推しの完璧超人お兄様になっちゃった

紫 もくれん

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8歳

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「いないかな。」

そっと若い1人の男が手を挙げた。
確か西の領土の推薦者。西と言えば南や北と違って小さな土地だけど豊かな農地が広がるところ。
それでいて3年後に大規模な魔獣被害を出す領地。今回の集まりでそれに対処する兵を集めたいんだ。

「テオ様の秘書を務めさせていただいてもよろしいでしょうか?」

まぁ裏があろうがなかろうがこき使うからなんでも受け入れるけどね。

「ありがとう。あと2人。誰かやる?」

うん。誰も手をあげない。
僕くらいは手を挙げてくれると思ったんだけど自惚れだったかな。

「じゃあ僕が選ぼうか。義母様に渡した事業は北にいつか移すつもり。北の推薦者を義母様の秘書とする。」

「承ります。クラウス様。」

北の推薦された子は珍しく女性。母様の代から気にかけてた子だから信用も信頼もできるだろう。
それに北と行き来はあまりないからいい刺激になると思う。それを将来北で活かして欲しい。

僕の方はただただ仕事が早い子がいい。もっと言えば貿易をもっと発展させたいからその方面を詳しく知りたいところだ。
それでもっとお金が欲しい。

「僕の秘書だけど知見が広い子がいい。だから南の推薦者を選ぶ。」

「ありがたく承ります。」

恭しく頭を下げたせいで表情が分からない。
本当は嫌なのかな。やっぱり気にしちゃうよね。人間だもん。でもまぁ決まりは決まりだ。

「じゃあ決まりね。」

いつも通り微笑んで明日からの予定が書かれた紙をアルフレートから受け取る。

「少し長くなるからデザートか紅茶のお代わりは今のうちにね。」

普通はお代わりなんて頼まないんだけど一斉にほとんど皆が手を挙げた。

テオはモジモジと周りを見て出遅れてる。本当は欲しいんだろう。でもマナーとかを考えると手を挙げるべきじゃないって思ってやめたら恥も外聞も捨てた大人が手を挙げた。
今更上げらんないよね。

「クラウス様。」

ボソッと。アルが僕に近ずいてる耳打ちしてくる。テオ様を見てどうにかしようとしてくれたんだろう。本当にできた使用人だこと。

『甘いもの。苦めのもの。先程と同じ甘さのもの。以上の三種類の準備が人数分あるそうです。全てケーキの種類も違います。』

そう。ありがたいね。それとも食わせたくて準備してたのか。
どっちにしろ気が利く。テオ様が喜ぶことをするんだ。後で褒めてあげないと。

アルが離れたところでみんなに朗報を伝えてあげる。

「さっき甘さ違いのケーキを3種類作ったから食べ比べして欲しい。アル、それぞれに合う紅茶の準備を。」

アルが容れたお茶がいちばん美味しいからね。アルも準備してたのか、時計を確認してメイドたちに指示を出す。みんなで順番に入れ始める。勿論アルはテオ様、僕の順で。


それに合わせて料理人たちがケーキを並べてく。

僕も紅茶をふくんでみんなの前にデザートが並べられたところで口を開く。

「テオの誕生日というこの場で悪いけどせっかく会えたんだ。この場で明日からの予定を伝える。」

「まず明日は西と北の領主。明後日は南と東の領主と話がしたい。昼食は呼びに行かせるから必ず出てきて。それと明明後日に皆で夕飯を食べながら話をしよう。シルヴェスターのこれからについてとかね。それ以外は帝都観光でもして楽しんでね。質問は?」

バッと手を上げる南の領主から推薦が入った子。僕の秘書予定の子。

僕が報告書から選んで領主代理からの推薦もある。どんないい提案があるんだろう。南と北を一緒にした方がいいとか?貿易の話でなにかいいことでもあったかな?

「どうかした?」

「デザートにこれは付きますか?」

この子を選んだ僕は見る目がなかったのかもしれない。

「テオ持ちになるからテオに聞いて。」






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