推しの完璧超人お兄様になっちゃった

紫 もくれん

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8歳

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「あの...兄上。」

「なぁに?」 

テオ様には珍しくボソボソとしてる。それでも可愛いけど。なになに?僕にできることならなんでもするよ?

ボソボソテオ様を記憶に納めるためにじっと見つめる。
かーわーいーいー

「二日酔いの薬など持っていますか?」

「二日酔い?あるけどテオ、お酒飲んだの?」

危ないよ?
見た目飲んだようには見えないから強いのかな。

「俺じゃなくて母上なんですが...。」

「あぁ。義母様も僕に言えばいいのに。待ってね。」

なんだ。辛いならテオ様じゃなくて僕に言えばいいのに。なんでも揃えるよ。さすがに体調の悪い人に寝とけば治るなんて言えないよ。病気の辛さは分かるからね。

出せるお金があるなら出すさ。

たしか昔作ったポーションがあったはず。アルに頼んで適当な飲んだくれにかけても効果あったから聞くかも。ただの失敗作だと思ってたけど使い道ってあるもんだね。

欲しかった作用はアルコール中毒者の治療なんだけど。それはなかった。

空間魔法の中に手を突っ込む。
...あ、あった。

取り出してコトリと机の上に置く。

「アル、これ持って行ってあげて。お医者様がいるなら呼んであげてね。」

「かしこまりました。クラウス様。」

これだけしたらそのうち治るでしょ。
なにかあれば医者が教えてくれるだろうし。

ふぅとテオ様の方から息を吐く音が聞こえた。
可愛い。なんか久しぶりに心の余裕を持ってテオ様を見た気がする。余計に可愛く見えるよね。そういう魔法みたい。

テオ様は最近なにしてたんだろ。
どうやって話しかけようか。想像しただけで勝手に頬がだらしなく緩む。

「テオ、今日は何するの?」

「皇宮で午後から剣術と魔法の練習です。あとは...ないですね。」

そっか~。偉いね。可愛い。
予定ないなら適当なにか詰め込もうか。

「じゃあ僕から課題でも出そうか。テオは何語が話せる?」

「外国語は島国のリヴァーズ帝国語だけです。」

じゃあ新しい弟が来ても問題ないか。
それとこの国の成り立ちについてね。シルヴェスターと皇族にしか伝わってないおとぎ話みたいな話もあるし。そこは僕がしないと。

「じゃあ聖皇国語を覚えてみようか。文法から違うから覚えにくいけど使えるなら便利だからね。それとシルヴェスター公爵家の歴史も覚えようか。どんな分家があるのかとかどうやって皇家から離れたとか。社交界で役に立つからね。」

「頑張ります!」

パァと花が咲いたようにふわふわしてるテオ様。可愛い。こんなのもう天使じゃん。

「じゃあ行き詰まったら僕の執務室においで。なんでも教えてあげるよ。」

もうね。そりゃあなんでも教える。時間なくても無理やり作るよ。どうにかできるもん。テオ様のためなら頑張れる。

「兄上もお暇じゃないでしょう?大丈夫ですか?」

「大丈夫だよ。学ぶことが楽しいと感じるのはいいことだからね。」

何から勉強させようか。なんなら日常会話を聖皇国語にするのもありかな。さっさと覚えて次の勉強させてあげたいし。

テオ様ならできるでしょ。


「クラウス様。皆、クラウス様のようにできる訳ではありません。少し軽いものを当てられてはいかがですか?」

後ろで控えてたアルフレートが口を挟んできた。使用人に有るまじき行為だよ。家族団欒を使用人が遮るなんて有り得ない。
別にテオ様を思ってだからいいけどさぁ。 

「剣術も魔法も体力使うもんね。確かにしんどいか...。」

「俺は大丈夫です!」

でもなぁ。今倒れられたり勉強が楽しくないって思われたりしたらダメだよね。

「まだ時間はあるものね。...うん、歴史は僕から教えようか。おとぎ話みたいな話もあるし息抜きになると思うよ。」

「聖皇国語は如何致しましょう。」

日常会話ができる人がいい。それで身分のある人と接せる機会もある...あの浮浪者はどうかな。次男なのをいいことにフラフラと画家をしてる人がいたはずだ。

「分家に旅ばかりしてた人いたよね。手紙出しといて。」

「承知致しました。」

この話はおーわり。
テオ様と雑談いっぱいしよ♡






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