推しの完璧超人お兄様になっちゃった

紫 もくれん

文字の大きさ
上 下
60 / 212
8歳

57

しおりを挟む


「流石はシルヴェスター公子だ。素晴らしいものを見せてもらった。」

場を取り繕うように陛下がルディの前に出る。今の状態じゃルディの方が偉いみたいだもんね。

「有り難きお言葉です。」

「少々やりすぎだがな。」

いいじゃない。ルディの有用性も見せつけられたし。僕の強さも見せつけられた。これで表立って反抗する人は減るよ。

「では今宵のパーティも楽しみにしていてくれ。ルディ、あとは任せて良いか?」
「はい、おまかせを。」

「クラウス、第1皇子を頼んだ。」
「承知致しました。」

これでこの場は収まる。僕の処罰もないと明言された。
多分ルディも提げた頭で同じ顔をしているんだろう。

上手くいった、と。

皇帝陛下に続いて皇后陛下、第2皇子殿下も退出される。
顔をあげれ場合変わらず傲慢そうに口角を上げたルディと目が合った。

ルディもいつもと違って少しだけ取り繕ってあれやこれやと長々挨拶してる。シレッと僕は席に、相手は救護係に連れていかれた。ルディのおかげでテオ様から貰った紐は戻ったから僕満足。もう怒ってない。


「以上だ。今夜のパーティを楽しんでくれ。シルヴェスター公子、貴様は話がある。ついてこい。」
「仰せの通りに。」


ルディに言われたから大人しく着いていく。まぁ聞こえないと判断した貴族は早々に帰り始めてる。テオ様も早く帰ってパーティの準備をして欲しいから観席に近づいて帰っときなと促した。


「遅せぇよ。」

「ごめんって。」


適当に防音魔法を張って話し始める。こういうとこ信頼されてるなぁって思う。

「それでなに?」

「1回殺したんだ。さっきのヤツに手を出すなよ。」

あぁ。ヤッパリ気づいてたんだ。僕がキレたこと。外の人らにはバレてないと思ったんだけどなぁ。

「いいよ。全部ルディが治してくれたしそれでいいよ。」

「父上は気づいていなかった。あまり下手打つなよ。ヒヤヒヤしたわ。」

「本当はもっと上手くやるつもりだったんだよ。結界だって壊すつもりはなかったんだ。」

「わーってるよ。」

うるせぇなぁと言いながらソファの腕掛けに腰掛けた。口悪いし態度も悪い。これがこの国の3番目に偉い人なのか…。


「でもまだダメだ。俺たちに足場はねぇんだ。今立ってるのだってただの泥船。」

頭は悪くないんだよね。臣下としては操りやすくていい駒なんだよね。
頭が悪くないから変なことしないし。無駄に良すぎないから思考を読みやすいし、僕の手の内に裏があるってわかってても手出ししてこない。
その点、第2皇子は頭が良くて善性が強くて操りにくいし面倒臭いんだよね。

「このまま行けば沈んじゃうね。」

僕がいる限り沈ませないけど。

「だからこうやって新しい船を買おうとしてんだろ。」

「反応はどうだった?」

「上々。母上はずっと俺を睨んでた。」

なら上々かな。
このままヒスって落ちぶれて欲しいところ。でもまぁ仮にも皇后。そんなことはありえないだろうね。

「なら今夜のパーティが山場かな。僕らの仲の良さを見せつけないと。」

「いいのか?お前お母上の気に入りだろ?」

「構わないよ。この日のために義母を着飾らせるんだから。マナーも身につけさせたよ。とは言っても、付け焼き刃だから僕がフォローするつもり。」

「ま、頑張れよ。」

興味無さそうにしながらも大変そうだなという顔を向けられた。全くだよ。あの人いくら教えても次の日には忘れてる。
テオ様の理解力は一体どこからの遺伝なのやら。

「もう少しマシな義母が良かったよ。あれじゃあ魔力が多いだけの幼子だ。」

テオ様の義母じゃなきゃどっかの誘拐してきた女と入れ替えてる。でもテオ様を産んだっていう恩と貢献がそれをさせてくれない。
むしろどうしようも無くなるまではそれなりのワガママは聞いてあげたいって気持ちが強い。

「俺たちに害がないようにはしとけよ。」

「わかってる。」

ルディも煩いなぁ。


「じゃあパーティでな。へますんなよ。」

「わかってるって。」


しおりを挟む
感想 34

あなたにおすすめの小説

嫌われ者の長男

りんか
BL
学校ではいじめられ、家でも誰からも愛してもらえない少年 岬。彼の家族は弟達だけ母親は幼い時に他界。一つずつ離れた五人の弟がいる。だけど弟達は岬には無関心で岬もそれはわかってるけど弟達の役に立つために頑張ってるそんな時とある事件が起きて.....

社畜だけど異世界では推し騎士の伴侶になってます⁈

めがねあざらし
BL
気がつくと、そこはゲーム『クレセント・ナイツ』の世界だった。 しかも俺は、推しキャラ・レイ=エヴァンスの“伴侶”になっていて……⁈ 記憶喪失の俺に課されたのは、彼と共に“世界を救う鍵”として戦う使命。 しかし、レイとの誓いに隠された真実や、迫りくる敵の陰謀が俺たちを追い詰める――。 異世界で見つけた愛〜推し騎士との奇跡の絆! 推しとの距離が近すぎる、命懸けの異世界ラブファンタジー、ここに開幕!

俺、転生したら社畜メンタルのまま超絶イケメンになってた件~転生したのに、恋愛難易度はなぜかハードモード

中岡 始
BL
ブラック企業の激務で過労死した40歳の社畜・藤堂悠真。 目を覚ますと、高校2年生の自分に転生していた。 しかも、鏡に映ったのは芸能人レベルの超絶イケメン。 転入初日から女子たちに囲まれ、学園中の話題の的に。 だが、社畜思考が抜けず**「これはマーケティング施策か?」**と疑うばかり。 そして、モテすぎて業務過多状態に陥る。 弁当争奪戦、放課後のデート攻勢…悠真の平穏は完全に崩壊。 そんな中、唯一冷静な男・藤崎颯斗の存在に救われる。 颯斗はやたらと落ち着いていて、悠真をさりげなくフォローする。 「お前といると、楽だ」 次第に悠真の中で、彼の存在が大きくなっていき――。 「お前、俺から逃げるな」 颯斗の言葉に、悠真の心は大きく揺れ動く。 転生×学園ラブコメ×じわじわ迫る恋。 これは、悠真が「本当に選ぶべきもの」を見つける物語。

胸キュンシチュの相手はおれじゃないだろ?

一ノ瀬麻紀
BL
今まで好きな人どころか、女の子にも興味をしめさなかった幼馴染の東雲律 (しののめりつ)から、恋愛相談を受けた月島湊 (つきしま みなと)と弟の月島湧 (つきしまゆう) 湊が提案したのは「少女漫画みたいな胸キュンシチュで、あの子のハートをGETしちゃおう作戦!」 なのに、なぜか律は湊の前にばかり現れる。 そして湊のまわりに起こるのは、湊の提案した「胸キュンシチュエーション」 え?ちょっとまって?実践する相手、間違ってないか? 戸惑う湊に打ち明けられた真実とは……。 DKの青春BL✨️ 2万弱の短編です。よろしくお願いします。 ノベマさん、エブリスタさんにも投稿しています。

【完結】伴侶がいるので、溺愛ご遠慮いたします

  *  
BL
3歳のノィユが、カビの生えてないご飯を求めて結ばれることになったのは、北の最果ての領主のおじいちゃん……え、おじいちゃん……!? しあわせの絶頂にいるのを知らない王子たちが吃驚して憐れんで溺愛してくれそうなのですが、結構です! めちゃくちゃかっこよくて可愛い伴侶がいますので! 本編完結しました! 『もふもふ獣人転生』に遊びにゆく舞踏会編をはじめましたー! 他のお話を読まなくても大丈夫なようにお書きするので、気軽に楽しんでくださったら、とてもうれしいです。

【完結】最強公爵様に拾われた孤児、俺

福の島
BL
ゴリゴリに前世の記憶がある少年シオンは戸惑う。 目の前にいる男が、この世界最強の公爵様であり、ましてやシオンを養子にしたいとまで言ったのだから。 でも…まぁ…いっか…ご飯美味しいし、風呂は暖かい… ……あれ…? …やばい…俺めちゃくちゃ公爵様が好きだ… 前置きが長いですがすぐくっつくのでシリアスのシの字もありません。 1万2000字前後です。 攻めのキャラがブレるし若干変態です。 無表情系クール最強公爵様×のんき転生主人公(無自覚美形) おまけ完結済み

転生したけど赤ちゃんの頃から運命に囲われてて鬱陶しい

翡翠飾
BL
普通に高校生として学校に通っていたはずだが、気が付いたら雨の中道端で動けなくなっていた。寒くて死にかけていたら、通りかかった馬車から降りてきた12歳くらいの美少年に拾われ、何やら大きい屋敷に連れていかれる。 それから温かいご飯食べさせてもらったり、お風呂に入れてもらったり、柔らかいベッドで寝かせてもらったり、撫でてもらったり、ボールとかもらったり、それを投げてもらったり───ん? 「え、俺何か、犬になってない?」 豹獣人の番大好き大公子(12)×ポメラニアン獣人転生者(1)の話。 ※どんどん年齢は上がっていきます。 ※設定が多く感じたのでオメガバースを無くしました。

性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました

まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。 性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。 (ムーンライトノベルにも掲載しています)

処理中です...