推しの完璧超人お兄様になっちゃった

紫 もくれん

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8歳

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「テオはもう出かけたの?」

「はい。昼食後、着替えてすぐ皇宮に向かいました。」

そっか。どうせ出かけるなら行ってらっしゃいしたかったな。
テオ様と手合わせとかしてみたいな。また本気じゃ僕の勝ちだろうけどいつか追い抜かれるんだもん。今のうちしか兄ヅラできないもんね。
色々と時間取らないとなぁ。

今のテオ様を愛でられるのは今だけだし後悔のないようにしないとね。
お金はあとから挽回できるけどテオ様の成長は止めらんない。


夕飯の時にでも話しよ。

今日はアルがいないからメラニーに手を借りて馬車に乗り込む。行先は一応市街。

街で降りて自分の足でスラムに向かうんだよ。その方が僕ってバレないしね。スラムにはいる時には幻影魔法もかけないとな。

幻影魔法って洗脳と影魔法の応用。実は僕すごいことしてんだから。
でもテオ様の方が幻影魔法は上手くなるかもね。影魔法得意だし。光魔法使いならもっと楽なんだよ。光を屈折させるだけだもん。それもルディが言うには難しいらしいけど。
だったら父様はどうなんだろ。SFなら実は幻影で屋敷に出入りしてましたって場面だね。

アルだったら笑うな。


街並みも貴族街から市街地へ。ドレスも見なくなった。
市街地は活気があるよね。

女も男もワイワイワイワイ。元気なこと。
この裏にはスラムがあるんだから活気があるね、で済ませていい問題じゃない。それにスラムは大問題なんだよね。そこから犯罪は増えるし、疫病も増える。ろくな事がない。

そのために孤児院とか公営の仕事とか増やしたいけどどうにも算学できる人が少ない。足し算引き算くらいでいいのに少ないんだよ。

僕がやることじゃないけどいつかルディがぶち当たる壁だよね。
手をつけるのに早いことはないけど陛下はどうしてるんだろ。そこまで情報は入ってないからな。

ピタリと馬車が止まる。

目的地には着いたのかな。
僕も幻影魔法で金色の目と黒い髪を薄緑に。

髪色だけでシルヴェスターって分かるし、目の色だけでも皇族の血筋って分かるから。有名税ってやつなのかなぁ。貴族の集まり以外では面倒すぎる。

御者が馬車のドアを開けてくれたから僕も彼の手を取って降りる。一瞬ビクついた。けど外に出てから髪と目を変えても意味ないでしょ。慣れてよね。

「1度戻っていいよ。迎え欲しくなったらいつもの魔具で呼ぶから。」

「承知致しました。」

よし。行くか。

見た目は変えてもつけたものは同じにしてるから今の僕はどう見ても貴族。
それにしてもスラムなんてテオとビビりながら入った記憶しかないから手探り状態だ。

課金するためのお店だからなぁ。ゲームならポチッで済むんだけど。
どう進むんだろ。ファンブックに行き方とか書いてた記憶はあるから思い出しながら進まないとな。

市街の噴水広場から貴族街方面の脇道を真っ直ぐ進む。行き止まりの一つ前の道を右…だったかな。

記憶を頼りに歩いて戻ってを繰り返す。

女性が多いな。娼館でも雇って貰えなかったか。それに手足の欠損がある男性たち。僕が産まれる前の小競り合いで失ったか。ここも考えないとなぁ。
視線が痛いけど危害を加えそうな人はいない。出払ってるのか寝てるのか。

にしても、手足がないと肉体労働が普通なこの世界じゃ生き残れない。子供はまだ冒険者っていう希望があるけど歳とったら大変だよね。

そう考えたら日本って社会保障整ってたなぁ。
長く生きられない僕だってなんだかんだ成人超えるまで生きられたし。この世界だったら捨てられて死んでたね。


えっと次の道を左だったかな。

あ、あった。ゲームで何度も見たボロ小屋!

ぼったくりだけど課金アイテムだけあって質はいいんだよ。自分で作るより効果高いし、ここでしか手に入らないものもあるし。見逃したボイスやストーリーを見たりするアイテムとか。

リアルになっても売ってるのかな。楽しみ。


一応看板はあるしお店なんだろう。本当にこの世界の錬金術師は隅っこに追いやられて可愛そう。僕も錬金術の才能なかったら無視してるからあんまり同情はしてないけどね。

クラウスの才能を生かすためにも錬金術師達には働いてもらわないとね。

ボロ小屋のドアはギィと音を立ててポロポロと木くずが落ちてくる。
開けきったら壊れるとかないよね。コレ。怖いからあまり開けないでおこ。家壊して立て直せなんて言われたら困る。

「らっしゃ…貴族様がなんの用だ。」

せめて一言目くらいはお客さん見ようよ。

「はじめまして。ちょっと取り引きを持ちかけに寄ったんだよ。あまり警戒しないで。」

「シルヴェスター…か?」

なんでバレたの?これも錬金術なのかな。
ふぅん。いいね。僕が知らない技術が沢山ある。いいじゃん。この子を手元に置いてこの子の信用してる弟子とかを北に送るのもありかな。

「よく分かったね。それでだ。取引しようよ。ハーロルト。」




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