79 / 212
8歳
76
しおりを挟む「あの...兄上。」
「なぁに?」
テオ様には珍しくボソボソとしてる。それでも可愛いけど。なになに?僕にできることならなんでもするよ?
ボソボソテオ様を記憶に納めるためにじっと見つめる。
かーわーいーいー
「二日酔いの薬など持っていますか?」
「二日酔い?あるけどテオ、お酒飲んだの?」
危ないよ?
見た目飲んだようには見えないから強いのかな。
「俺じゃなくて母上なんですが...。」
「あぁ。義母様も僕に言えばいいのに。待ってね。」
なんだ。辛いならテオ様じゃなくて僕に言えばいいのに。なんでも揃えるよ。さすがに体調の悪い人に寝とけば治るなんて言えないよ。病気の辛さは分かるからね。
出せるお金があるなら出すさ。
たしか昔作ったポーションがあったはず。アルに頼んで適当な飲んだくれにかけても効果あったから聞くかも。ただの失敗作だと思ってたけど使い道ってあるもんだね。
欲しかった作用はアルコール中毒者の治療なんだけど。それはなかった。
空間魔法の中に手を突っ込む。
...あ、あった。
取り出してコトリと机の上に置く。
「アル、これ持って行ってあげて。お医者様がいるなら呼んであげてね。」
「かしこまりました。クラウス様。」
これだけしたらそのうち治るでしょ。
なにかあれば医者が教えてくれるだろうし。
ふぅとテオ様の方から息を吐く音が聞こえた。
可愛い。なんか久しぶりに心の余裕を持ってテオ様を見た気がする。余計に可愛く見えるよね。そういう魔法みたい。
テオ様は最近なにしてたんだろ。
どうやって話しかけようか。想像しただけで勝手に頬がだらしなく緩む。
「テオ、今日は何するの?」
「皇宮で午後から剣術と魔法の練習です。あとは...ないですね。」
そっか~。偉いね。可愛い。
予定ないなら適当なにか詰め込もうか。
「じゃあ僕から課題でも出そうか。テオは何語が話せる?」
「外国語は島国のリヴァーズ帝国語だけです。」
じゃあ新しい弟が来ても問題ないか。
それとこの国の成り立ちについてね。シルヴェスターと皇族にしか伝わってないおとぎ話みたいな話もあるし。そこは僕がしないと。
「じゃあ聖皇国語を覚えてみようか。文法から違うから覚えにくいけど使えるなら便利だからね。それとシルヴェスター公爵家の歴史も覚えようか。どんな分家があるのかとかどうやって皇家から離れたとか。社交界で役に立つからね。」
「頑張ります!」
パァと花が咲いたようにふわふわしてるテオ様。可愛い。こんなのもう天使じゃん。
「じゃあ行き詰まったら僕の執務室においで。なんでも教えてあげるよ。」
もうね。そりゃあなんでも教える。時間なくても無理やり作るよ。どうにかできるもん。テオ様のためなら頑張れる。
「兄上もお暇じゃないでしょう?大丈夫ですか?」
「大丈夫だよ。学ぶことが楽しいと感じるのはいいことだからね。」
何から勉強させようか。なんなら日常会話を聖皇国語にするのもありかな。さっさと覚えて次の勉強させてあげたいし。
テオ様ならできるでしょ。
「クラウス様。皆、クラウス様のようにできる訳ではありません。少し軽いものを当てられてはいかがですか?」
後ろで控えてたアルフレートが口を挟んできた。使用人に有るまじき行為だよ。家族団欒を使用人が遮るなんて有り得ない。
別にテオ様を思ってだからいいけどさぁ。
「剣術も魔法も体力使うもんね。確かにしんどいか...。」
「俺は大丈夫です!」
でもなぁ。今倒れられたり勉強が楽しくないって思われたりしたらダメだよね。
「まだ時間はあるものね。...うん、歴史は僕から教えようか。おとぎ話みたいな話もあるし息抜きになると思うよ。」
「聖皇国語は如何致しましょう。」
日常会話ができる人がいい。それで身分のある人と接せる機会もある...あの浮浪者はどうかな。次男なのをいいことにフラフラと画家をしてる人がいたはずだ。
「分家に旅ばかりしてた人いたよね。手紙出しといて。」
「承知致しました。」
この話はおーわり。
テオ様と雑談いっぱいしよ♡
196
お気に入りに追加
2,406
あなたにおすすめの小説
社畜だけど異世界では推し騎士の伴侶になってます⁈
めがねあざらし
BL
気がつくと、そこはゲーム『クレセント・ナイツ』の世界だった。
しかも俺は、推しキャラ・レイ=エヴァンスの“伴侶”になっていて……⁈
記憶喪失の俺に課されたのは、彼と共に“世界を救う鍵”として戦う使命。
しかし、レイとの誓いに隠された真実や、迫りくる敵の陰謀が俺たちを追い詰める――。
異世界で見つけた愛〜推し騎士との奇跡の絆!
推しとの距離が近すぎる、命懸けの異世界ラブファンタジー、ここに開幕!
オッサン課長のくせに、無自覚に色気がありすぎる~ヨレヨレ上司とエリート部下、恋は仕事の延長ですか?
中岡 始
BL
「新しい営業課長は、超敏腕らしい」
そんな噂を聞いて、期待していた橘陽翔(28)。
しかし、本社に異動してきた榊圭吾(42)は――
ヨレヨレのスーツ、だるそうな関西弁、ネクタイはゆるゆる。
(……いやいや、これがウワサの敏腕課長⁉ 絶対ハズレ上司だろ)
ところが、初めての商談でその評価は一変する。
榊は巧みな話術と冷静な判断で、取引先をあっさり落としにかかる。
(仕事できる……! でも、普段がズボラすぎるんだよな)
ネクタイを締め直したり、書類のコーヒー染みを指摘したり――
なぜか陽翔は、榊の世話を焼くようになっていく。
そして気づく。
「この人、仕事中はめちゃくちゃデキるのに……なんでこんなに色気ダダ漏れなんだ?」
煙草をくゆらせる仕草。
ネクタイを緩める無防備な姿。
そのたびに、陽翔の理性は削られていく。
「俺、もう待てないんで……」
ついに陽翔は榊を追い詰めるが――
「……お前、ほんまに俺のこと好きなんか?」
攻めるエリート部下 × 無自覚な色気ダダ漏れのオッサン上司。
じわじわ迫る恋の攻防戦、始まります。
転生悪役令息、雌落ち回避で溺愛地獄!?義兄がラスボスです!
めがねあざらし
BL
人気BLゲーム『ノエル』の悪役令息リアムに転生した俺。
ゲームの中では「雌落ちエンド」しか用意されていない絶望的な未来が待っている。
兄の過剰な溺愛をかわしながらフラグを回避しようと奮闘する俺だが、いつしか兄の目に奇妙な影が──。
義兄の溺愛が執着へと変わり、ついには「ラスボス化」!?
このままじゃゲームオーバー確定!?俺は義兄を救い、ハッピーエンドを迎えられるのか……。
※タイトル変更(2024/11/27)

兄たちが弟を可愛がりすぎです
クロユキ
BL
俺が風邪で寝ていた目が覚めたら異世界!?
メイド、王子って、俺も王子!?
おっと、俺の自己紹介忘れてた!俺の、名前は坂田春人高校二年、別世界にウィル王子の身体に入っていたんだ!兄王子に振り回されて、俺大丈夫か?!
涙脆く可愛い系に弱い春人の兄王子達に振り回され護衛騎士に迫って慌てていっもハラハラドキドキたまにはバカな事を言ったりとしている主人公春人の話を楽しんでくれたら嬉しいです。
1日の話しが長い物語です。
誤字脱字には気をつけてはいますが、余り気にしないよ~と言う方がいましたら嬉しいです。
推しにプロポーズしていたなんて、何かの間違いです
一ノ瀬麻紀
BL
引きこもりの僕、麻倉 渚(あさくら なぎさ)と、人気アイドルの弟、麻倉 潮(あさくら うしお)
同じ双子だというのに、なぜこんなにも違ってしまったのだろう。
時々ふとそんな事を考えてしまうけど、それでも僕は、理解のある家族に恵まれ充実した引きこもり生活をエンジョイしていた。
僕は極度の人見知りであがり症だ。いつからこんなふうになってしまったのか、よく覚えていない。
本音を言うなら、弟のように表舞台に立ってみたいと思うこともある。けれどそんなのは無理に決まっている。
だから、安全な自宅という城の中で、僕は今の生活をエンジョイするんだ。高望みは一切しない。
なのに、弟がある日突然変なことを言い出した。
「今度の月曜日、俺の代わりに学校へ行ってくれないか?」
ありえない頼み事だから断ろうとしたのに、弟は僕の弱みに付け込んできた。
僕の推しは俳優の、葛城 結斗(Iかつらぎ ゆうと)くんだ。
その結斗くんのスペシャルグッズとサイン、というエサを目の前にちらつかせたんだ。
悔しいけど、僕は推しのサインにつられて首を縦に振ってしまった。
え?葛城くんが目の前に!?
どうしよう、人生最大のピンチだ!!
✤✤
「推し」「高校生BL」をテーマに書いたお話です。
全年齢向けの作品となっています。

無自覚お師匠様は弟子達に愛される
雪柳れの
BL
10年前。サレア皇国の武力の柱である四龍帝が忽然と姿を消した。四龍帝は国内外から強い支持を集め、彼が居なくなったことは瞬く間に広まって、近隣国を巻き込む大騒動に発展してしまう。そんなこと露も知らない四龍帝こと永寿は実は行方不明となった10年間、山奥の村で身分を隠して暮らしていた!?理由は四龍帝の名前の由来である直属の部下、四天王にあったらしい。四天王は師匠でもある四龍帝を異常なまでに愛し、終いには結婚の申し出をするまでに……。こんなに弟子らが自分に執着するのは自分との距離が近いせいで色恋をまともにしてこなかったせいだ!と言う考えに至った永寿は10年間俗世との関わりを断ち、ひとりの従者と一緒にそれはそれは悠々自適な暮らしを送っていた……が、風の噂で皇国の帝都が大変なことになっている、と言うのを聞き、10年振りに戻ってみると、そこに居たのはもっとずっと栄えた帝都で……。大変なことになっているとは?と首を傾げた永寿の前に現れたのは、以前よりも増した愛と執着を抱えた弟子らで……!?
それに永寿を好いていたのはその四天王だけでは無い……!?
無自覚鈍感師匠は周りの愛情に翻弄されまくる!!
(※R指定のかかるような場面には“R”と記載させて頂きます)
中華風BLストーリー、ここに開幕!

性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました
まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。
性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。
(ムーンライトノベルにも掲載しています)
転生したけど赤ちゃんの頃から運命に囲われてて鬱陶しい
翡翠飾
BL
普通に高校生として学校に通っていたはずだが、気が付いたら雨の中道端で動けなくなっていた。寒くて死にかけていたら、通りかかった馬車から降りてきた12歳くらいの美少年に拾われ、何やら大きい屋敷に連れていかれる。
それから温かいご飯食べさせてもらったり、お風呂に入れてもらったり、柔らかいベッドで寝かせてもらったり、撫でてもらったり、ボールとかもらったり、それを投げてもらったり───ん?
「え、俺何か、犬になってない?」
豹獣人の番大好き大公子(12)×ポメラニアン獣人転生者(1)の話。
※どんどん年齢は上がっていきます。
※設定が多く感じたのでオメガバースを無くしました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる