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8歳

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華美なキラキラ衣装に身を包む。
シルヴェスターの象徴とも言える黒を基調としたジャケット。そこに僕の目の色である金の刺繍。
カフスをとブローチをつけてもらって完成。髪は適当にオールバック。メイドがしてくれたから分からないけど。

さてさて、テオ様はどんな格好なんだろう。黒と赤が基調だとは聞いてるけどかっこいいんだろうなぁ。

「クラウス様。その紐はどうされますか?」

「付けてくよ。」

「…少し服装に合わないのではないでしょうか?」

「付けてくって言ってるの。」

「失礼致しました。」

アルもうるさいな。僕が付けてくって言ってるんだからつけてくの。
みすぼらしいけどこの紐の質自体は悪くないからね。高値で売りつけてやろ。それで上手くいったら繁殖させて北の領地の特産物にしてもいい。

もう2人は準備してる頃かな。義母様のドレスも僕で選んだけど意外と文句上がってこなかったな。
会ったら文句言われるのだろうか。センスがないとかどうとか。

玄関前にある階段から玄関を除くともう二人共揃っていた。義母は心做しか機嫌が良さそうだし、テオ様はジャケットが気になるのかなんかゴソゴソしてる。

「2人とも早いね。義母様、お美しいですよ。」

「当たり前よ。」

豊かな真っ赤な髪を揺らして怒る。褒めたのになんで怒るんだろ。女心は分かんないな。母様は褒めても「そう。」だったし。分からんな。やっぱり近くに年頃の女性は必要か。


義母に用意したのは真っ黒なドレス。そこに赤いレースを付けてなんか赤黒いドレスになってる。あとつけてる宝石も全部赤。ただ、メイクは穏やかめ。元々色白なのにそこに塗りたくるから老けて見えてたんだよ。今のナチュラルメイクは色白の肌にハマってる赤い目が際立ってキツい印象を受ける。元が美人だから好きな人は好きそう。
そういえばテオ様もキツい顔してるもんね。パーツは僕なのにこんなにも違う。

でもね、宝石と髪色を同じ色はやめた方がいいと思う。何度も言ってるけど髪と色が混じるからやめた方がいい。それがオシャレと言うならそれでいい。僕には流行が分からないと言うだけ。

ただ商いをするものとして目立たせたいものは歪にする方がいいからね。自然とそこに目が行くようにするの。

僕ならテオ様から貰った紐。絶対になんだそれ?って言われるし。話題にもなるでしょ?嫌味なやつはどこにでもいるからそれの揚げ足とって売りつけてやる。

義母様なら髪を目立たせればいいのに…髪も宝石も埋もれてる。なにを見せたいの?スタイル?分からない。ただただ赤黒い人になってる。

「兄上!お疲れ様です。素晴らしい勝利でした。」

「ありがとうね。テオも似合ってる。」

テオ様はかわカッコイイ。
僕の色違いみたいな服装。僕の金色の刺繍が赤くなってる。テオ様の目も赤いからピッタリだね。可愛い。
僕が直々に手がけたデザインだからね。もちろん僕と色違いになるのも手の内だ。堂々と推しと色違い着ても怒られないどころか材質も刺繍も全く同じ。そんなのオタクとして鼻血ものだ。気合いでニヤつく顔を押さえつける。

はぁ♡似合ってる♡♡
可愛い♡♡♡♡♡♡♡♡


これからもいっぱい作ろ。

「あ、兄上もかっこいいです。」

ん"ん"。ざいごう。最&高♡♡♡♡♡♡♡
テオ様の方がかっこいいよ。
なに頬染めてんの?襲われるよ???

「ありがとね。さて、行こうか。義母様、今宵は僕にエスコートさせて頂けますか?」

「嫌よ。テオ、腕を出しなさい。」

ちぇっ。断られちゃったな。
女をエスコートするテオ様とかちょっと解釈違い。まだテオ様からなら別にいいけど、やらせてるし。それなら僕をエスコートして欲しい。
いいなそれ。


「兄上?」

「なんでもないよ。早く行こうか。陛下に怒られちゃうよ。」

ダメだ。妄想にひたっちゃった。僕は完璧超人のクラウスだ。完璧超人のクラウス…クラウス…クラウスなんだから。







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