったのは理解不能だけど。
紅茶を注いで義母様の前におく。僕も1口。口に含む。ちょっと短かったかな。
「本妻がいる公爵家。愛人が子を孕んでその子が闇魔法の適正があると知れたら暗殺されかねませんから。良かったですね。生きてて。」
歪な親だと思う。
なんで魔法を教えなかったの?その割にはダンスや食事や一礼とかのマナー、基本的な計算や文字は完璧に教えこんでる。
何考えてるのか分からない。周囲を探ったけど変なところもなかった。田舎の貧乏ないち貴族。
領地が悪いだけで暮らしていける最低限のお金は得てるし、裏にも手を出してなかった。だからこそ変だなぁって思うんだけど。
「いつかテオを取られることはわかっていたからこうやってマナーを身につけさせたともとれますし。」
「…知らないわよ。あの人たちの考えなんて。」
「そうですか。まぁ所詮血の繋がった他人ですからね。」
僕と義母様なんて同じ家で暮らしてる他人だし。夫婦だってそうだもん。それでも情は湧くからこういうものから家族って始まるのかもね。
机を叩いたせいでカチャカチャとカップが揺れた。
こういうことされてカップが割れたら困るんだけど。ホントにもう。
僕の分は手に持ってるから僕の紅茶に害はない。
「あなたねぇ!」
「安心してください。今は僕と家族でしょう?義母様。」
「テオは?家族よね。」
「もちろん。可愛い弟ですよ。」
「ならいいわ。お風呂。早く作ってよね。」
「来年までには作りますよ。」
義母様結局一口も紅茶に口つけなかった。めっちゃ失礼なことなんだよ。「お前のこと信用してねぇから」って正面切って言われたようなものだ。
知っててしたのかな。つら。
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