55 / 212
8歳
52
しおりを挟む
観客も入ってきてザワつく中終わらない挨拶参り。僕も練習したいんだけど無下にする訳にもいかないし。
テオ様を見つけても終わらない挨拶回りのせいで手を振ることも許されない。この挨拶回りが終わったのは皇帝陛下、皇后陛下、第1皇子殿下、第2皇子殿下入場の声がかかった時だった。
長めの皇帝陛下の挨拶が終わり出る順番に呼ばれていく。
ルディは相変わらずつまらなさそう。どっちかと言えば自分で魔法打ちたいタイプだもんね。
僕の座ってる方面にテオ様が座ったからテオ様を眺めるって言う楽しみもない。
つまんないなぁ。見慣れた魔法見てもって感じ。
今回僕はギリギリまで無詠唱でやるつもり。ちゃんと詠唱する方が威力が上がるけど噛んだりしたら終わりだからね。僕は剣術も魔法も妥協するつもりないから走りながらでも戦えるようにしたい。
それでこそテオ様に好かれる完璧超人クラウスだ。全部全部手に入れてみせる。テオ様に好かれるためならなんでもやるんだから。
「クラウス・フォン・シルヴェスター公子様!!」
あ、呼ばれた。行くか。
ルディがあくびしてるのが見えた。僕の出番でそんな態度取れるのはルディだけだよ。皇帝陛下ですら話をやめてこっちを見てくれたのに。
相手は魔法塔推薦の男爵家のおじさん。
魔法塔推薦ってだけあって魔力は多い。技はどうだろ。生半可な技なら無詠唱で防げるけど。少しは手応えある人がいいな。先生以上じゃないと僕に詠唱させることは出来ないから頑張って欲しい。
『はじめ!!』
審判役の合図に合わせて防御魔法と空間魔法を組み合わせたものを張る。これはめっちゃ簡単。闇魔法で作ったプロテクションに闇魔法で作った異空間を合わせるだけだもん。
同じ属性だし簡単だよ。面倒だけど使い勝手がプロテクションよりいい。似たような魔法で反射魔法もあるけど反射魔法は確率ゲーだからあまりしたくない。失敗したらプロテクション張る前にか当たっちゃうし。
もちろんこれも無詠唱でやるよ。どんだけ練習したと思ってんの。
向こうが先に風魔法で気円斬みたいなのいっぱい出してぶつけてきた。
『ウィンドゥカッター』っていう初級魔法。まぁいっぱいだしたらメチャ強なんだけどね。切られるかもしんないし、全部避けるのは至難の業。だから防御魔法が必要になるんだけどけど。
僕の場合全部放った本人に転送されるけど。
魔法で強化された石畳の上に魔法が落ちていく。僕の周りにはひとつも落ちないけど。
さっきこの日と驚きすぎてなんの魔法も言えてなかった。だから代わりに防御魔法をかけてあげる。
ホントにもう。大人なんだからしっかりして欲しい。
「大丈夫ですか?」
「あ、は、へ?」
大丈夫かな?手を差し出したら握り返してくれたけど言葉喋ってないよ。
「まだやりますか?もう1回魔法放つ?」
今度はビクンっと体を揺らして座り込んじゃった。
「ちょ、本当に大丈夫?」
「ま、参りました!!!許してください!!!!!」
その腰抜かしたようなポーズのまま泣かれた。
え、僕が悪いの?プロテクション張って手を差し伸べたよ?僕が悪いの?
「え、泣かないでください。」
「申し訳ありません!!!!調子に乗りました!!」
ちょっと。今度は頭を抱えるようなポーズで喚く喚く。本当に僕が悪いみたいじゃん。やめてってば。テオ様も見てるんだから!!
「シルヴェスター公子、少し離れなさい。」
起こそうと肩に手を置いたところで皇帝に窘められた。僕本気で何もしてないってば!
皇宮に言われたからには下がらないわけもなく、一礼して相手から離れる。
そしたら審判に向かって皇帝陛下が頷いて審判も頷き返した。
「シルヴェスター公子様の勝利!!」
そりゃそうだけどさ。
相手の人2人に担がれて舞台から降りてった。
え?僕が悪いの?
ルディを見たら爆笑するの堪えてんのか下向いて震えてる。まじかよ。周りの観客を見回しても誰も目を合わせてくれない。
僕が悪いらしい。
え?なんにもしてないじゃん。さすがに理不尽すぎる。自分の投げた玉が帰ってきて受け取れなかったのあっちだよ?そんで僕は守ってあげたんだよ?僕が悪いの?
テオ様を見つけても終わらない挨拶回りのせいで手を振ることも許されない。この挨拶回りが終わったのは皇帝陛下、皇后陛下、第1皇子殿下、第2皇子殿下入場の声がかかった時だった。
長めの皇帝陛下の挨拶が終わり出る順番に呼ばれていく。
ルディは相変わらずつまらなさそう。どっちかと言えば自分で魔法打ちたいタイプだもんね。
僕の座ってる方面にテオ様が座ったからテオ様を眺めるって言う楽しみもない。
つまんないなぁ。見慣れた魔法見てもって感じ。
今回僕はギリギリまで無詠唱でやるつもり。ちゃんと詠唱する方が威力が上がるけど噛んだりしたら終わりだからね。僕は剣術も魔法も妥協するつもりないから走りながらでも戦えるようにしたい。
それでこそテオ様に好かれる完璧超人クラウスだ。全部全部手に入れてみせる。テオ様に好かれるためならなんでもやるんだから。
「クラウス・フォン・シルヴェスター公子様!!」
あ、呼ばれた。行くか。
ルディがあくびしてるのが見えた。僕の出番でそんな態度取れるのはルディだけだよ。皇帝陛下ですら話をやめてこっちを見てくれたのに。
相手は魔法塔推薦の男爵家のおじさん。
魔法塔推薦ってだけあって魔力は多い。技はどうだろ。生半可な技なら無詠唱で防げるけど。少しは手応えある人がいいな。先生以上じゃないと僕に詠唱させることは出来ないから頑張って欲しい。
『はじめ!!』
審判役の合図に合わせて防御魔法と空間魔法を組み合わせたものを張る。これはめっちゃ簡単。闇魔法で作ったプロテクションに闇魔法で作った異空間を合わせるだけだもん。
同じ属性だし簡単だよ。面倒だけど使い勝手がプロテクションよりいい。似たような魔法で反射魔法もあるけど反射魔法は確率ゲーだからあまりしたくない。失敗したらプロテクション張る前にか当たっちゃうし。
もちろんこれも無詠唱でやるよ。どんだけ練習したと思ってんの。
向こうが先に風魔法で気円斬みたいなのいっぱい出してぶつけてきた。
『ウィンドゥカッター』っていう初級魔法。まぁいっぱいだしたらメチャ強なんだけどね。切られるかもしんないし、全部避けるのは至難の業。だから防御魔法が必要になるんだけどけど。
僕の場合全部放った本人に転送されるけど。
魔法で強化された石畳の上に魔法が落ちていく。僕の周りにはひとつも落ちないけど。
さっきこの日と驚きすぎてなんの魔法も言えてなかった。だから代わりに防御魔法をかけてあげる。
ホントにもう。大人なんだからしっかりして欲しい。
「大丈夫ですか?」
「あ、は、へ?」
大丈夫かな?手を差し出したら握り返してくれたけど言葉喋ってないよ。
「まだやりますか?もう1回魔法放つ?」
今度はビクンっと体を揺らして座り込んじゃった。
「ちょ、本当に大丈夫?」
「ま、参りました!!!許してください!!!!!」
その腰抜かしたようなポーズのまま泣かれた。
え、僕が悪いの?プロテクション張って手を差し伸べたよ?僕が悪いの?
「え、泣かないでください。」
「申し訳ありません!!!!調子に乗りました!!」
ちょっと。今度は頭を抱えるようなポーズで喚く喚く。本当に僕が悪いみたいじゃん。やめてってば。テオ様も見てるんだから!!
「シルヴェスター公子、少し離れなさい。」
起こそうと肩に手を置いたところで皇帝に窘められた。僕本気で何もしてないってば!
皇宮に言われたからには下がらないわけもなく、一礼して相手から離れる。
そしたら審判に向かって皇帝陛下が頷いて審判も頷き返した。
「シルヴェスター公子様の勝利!!」
そりゃそうだけどさ。
相手の人2人に担がれて舞台から降りてった。
え?僕が悪いの?
ルディを見たら爆笑するの堪えてんのか下向いて震えてる。まじかよ。周りの観客を見回しても誰も目を合わせてくれない。
僕が悪いらしい。
え?なんにもしてないじゃん。さすがに理不尽すぎる。自分の投げた玉が帰ってきて受け取れなかったのあっちだよ?そんで僕は守ってあげたんだよ?僕が悪いの?
227
お気に入りに追加
2,358
あなたにおすすめの小説

嫌われ者の長男
りんか
BL
学校ではいじめられ、家でも誰からも愛してもらえない少年 岬。彼の家族は弟達だけ母親は幼い時に他界。一つずつ離れた五人の弟がいる。だけど弟達は岬には無関心で岬もそれはわかってるけど弟達の役に立つために頑張ってるそんな時とある事件が起きて.....
俺、転生したら社畜メンタルのまま超絶イケメンになってた件~転生したのに、恋愛難易度はなぜかハードモード
中岡 始
BL
ブラック企業の激務で過労死した40歳の社畜・藤堂悠真。
目を覚ますと、高校2年生の自分に転生していた。
しかも、鏡に映ったのは芸能人レベルの超絶イケメン。
転入初日から女子たちに囲まれ、学園中の話題の的に。
だが、社畜思考が抜けず**「これはマーケティング施策か?」**と疑うばかり。
そして、モテすぎて業務過多状態に陥る。
弁当争奪戦、放課後のデート攻勢…悠真の平穏は完全に崩壊。
そんな中、唯一冷静な男・藤崎颯斗の存在に救われる。
颯斗はやたらと落ち着いていて、悠真をさりげなくフォローする。
「お前といると、楽だ」
次第に悠真の中で、彼の存在が大きくなっていき――。
「お前、俺から逃げるな」
颯斗の言葉に、悠真の心は大きく揺れ動く。
転生×学園ラブコメ×じわじわ迫る恋。
これは、悠真が「本当に選ぶべきもの」を見つける物語。

美少年に転生したらヤンデレ婚約者が出来ました
SEKISUI
BL
ブラック企業に勤めていたOLが寝てそのまま永眠したら美少年に転生していた
見た目は勝ち組
中身は社畜
斜めな思考の持ち主
なのでもう働くのは嫌なので怠惰に生きようと思う
そんな主人公はやばい公爵令息に目を付けられて翻弄される
転生したけど赤ちゃんの頃から運命に囲われてて鬱陶しい
翡翠飾
BL
普通に高校生として学校に通っていたはずだが、気が付いたら雨の中道端で動けなくなっていた。寒くて死にかけていたら、通りかかった馬車から降りてきた12歳くらいの美少年に拾われ、何やら大きい屋敷に連れていかれる。
それから温かいご飯食べさせてもらったり、お風呂に入れてもらったり、柔らかいベッドで寝かせてもらったり、撫でてもらったり、ボールとかもらったり、それを投げてもらったり───ん?
「え、俺何か、犬になってない?」
豹獣人の番大好き大公子(12)×ポメラニアン獣人転生者(1)の話。
※どんどん年齢は上がっていきます。
※設定が多く感じたのでオメガバースを無くしました。
生まれ変わりは嫌われ者
青ムギ
BL
無数の矢が俺の体に突き刺さる。
「ケイラ…っ!!」
王子(グレン)の悲痛な声に胸が痛む。口から大量の血が噴きその場に倒れ込む。意識が朦朧とする中、王子に最後の別れを告げる。
「グレン……。愛してる。」
「あぁ。俺も愛してるケイラ。」
壊れ物を大切に包み込むような動作のキス。
━━━━━━━━━━━━━━━
あの時のグレン王子はとても優しく、名前を持たなかった俺にかっこいい名前をつけてくれた。いっぱい話しをしてくれた。一緒に寝たりもした。
なのにー、
運命というのは時に残酷なものだ。
俺は王子を……グレンを愛しているのに、貴方は俺を嫌い他の人を見ている。
一途に慕い続けてきたこの気持ちは諦めきれない。
★表紙のイラストは、Picrew様の[見上げる男子]ぐんま様からお借りしました。ありがとうございます!

迷子の僕の異世界生活
クローナ
BL
高校を卒業と同時に長年暮らした養護施設を出て働き始めて半年。18歳の桜木冬夜は休日に買い物に出たはずなのに突然異世界へ迷い込んでしまった。
通りかかった子供に助けられついていった先は人手不足の宿屋で、衣食住を求め臨時で働く事になった。
その宿屋で出逢ったのは冒険者のクラウス。
冒険者を辞めて騎士に復帰すると言うクラウスに誘われ仕事を求め一緒に王都へ向かい今度は馴染み深い孤児院で働く事に。
神様からの啓示もなく、なぜ自分が迷い込んだのか理由もわからないまま周りの人に助けられながら異世界で幸せになるお話です。
2022,04,02 第二部を始めることに加え読みやすくなればと第一部に章を追加しました。

BL世界に転生したけど主人公の弟で悪役だったのでほっといてください
わさび
BL
前世、妹から聞いていたBL世界に転生してしまった主人公。
まだ転生したのはいいとして、何故よりにもよって悪役である弟に転生してしまったのか…!?
悪役の弟が抱えていたであろう嫉妬に抗いつつ転生生活を過ごす物語。

実は俺、悪役なんだけど周りの人達から溺愛されている件について…
彩ノ華
BL
あのぅ、、おれ一応悪役なんですけど〜??
ひょんな事からこの世界に転生したオレは、自分が悪役だと思い出した。そんな俺は…!!ヒロイン(男)と攻略対象者達の恋愛を全力で応援します!断罪されない程度に悪役としての責務を全うします_。
みんなから嫌われるはずの悪役。
そ・れ・な・の・に…
どうしてみんなから構われるの?!溺愛されるの?!
もしもーし・・・ヒロインあっちだよ?!どうぞヒロインとイチャついちゃってくださいよぉ…(泣)
そんなオレの物語が今始まる___。
ちょっとアレなやつには✾←このマークを付けておきます。読む際にお気を付けください☺️
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる