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8歳

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そうか。
侯爵は僕を裏切ってたのか。元々ビジネスパートナーと思ってたけどそれ以下だったとは思わなかったな。

侯爵はどんな顔してるのかと思ってちょっと目を見つめたらあんまり変わってなかった。
侯爵もそんな感じか。ならこれからはビジネスパートナーは陛下だけに絞ろうか。仕方ない。約束を破られたなら信用もなくなるってもんだ。

適当に僕に擦り寄ってくる伯爵をいなして義母の話に持っていく。
この場で義母の足固めも進めたい。元々は皇后陛下を使う予定だったけど第2皇子と対立する道を選んだからね。僕は第1皇子派閥に入ることになる。
だから皇后陛下を使うにはリスクも多い。切るしかない。

あー。侯爵がビジパだと思ってくれてなかったのは痛い。良くて小間使いとか思ってたのかな。悲しすぎ。貴族社会怖いよ。

義母は壁の花となってワインを飲んでるらしい。
壁の花なのに目立ちすぎだけど。チラチラ見ている男たちはヒールで足を貫かれるか自制心が効くかの2択だろう。断り方と無礼な人の断り方は教えたけど実践できるよね?

ヒスらないでよ。本当に。


「あの、言いずらいのですが大丈夫ですか?あのお方は大丈夫ですかな?」

「最近は落ち着いていますから。」

伯爵にまで心配される始末だ。
僕がハラハラしてるのに…いいよね、伯爵は。マナーのなってるお嬢様と気品溢れる奥様がいるんだから。
僕なんて放浪癖と女癖の悪い父親とえげつなく気の強い義母だよ?癒しなんてテオ様しかいない。

「まぁ素晴らしい魔力を持ってはいそうですけどね。」

そこなんだよね。僕も思った。普通1番に目がいく魔力だよね。髪の色から魔力の量も豊富だろうに。親は何を考えていたんだか。こんな売り物になる娘がいるんだから上手くマナーを叩き込めんで、魔法を教えれば大儲けできただろうに。

「魔法のことは全くと言っていいほど知らないんです。義弟も全く…。」

「勿体ありませんな。シルヴェスター公妃様も公子様も宮廷魔法師にでもなれそうな魔力を感じますぞ。」

「えぇ。本当に。ゆっくりと学ばせてはいるんです。芽が出るのはもう少し先ですがね。」

こんなふうに話ができるのってこの人達くらい。本当に気質は会うんだよ。考え方が会わないだけで。

「女でありながら魔法師などと…。」

こういうとこね。
僕は女性進出は好意的だけど保守派の侯爵はよく思ってない。貴族社会もよく思ってない。これがここの普通。

「これからはそういう世界ですよ。亡くなった母もその世界を目指していましたから。」

「…はしたない。」

「個人的意見としては才能と気概があれば好きにさせて良いとは思いますが、貴族社会としては受け入れられないでしょうね。」

伯爵は宰相らしいお言葉だ。
社会としては受け入れられないから受け入れないけど個人的には有りって話。
使えるものはなんでも使いたいよね。分かる。

「徐々にですよ。伯爵。」

「ほぅ?公子様ならやれますか?」

「どうでしょう。やるのは義母ですから。」

僕は手助けするだけ。あんだけ気が強ければどこででも生きて行けそうだけど。
もちろん本人にやる気があるならね。

「ふっ、面白い話ですな。」
「見てみたくはありますね。」

全く逆の意見を述べていく伯爵と侯爵。
バカにしたような侯爵は鼻で笑った。伯爵は僕を懐かしそうな目で見てきた。昔はそんなこと実現しようとでもしてたのかな。

無理だよね。前例を作ろうとした母は死んだし、義母も今回やらかしたなら閉じ込めるつもりだし。

今回次第だ。
僕は名声を高めて第1皇子側に付いたことだけ知ら知らしめるのが最低限のやることだ。

その次に商い。

上手くしないとね。





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